中学入試は倍率7.8倍の人気
青稜中学校・高等学校は、平成7年に中高一貫の進学校としてスタート、平成9年に共学となり、私立学校が多い東京都内で、年々受験者数が増える人気校となった。
今年度の入試も、中学では計5回実施されたが、倍率は2.8〜7.8倍という高い数字であった。また、ただ志願者数が増えただけではなく、昨年と比べると、予想偏差値が平均で3〜4ポイント上昇しており、入学してくる生徒の学力レベルも高くなっている。
これらの人気の秘訣を尋ねると、「特別変わったことをやってるわけではありません。生徒・保護者のニーズにこたえ、約束したことは実行しているだけです。これらの積み重ねが、結果となって現れてきているのでしょう」と多々良先生(生徒募集対策部長)は言う。
6年一貫教育で積み重ねられている合格実績は、年々着実に伸びている。略称で「MARCH」と呼ばれる明治・青山学院・立教・中央・法政などの大学への合格率は近年、急速に伸び、早慶・理科大といった最難関私立大学への合格者数も大きく躍進した。また国公立大学への合格者も増えており、昨年は東京大学の理科二類への合格者が出た。
新校長が就任 さらに成長を目指す
青稜の教育方針として、中学では「面白さや楽しさとの出会い」をテーマに、じっくり、丁寧に、楽しい授業を行うことで各教科を好きにさせる。手作りの教材や多彩な工夫で、興味・関心の扉を開き、主要5教科には時間的ゆとりを持たせて指導。特に数学・英語は習熟度別クラス編成を行い、さらに数学はティームティーチングできめ細かく授業を展開。通常授業だけでは心もとない生徒や、さらに実力を上げたい生徒のためには様々な講習も行って、手厚くサポートしている。
しっかりした土台を築くため、国語・英語・数学は「放課後講習」を実施。意欲や得手・不得手に応じて自由に参加できる。また、月曜日の放課後は全校挙げての「質問の日」とし、生徒は各教室に割り当てられた教師のもとを自主的に訪ね、問題を解決していく。教職員はこの時間はすべての部活・校務を休止して個別指導にあたる。このほか英語の総合力を高める目的で「英語の早朝学習」が行われている。希望者を対象に週2日・各40分の授業で、外国人教師による英会話や英語検定試験に向けた講義など授業では十分に触れられない分野についても指導している。
何より授業時間を多くとるために、中学・高校ともに2期・週6日制、34時間授業を
展開。長期休暇も希望者を対象に「休暇講習」を行い、じっくりと基礎を固め、高校での大学受験対策につなげていく。
高等学校では、多岐にわたる放課後講習や大手塾のサテライト授業のほかに、土曜日には東大・東工大の現役生により英語・数学などの基礎教科について少人数制ゼミを設けるなど、生徒が確実に実力をつけられるよう環境を整えている。
なお今春、新しく就任した吉村睦人校長は、元・開成中学高等学校の教頭先生である。武蔵野女子大学講師、NHK学園講師を歴任後、現在は新アララキ編集委員、選者を務めている。新校長の下、教職員一丸となって学習面・生活面両面の充実を図り、さらに躍進させることはまちがいない。
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「八ヶ岳自然教室」で
人間教育の実践
学習のみならず、人間教育を教育のもう一つの核とする青稜では、大自然の中、八ヶ岳での宿泊研修を多面的に展開している。夏は山歩き、農作業体験、環境学習、冬はスキー、そして任意参加であるが、夏休みを利用してネイティヴの指導による語学サマーキャンプなどを行い、寝食を共にする触れ合いの中で集団生活における基本的なルール、人に対する思いやりなどを育む。この研修所も生徒増に伴い、増築工事を実施。読書室もある地下1階地上3階建ての新棟が完成することで、豊かな人間性を培っていく場がさらに充実した。
なお、今年も広報ポスターは昨年に続き「首都圏私学ポスターコンクール」で優勝を遂げた。生徒の姿を表したかわいいそら豆のキャラクターが印象的だが、それは、教師らが原案を作った。「秘められた力に出会いたい」という学校の理念にふさわしく、際限のない伸びやかさがうまく表現され、塾生らに大人気である。
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