生徒のやる気を引き出す環境づくり
昨年、特別進学クラス一期生が卒業し、全体で大学進学率81.4%を実現した千葉商科大学付属高等学校。今年も80%を超える進学実績を挙げたが、遠藤行巳副校長は「もうワンランクアップを図るため、今年から3年計画を考えています」と語る。
これまで特進クラスでやってきた、現役東大生がアドバイザーとして勉強の相談に乗る「チューター制」や夏期講習での予備校講師の出張ライブ授業、夏期勉強合宿などは継続。内容をブラッシュアップさせていく。
「生徒のやる気を引き出し、自分から学力を上げていけるような環境をつくりたい」と遠藤副校長。
「自分から表現する力をもっと引き出してあげたいですね。自分にもできる、という気持ちがあれば、何事にも積極的になっていきます」
数年前から総合学習の一環として導入した企業クエストプログラムは、まさに生徒が自ら考えて学習するプログラム。生徒たちがクラスの仲間とチームを作り、企業からのミッション(使命)に対し、企画を採用してもらうためにプレゼンテーションを行うもので、全国大会も開催されている。同校は今年も昨年に引き続き、2年連続で全国大会に出場。日立製作所に「海水再生PROJECT」を提案し、佳作に選ばれた。こうした成果も大いに生徒の自信を高めている。
また、従来から「エゴグラム」という性格判断法に基づく教育プログラムを実施しているが、これは「豊かな心」を育むことがねらい。自分の長所や弱いところを知った上で、思いやりや自己志向力、考える力を育てていく。
加えて、今年から特進1年生で、朝、授業の前に行われる英語の学習もスタート。1年生対象に7時半から約50分補習を行っており、現在全員が参加している。基礎学力の定着もしっかりと行っていく予定だ。
話題の新学部が誕生!
千葉商科大学との連携強まる
昨年から共学となった商業科。現在3分の1が女子で、「商業志向の強い」生徒が入学してきたと遠藤副校長は話す。今年の課題は簿記検定に力を入れること。そのため教員、千葉商科大学の大学生と大学教員で「柏商会」を立ち上げた。簿記の補習の強化が主な目的だが、補習において、教員の目の届かないところを大学生がフォローするほか、レベルの上がってきた高校生は、大学の簿記講習に参加することができる。昨年暮れから大学の講習に参加している男子生徒は、現役で日商一級を目指すほどだ。
「簿記検定は商業においてはステイタス。大学進学にも有利ですから、保護者からも身に付けさせてほしいという期待が高いです」
また、千葉商科大学とはさらに連携を深めていこうと、双方で話し合いを進めている。遠藤副校長は「千葉商科大学への進学を増やすというよりは、大学というのはどういうところかを知ってもらおうと思っています。高校生の能力を上げるために大学の力を利用することが目的です」と語る。
同大学は今年4月「サービス創造学部」を創設。サービス産業において活躍できる人材育成を目指しているが、その方法がユニークだ。日本を代表する企業35社が公式サポーターとして参画。企業見学や長期インターンシップなど、サービスの現場に直接触れながら、将来の目標を決めることができる。新学部ならではの個性的な取り組みが注目されている千葉商科大学との提携は、高校生にとっても大いに刺激になるだろう。
さらに同校の強みは万全のインターネット環境だ。千葉商科大学とは光専用ケーブルで結ばれ、高速回線を通じて、情報が行き交っている。同校では早い時期から入学者全員にメールアドレスを発行。コンピューター室以外でも、教室のパソコンからインターネットで調べ物ができる。こうした恵まれたIT環境の中、生徒はインターネット上のマナーや悪質サイトからの防衛方法も学んでいく。 |