実現への計画性と行動力を
育成する“夢プロジェクト”
東京メトロ｢東大前｣から徒歩５分、千葉や埼玉など多方面からもアクセスできて、通学至便。都心にありながら、閑静な文教エリアに郁文館がある。明治22年創立の歴史を誇り、夏目漱石の小説に登場するモデルともなった伝統校でもある。その郁文館が、平成18年に法人名を郁文館夢学園と改称、生徒たちの夢の実現を応援する「夢教育」の徹底を打ち出した。
「夢を持たせ、夢を追わせ、夢を叶えさせるのが私たちの学校です。目標を設定し、その達成のために努力して、自分を磨いていく。そういうプロセスを大事にしています」と語るのは、入試広報部の田中潤部長。
「大学合格は目的ではなく、夢を実現する一つの手段にすぎないと考えています。自分が本当にやりたいことに向かって勉強できる人間になってもらいたい。それが夢教育の狙いです」
『夢教育』ではまず、生徒の夢指数を高めることを最大の教育目標としている。夢指数(ＤＱ)とは、夢を具体的な目標にし、それに近づくための課題をクリアしていく能力。知識を力にする指数(ＩＱ)、こころの広さの指数(ＥＱ)、自分の実力や価値を正しく自覚する指数(ＳＱ)、これら３つの指数をバランスよく伸ばすことでＤＱを高めていく。
そのためにさまざまな“夢プロジェクト”が用意されている。「夢合宿」は、中学１年生から高校３年生まで、年に１度、10泊11日(中１は５泊６日)の合宿を行い、ＥＱ・ＳＱ・ＩＱを磨く。多様なジャンルで活躍する達人を招き、体験談を聞いたり、実地研修を体験したりする｢夢達人ライヴ｣、好きな仕事にチャレンジする「起業体験プログラム」、沖縄や北海道など、豊かな自然の中で農場経営を体験する｢修学旅行｣と、メニューは実に多彩。
さらに夢ナビゲーションツール「夢手帳」を携行して、計画案をチェック。「夢カウンセリング」では、担任との話し合いを通じてアドバイスを行う。これらを通じて、生徒たちは自ら考え、行動する力を身に付けていくのだ。
夢の達成へ多彩なコース
進学実績でも好調の成果
自らの夢を見つめ、より高い目標にチャレンジできるよう、中高６年間に多彩なコースや特別講座を設けている。
中学１・２年次は「特進クラス」｢一般クラス｣の編成で、中学３年次から「東大クラス」を設置。昨年度より、高校１年次から「医系特進クラス」を開設し、高度な学力を身に付けるプログラムが用意されている。特に、医療系大学や東大をはじめとする難関国公立大学合格を目指し、英語・数学ではチームティーチングを実施。応用の演習に力を入れてレベルアップを図る。中学３年次の弱点克服「単元別講習」も特色の一つだ。
高校１年次の「一般クラス」は、２年次から｢文系特進｣｢理系特進｣｢文系｣｢理系｣の４クラスに分かれ、さらに高度の学力を習得し、早慶大を目指す生徒のために、放課後「早慶対策特別講座」を実施している。
郁文館の『夢教育』は、大学入試に挑む動機づけとなり、生徒たちのモチベーションを高めるとともに、合格力を目覚ましく向上させている。平成18年度では、国公立大学合格25人をはじめ、ＭＡＲＣＨ＋Ｇクラス以上の難関大学に１５２人が合格。平成20年度は２０５人、さらに22年度では東大20人を含め、２７０人の合格者を目指している。
郁文館グローバル高等学校は、国際科として１年３学期から１年間、全員がニュージーランドへ留学。１クラス25人の少数精鋭、ネイティブの担任による高いレベルの英語教育により、22人中、英検準１級合格５人、英検２級合格19人、ＴＯＥＩＣ８００点以上２人、と大学の平均に迫る成果を残している。
「夢の実現のために果敢に難関大学に挑戦する。より高い目標に挑んでゆく。そうした姿勢によって、目標をクリアする生徒が増えています。合格力を高めている大きな要因です」と、田中部長は誇らしげに目を細める。 |
新校舎建設と男女共学で
さらに進化する学習環境
創設以来１２０年、男子校として歩んできた郁文館は、平成22年度より中学校・高等学校・グローバル高等学校で女子新入生を迎え入れ、男女共学校に生まれ変わる。
その環境の整備に向けて、地上４階・地下２階の新校舎を建設中。新校舎では、インターネット環境を整えた各教室、生徒同士のコミュニケーションを促進するメディアコーナー、蔵書３万５，０００冊を誇る図書室、食育を考えたメニューを提供するランチルームなどをはじめ、充実した施設を完備している。
学校では珍しく、ＩＳＯ９０００とＩＳＯ１４００１を取得しており、ガラス張りの明るい校舎は、地球温暖化に配慮した屋上菜園、バリアフリー化など、21世紀仕様の快適な学習環境が実現される。取材で訪ねた９月時点では、地上４階地下１階の教室棟がすでに完成し、授業が行われていた。化学、物理、生物で異なる形状を持つ理科実験室や、天井カメラを使った美術、書道の授業等、随所に新校舎ならではの工夫が見られる。地下体育館を含む別棟の校舎棟を現在工事中。平成22年３月には、全館完成の予定だ。
女子新入生の募集は、平成21年度から開始する。教職員の研修、女子校経験教員の採用など、受け入れ準備はすでにフル稼働している。
「男女共生社会において、女子への夢教育は一層重要になります。生徒たちは自分たちの力で、催しや学校づくりを企画・運営するようになるでしょう。ますます進化してゆく、楽しみな学校です」
たくましく前進する郁文館は、保護者の期待も高く、多くの注目を集めている。
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