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中学・高校受験:学びネット

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和洋九段女子中学校

 
  ディスクロージャーと授業改革 2本柱で生徒募集に安定感
8年前、生徒数確保が困難な状況にあった和洋九段女子中学校は、M名言實校長率いる改革により、順調に募集人員を伸ばしている。ディスクロージャーを徹底し、保護者や受験生への授業公開、教員研修、職員室の環境度アップなどに取り組み、昨年は千葉大とタイアップして、学校力アンケート調査も実施した。並行して校舎の建て替えを順次行い、最新鋭の設備も整えた。ニーズに耳を傾けながらも、変わらぬ理念のもと一意専心、女子教育に当たっている。

校 長: M名 言實
住 所: 〒102-0073 東京都千代田区九段北1-12-12
電 話: 03-3262-4161
交 通: 東京メトロ東西線、半蔵門線、都営地下鉄新宿線「九段下」駅徒歩3分/JR総武線、地下鉄各線「飯田橋」駅徒歩8分
学生数: 840名 (2008.09.1現在)
ホームページ: http://www.wayokudan.ed.jp

 

着実な改革 生徒募集に結実

 歴史を遡ること111年前、和魂洋才を建学の理念に女子の経済的、精神的自立を謳い、創立された和洋九段女子中学校は、現在、「先を見て齊(ととの)える」を校訓とし、女子教育を実践中である。校訓の意味するところは、将来を見据えて、現在の生活を律せよというもので、職業人として、命を産み育む母性として優しさと思いやりを涵養することを教育目標としている点は、創立当初から何ら変わることがない。

 朝8時過ぎ、東京九段下の地下鉄の駅には同校生徒が続々と降り立っていく。整然と改札を通り抜け、エスカレーターや階段を昇る生徒の一群に、他の乗降客への自然な心配りが垣間見え、全体的に好印象である。駅から校門までは3分という絶好の立地で、周囲に日本武道館、靖国神社、千鳥が淵公園といった都心でも緑豊かな一角に位置している。申し分ない学習環境である。

 だが、こうした環境に恵まれた同校も8年前までは、生徒募集に頭を悩ます状況に置かれていた。中学校の募集のみを行い、高校からの募集を行わない同校にとっては、より厳しさが深刻であった。そうした状況下、公立高校で校長職を経験したM名言實氏が「組織運営担当」という役職で同校に赴任、次いで間もなく校長に就任、その後の改革が目覚ましかった。

 「改革なんて…私は公立出身ですから、私立のことはよく知りませんでした。ただ、他校さんがやっていらっしゃることを本校でもやっただけです」と控えめな弁。

 実際、すぐに取り掛かったのは学校情報の公開で、単に公開するだけでは受験生や保護者に情報が伝わらないと考えたM名校長は、さまざまなメディアを通じ、広報活動を展開していった。それまでは行われていなかった塾対象広報活動にも力を入れた。

授業改革と論文指導

 授業こそ学校教育の中核という考え方のもと、次に着手したのが授業の公開であった。在校生の保護者は無論、受験生の保護者にも授業を公開し、徹底した校内の可視化を図った。教職員間でも授業参観を相互に行うことで研鑽、大手予備校が現職教員を対象に行う各種講座への参加も奨励している。一方で、春休みを短縮し、授業時間数を増やすなど授業充実のための取り組みが続いている。

 というのも、同校では中学校課程では基礎、基本に時間を十分にかけた授業を実施。一部、高等学校の学習内容を先取りするものの、学習効果の効率性を追求しすぎず、“手間のかかる”学習を大切にしているため、授業の導入から応用、演習までのきめ細やかな指導の一層重視を目指している。

 「何度でも辞書を引き、何度でも例題を解くという、一見、面倒で煩わしい作業こそが本当に身に付く学習なのです。英単語や古語の対訳が載った教材は効率的かもしれませんが、知ろうとする労苦を省いた方法は勉強の本質ではありません」とM名校長。こうした考え方からか、中学校段階ではコース制はとらず、高等学校進学後、「特進」、「一般」のコース設定と習熟度別授業が実施されている。

 さて、中学校の取り組みとして、総合的学習の観点から中1〜2年で調べ学習を実施している。この学年では決められたテーマをグループごとに調査研究し、リポートにまとめるというもので、自主性、協調性、計画性を養っていく。その後、中3段階では個別にテーマを据え、企画から資料収集、情報の取捨選択を体験し、最終的に400字詰め原稿用紙にして30枚程度の論文にまとめるという一大作業にとりかかる。

 高等学校でもこの取り組みは引き継がれ、卒業間際の生徒ともなると調査研究分野も広がり、文章表現力も高度化した優れた論文が生み出されている。昨年度、最優秀賞を受賞した作品は「哲学における人生観〜人はなぜ生きるのか〜」で、生死観と幸福論という深遠なテーマを取り上げ、高度な文章力でまとめている。その論文にM名校長が重視する「労苦を省かない学習」の成果を見る思いがした。

学校力アンケートに見る教育実践

 昨年、同校は千葉大学と共同し、「学校力アンケート調査」を実施した。生徒、保護者、教職員を対象にさまざまな評価項目が設定されたが、その中に「この学校に入学して、何が一番身に付いたか」という生徒向けの設問があった。それに対する最も多い回答が「人に対する思いやり」で、対教職員に「生徒に何を一番身に付けさせたいか」との設問でも「人に対する思いやり」がトップ回答であった。この結果にM名校長は満足するとともに日々の実践が根付いていることを感じたという。

 アンケートでは、授業の充実と改善すべき点も浮かび上がったが、これについては、既述のとおり実践中である。アンケートでは「校長に対する満足度」を問う項目もあり、「正直、抵抗がありました」とM名校長は本音を漏らす。だが、結果は95.6%という高い満足度が示され、「ホッとしました」とも。

 調査を行った同大学教育学部長の明石要一教授も「校長先生が好きという生徒に自己肯定感が強いという共通点を見た」と、生徒の気持ちをつかんだ教育実践を高く評価した。

 
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