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中学・高校受験:学びネット

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東京文理学院高等部

 
  高卒資格取得のサポート校 卒業後を見据えた指導が特色
不登校などの理由で、通信制高校で高卒資格を取得するケースは多い。そんな生徒を学習面や精神面から支えるのがいわゆるサポート校だが、東京文理学院高等部は授業や行事、制服など、一般の高校に近い形態をとり、積極的に生活指導を行うという点で、他のサポート校とは一線を画している。卒業生は高卒資格の取得は無論、いかに社会に適応していくかのコツと自信を得て巣立っていく。

校 長: 市川 匡史
住 所: 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場4-4-11
電 話: 03-3365-1781(代)
交 通: JR山手線、西武新宿線「高田馬場」駅 戸山口徒歩2分/東京メトロ、地下鉄東西線「高田馬場」駅 A1番出口徒歩3分
学生数: 370名 (2008.1.1現在)
ホームページ: http://www.t-bunri.co.jp

 

生徒の特性に配慮した高校スタイル

いじめや不登校から学校になじめず、高校進学を望みながらも、学力不足や学校生活を続けることに自信が持てずに断念する子どもたちは依然として多い。そうした子どもたちが通信制高校で高校卒業資格を取得するケースは、すでに広く認知されるようになった。それにつれ、通信制高校での単位取得を途中で挫折しないよう支援するサポート校も、自分にあったタイプを選べるまでになっている。

東京文理学院高等部はそんなサポート校の中でも、一般的な高校の形態に最も近いサポート校といえるだろう。毎朝、決まった時間に授業が始まり、クラス担任や行事、そして制服までが用意されている。生徒像は、全日制の高校に通いたい気持ちはあるが、不登校の経験があり、続けて通学する自信がなく、今一歩を踏み出せずにいるタイプである。

1クラスは30人からなり、各学年は4クラスで構成される(全校生徒は約370人)。担任のほかに学年主任1人、各クラスを手助けする副担任が1人おり、計6人で1学年を受け持っている。授業は積み重ねの要素が大きい英語と数学で習熟度別に実施されている。これは面接による入学試験の後、合格が決まった時点で学力診断テストを実施し、その結果により習熟度を測っているもの。

一般的な高校に近い形態をとってはいるが、生徒の特性に合わせ、配慮している点は多い。例えば、入学後の生徒は不安と緊張感が高く、互いに声を掛け合うだけの余裕がないことが通常である。そのため、できるだけクラスメート同士がコミュニケートしやすい状況設定がなされる。入学後すぐに行くデイキャンプでは、「グループでカレーを作らなければならない状況をつくり出します。そうすることで、必要に迫られて、互いに言葉を交わさざるを得なくするのです」と同学院長の市川匡史氏は話す。このように入学当初は教員の側からやるべきことを提示する場面が多いが、徐々に自主性を引き出していく指導法が取られる。

一般に、現代の子どもたちは、新しい環境で友達ができるかどうかに必要以上に不安を抱いている。いち早く友達を見つけなければという焦りを感じてもいるようで、とりわけ、人間関係において敏感になっている不登校経験者ならなおさらである。そんな気持ちを察し、学院では生徒に「早く友達を作ろうとしなくていい。まずは挨拶から始めて、そのうちに気の会う相手が見つかれば友達になれればいいし、友達はできればいいなくらいの気持ちでいなさい」とアドバイスしている。

自信を持たせ 真面目さを評価

学院に入学してくる生徒は、概して真面目な生徒が多く、真面目ゆえに悩むことも多いといえる。何事にも敏感な思春期においては、真面目な子どもほど「こうありたい」という理想が高い傾向にある。理想が高ければ現実とのギャップに傷つくのが思春期であり、主に学習面と友人関係が、理想を突き破る2大ストレスと市川学院長は見ている。そして、学習も人間関係も容易に改善されるものではない以上、他の優れた面を見つけて評価し、まずは自信を持たせるよう指導がなされる。

例えば、文化祭の準備は実行委員会の主導で進められるが、そういう役目をうまくやってのけた生徒には「あなたのお陰で、うまくいったよ」と、生徒自身が気づいていない長所を誉めて気づかせ、自信を持たせて、不得意な分野に向き合うことを促していく。高卒資格の取得にあわせて、一人ひとりの生徒を細やかに理解し、微に入り細にわたった生活指導がなされる点は同学院ならではの特色といえる。

このように、自信を持たせることを重視はするが、学院の方針として、決して生徒にとって都合のいいだけの、居心地の良すぎる環境は作り出さないという。最終的に生徒が求めている目標が、社会基準の中で評価を得たいということである以上、学院もまた「卒業後に責任を持つ」という目標に向かっての実践が求められているからである。

学院を出た途端に社会生活になじめなかったというのでは、生徒にとっての根本的な問題は解決されない。「通信制高校の単位を満たし、何となく学校に来られるようになったというだけでは不十分で、具体的に自信を持たせることです。そのために生活の中での、ものの見方や考え方をちょっと変えてあげると、うまくいくこともあります」と、それまでできなかったことを克服するためのアドバイスや環境作りに努めているようだ。

生活指導の甲斐あって、学院の卒業生は近年、その真面目さが大学側から評価を受けている。大学全入時代を前に、学生のモラル低下が指摘され、生活指導を行わざるを得ない状況の大学が増えている。大学側は今後ますます真面目な学生を求める風潮が高まることが予想され、学院にとっては一種の“追い風”を感じ取っているという。

相談しやすい環境と通学の楽しみをプラス

生徒の中には、心療内科を受診しながら通学する生徒もいるなど、さまざまな心的ストレスを抱える生徒は少なくない。このため、各教員はカウンセリングに関する研修を積んでいる。ただ、担任が近すぎる存在ということで相談をしにくい場合は、3人の専門のカウンセラーも担当曜日ごとに来校している。「3人はそれぞれ異なるタイプのカウンセラーで、生徒はその中から自分に合いそうなカウンセラーを選んで相談できます」と市川学院長。相談件数は少なくないが、このことを学院はむしろポジティブに受け止めている。心配事を早い段階で相談することは、問題が深刻化するのを防ぐからだ。

こうしたサポート体制の中で、現在、全生徒の約80%が休むことなく通学しているという。中学卒業とともに入学してくる生徒が圧倒的に多いが、全日制高校に入学後、不登校等により編入してくる生徒もいる。学年、学期途中からの入学でもまったく問題はない。

学院では午後の授業を選択制とし、24ものユニークな授業を用意し、学校生活の楽しみの一つとしている。現在、人気を集めている授業は、フットサル、バスケットボール、パソコン、調理、ギターなどで、他にも鉄道、声優、アニメなどがある。ただし、一般試験による大学進学を希望する生徒については、進学クラスに籍を置き、進学英語、進学国語、進学数学といった授業を選択することになる。

最近は学校には行っていないが、塾には通っているという不登校生も多く、そうした塾からの問い合わせが増えているという。最終的に結果が問われる学習塾としては、進学に責任を持とうとする姿勢が見える。来年度の募集は120人で、入学検査は面接によって行われる。高校に行けるなら行きたいという気持ちを持つ生徒は、比較的学院での生活に慣れやすく、適応しやすいという。不登校経験者には一考の価値があるサポート校だろう。

 
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