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中学・高校受験:学びネット

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横浜富士見丘学園中等教育学校
(旧・富士見丘中学校・高等学校)

 
  私学女子校で初の中等教育学校定員を大幅に上回る入学者
横浜市旭区中沢に今春、全国初の女子のための中等教育学校、横浜富士見丘学園中等教育学校が誕生した。広大な敷地と洒落たレンガ造りの校舎が人気を集めているが、その教育内容に期待し入学してきた生徒は205名。学校側の予想をはるかに上回っている。併願受験で、複数の合格を手にした生徒、保護者になぜ同校が選ばれたのか。教育のオリジナリティについて伺った。

校 長: 豊岡 稔
住 所: 〒241-8502 横浜市旭区中沢1-24-1
電 話: 045-367-4380
交 通: 相鉄線「二俣川」駅北口より徒歩15分
学生数: (中学校・高等学校)639名 
(中等教育)401名
(2007.9.1現在)
ホームページ: http://www.fujimigaoka.ed.jp/

 

120名募集に205名の入学者

相鉄線の「二俣川」駅から北へ住宅街を抜けていくと、緑豊かな環境に横浜富士見丘学園中等教育学校の広大な敷地が広がっている。その中に、ひときわ目を引くオーソドックスなレンガ仕立ての学び舎が建っている。中に入ってみれば、香りがするほどに贅沢に使った木が、安らぎと落ち着いた学びの環境を創り上げている。

横浜市西区東久保町(旧・富士見丘中学校・高等学校)から移転し、教育形態も中高一貫の中等教育学校として再スタートを切った同校が、新天地で最初に行ったことは、地域に溶け込むための「配慮」であった。日常、親しく交際する近隣を“向こう三軒両隣”というが、豊岡稔校長が挨拶回りをしたのは、周辺の約70軒。その甲斐あってか、中には「今の通学路より、私の家の前の道の方が車の通行量が少なく、安全」と教えてくれる人までいたと、豊岡校長は喜ぶ。全校集会でも「後から入ってきた私たちが、地域から愛される学校になるためには、地域のルールに則っていかねばなりません。その態度を登下校のときに表してほしい」と述べ、新しい地域で「新生・富士見丘学園」としての一歩を踏み出した。

全国で、女子校としては初めての中等教育学校。その教育的特色は何といっても、カリキュラムの弾力的運用が可能な点にある。

同校はこのメリットを生かし、6年をFirst stage(Junior1〜2)、Second stage(Junior3〜Senior1)、Third stage(Senior2〜3)の3つに分け、各ステージで、効率的かつ特色ある取り組みを行っていく。この新しい6年間教育に期待した受験生、保護者は多く、同校の予想を大きく上回る205名が入学した。当初予測では120名(募集定員)だったが、11月のオープンスクールでは、すでに160名を予想し得る状況であったという。

豊岡校長は「他校に合格しながら、最終的に本校を選択してくれた受験生がたくさんいた」と、いわゆる歩留まりのうれしい読み違いであったことを明かした。

1泊2日の進路ガイダンス
平和学習としてのドイツ海外研修

今春の入学者には「併願合格の中から、選び取った学校」という意識が強く、特に保護者は、今後の取り組みに期待感を膨らませている。毎年、恒例で各学年の「教育懇談会」を開催しているが、Junior1のそれは98%の出席率で、また「クラス懇親会」も各クラスとも3時間に及ぶ長丁場となった。その中で、学校に対する注文や意見も多く出されたが、豊岡校長は最初から最後まで同席した。「3時間もお付き合いさせていただくことは普通ないのですが、心地よく、ついに最後まで」と話す。「心地よく」感じた理由は「これから一緒にいい学校を創っていこうという、保護者の姿勢を感じられたから」と校長自身、分析している。

さて、期待される取り組みのひとつとして、Second stage(4年次)で実施される「進路ガイダンス」がある。キャリアデザイン学習の一環で、文理選択の重要性を説き、担任との個人面談では曖昧であった目標、夢を具体的にイメージすることによって、達成のために今、しなければならないことを具体的課題として認識させるもの。今年度すでに、このガイダンスを1泊2日の日程で、5月に河口湖で実施した。

なぜ、宿泊を伴う行事なのかは、同校の生徒の全体的な気質に関係している。豊岡校長によると、「本校の生徒は、性格的に温和で優しく、のんびり型が多い。自主性にかけるところもあるので、早めに準備させることが大切。個々で進路を考え出す時期を待っていては、なかなかエンジンがかからない。全員が一堂に会して将来の設計図を確認することで、互いに刺激し合い、進路選択に具体性を持たせることができる」と。宿泊先のホテルでは文学部から理工学部、さらに医歯薬系、看護系といった進路に応じた12の相談ブースが設けられ、生徒はキャリアデザインへの一歩を踏み出した。

期待される取り組みの2つ目は、日本の中学校では初めてといわれるドイツへの海外研修である。中等教育学校の前期過程終了後の3月、約2週間の日程で平和学習を追い求めて、フランクフルト〜ベルリンを回る。英語を話すホストファミリー宅でステイしながら、現地の文化や人々の暮らしに触れ、ザクセンハウゼンの強制収用所、核シェルターや史跡などを見学する。

さらに、08年度からは本格的にAL(Advanced Lesson)クラスを導入する。メンバーは国公立大学を目指す高い意識を持った生徒で構成される。「意識」という点を大切にしているので、希望制を取り入れ、希望者が多い場合は、年間の学習成績をもって判断している。意欲、意識といった観点を選抜基準に入れていることについて、豊岡校長は「勉学は成績の問題ではなく、意識の問題」とする考えを示した。

充実の設備満足な使い心地

新築校舎に最新鋭の設備が整えられた学び舎。その中でも生徒の一番人気を獲得しているのが図書室である。書籍コーナーと隣接するITコーナーは、あらゆる調べ学習をサポートするだけでなく、職員室側に配置された交流ラウンジでは、質問や相談、教師とのコミュニケーションスペースとして活用されている。

2番人気を校長に聞けば、1,000名が収容できる大講堂・アンジェラホールを挙げた。「学年単位の集会などには小講堂がありますが、全校集会や芸術鑑賞会や音楽会には活躍するでしょう」と。

ほかに、広い窓から陽光が差し込むカフェテリア、中庭の屋上庭園は生徒の憩いの場として人気が高い。校舎とは独立して立てられた礼法室(茶室)には、本格的な日本庭園が隣接し、落ち着いた雰囲気の中で礼儀作法の授業に使われる。こうした施設は、すべて木をふんだんに使った仕様であるため、校内のどこに身をおいても、安らぎの気持ちを自然と持つことができるのである。

また、首都圏の女子校としては大変広いと思われるのが、グラウンド。人工芝を敷き詰め、200メートルトラックを備えており、これまでは無かった陸上部、ソフトボール部を創部してはどうかという話が、これから聞かれるようになっていくのではないだろうか。

新たな場所で、新たな教育形態による女子教育が始まった。保護者も巻き込んだ今後の進化に注目が集まるだろう。

 
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