サイト内検索:
 
中学・高校受験:学びネット

 学びネットは、中学、高校受験のための情報ページです。学校紹介や塾経営にお役立て下さい。

今月号の紹介 学校散策 塾長のためのマンスリースケジュール 購読案内 会社案内
学校散策 ・関東校・ 関東一覧
   

東京文理学院高等部

 
  不登校の“2大不安”に向き合い社会適応力をつける通信制サポート校
 
学校には行きたくても集団に適応できないなどの理由で不登校を経験した子どもが、高校進学時に抱える2つの大きな不安は、「勉強についていけるのか」「また続かなかったらどうしよう」というもの──この不安を専門的にケアしながら、通信制高校の卒業資格取得をサポートするのが、東京文理学院高等部だ。月曜から金曜まで高等学校に準じた授業を実施し、現実社会で遭遇するさまざまなストレスに対処する力をつけていく。

校 長: 市川 匡史
住 所: 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場4-4-11
電 話: 03-3365-1781
交 通: JR山手線、西武新宿線「高田馬場」駅より徒歩2分
学生数: 380名 (2006.11.1現在)
ホームページ: http://www.t-bunri.co.jp/

 

高等学校形式で専門的ケアを

文部科学省が実施する学校基本調査によると、2005年度、30日以上欠席したいわゆる不登校生の数は12万2,255人。全体で減少傾向にあるという見方がある一方、中学生だけを見ればむしろ増加傾向で、36人に1人が不登校生という状況だ。不登校が社会問題化し始めた頃に比べれば、学び方のスタイルは多様性を帯びてきた。通信制高校で高等学校の卒業資格を取得するのもその一つだ。

ただ、そうした場合には、集団への適応や対人関係構築のための訓練を先延ばしする一面を否定できず、結果的に大学へ進学、あるいは就職した後に、集団にうまく溶け込めずに退学、退職するケースは少なくない。資格取得に加え、重視されるべきは、現実を生き抜く力なのである。

東京文理学院高等部では「高等学校のようなところに行きたい」と思っていても、一般の高校に通うことに不安を感じる子どもたちに広く門戸を開いている。不安を抱えながらも、専門的なケアを受けながら、集団に適応する自分を見出したいと願っている子どもが学院の生徒像といえる。

通信制高校のサポート校であるため、単位認定を受け、卒業資格を手にすることに目的を置いてはいるが、単に通信制の補完的スクールというのは東京文理学院には当てはまらない。週5日の授業が実施され、制服も校則も一般高校と同様に設けられている。文化祭や体育祭をはじめ、長野や沖縄への林間・臨海学校、オーストラリアへの海外研修に映画鑑賞等々、高等学校さながらの環境が準備されている。社会性、協調性といった面で自信を得たいと切望する生徒に応えるための具体的手段といえそうだ。

現在、通信制高校へは実質的に“全入”の状況であり、定員割れの高等学校も増えつつある。不登校による学力不足で「行くところが無い」時代ではない。だが、同学院の市川匡史学院長は「入学可能な学校があるということと、そこで(落ち着いて)学校生活を送ることができるということとは違う。そのことを生徒自身が理解し、東京文理への入学を決めたのだと思う」と話す。

それにしても、小・中学校時代に不登校の状況にあった生徒が、週5日実施される授業に休み癖がつかないだろうかといった保護者の不安はないわけではないだろう。しかし、そこに一般の高等学校とは違う学院の強みが発揮される。サポート校は法的に自由な裁量が認められているため、運営方法は伸びやかで、かつさまざまなケアを実施しやすいメリットがあるのだ。

独自のカリキュラムと
つまずきを活かすケア

具体例なケアとして入学後すぐに実感できるのは、生徒本人や家庭と学院とのコミュニケーションが密である点だろう。休みがちな生徒には、家庭訪問や電話連絡などで状況を見極め、無理なく通学を促していく。そのアプローチは入念で、専門研修を積んだ教員や4人のカウンセラーによって、個々の生徒に合った指導法が取られている。

教室に入ることができない生徒も別室での指導や、適応指導教室といった段階を踏んだ指導を受けられる。一般の高校なら2か月休めば教科学習上、ついていくことは困難だが、同学院では、半年休んだ生徒が教室に復帰した例もある。個々の生徒に合わせた学習法が取られるからこそ可能なのであり、通信制であるため、欠席日数で卒業資格を失うこともない。

市川学院長は「人間関係や勉強でのつまずきによって、途中で休み癖がついてしまう生徒もいるが、むしろ、そういうつまずきがあったほうがいいのかも知れない」という。学院の生徒にとって一番大切なことは、卒業後に当然遭遇するであろうさまざまなストレスに、うまく対処できるようになることである。そのためには他者と関わりながら、自分の持つストレスを消化していく術を身につけなければならない。その精神的成長の過程でつまずきはつき物といえないだろうか。

数人の仲間内で自分自身が認められたとしても、本当の自信につながらないことを、不登校を経験した子どもなら知っているという。それよりも多くの仲間の中で、誰しも1度や2度つまずきながら傷ついているのだということを、肌で感じることの方が有意義だ。自分だけが特別苦しいわけでないことに気づくからだ。多くの仲間と高校生活さながらの日々を送ることの意義がそこにある。在校中、目にする仲間の失敗やその後に奮い立つ姿が、いわゆる“揉まれる”という貴重な学びとなっていく。さまざまな経験を通して「上手に転ばせてあげることが必要」という市川学院長の言葉に、生徒の特性を見据えたケアの肝要さが伝わってくる。

また、学院では「卒業生の保護者の会」が結成され、不安を抱く在校生の保護者に経験談を語ったり、接し方のアドバイスをしたりと、頼りがいのある活動を行っている。「不登校」を経験した者同志の信頼が保護者間の絆を深め、ともに乗り越えるネットワークがあることは心強い。

自信を取り戻すために

学院のユニークな取り組みの一つに「午後の選択授業」がある。午前中は一般教科を学習、午後は生徒の特性に応じて、授業を選ぶというもの。ギターや陶芸、手話、空手、鉄道、調理、進学希望者のための各種講座など種類も豊富で、好きな分野で自分が伸びていく実感を味わい、自信を取り戻させるねらいがある。苦手分野の克服だけを推し進めるよりも、得意分野を伸ばすカリキュラムを併用することの方が、より教育的効果が期待できる。だが、決しておだてず、持ち上げ過ぎず、生徒自身が客観的に「できた」と思えるまで見守るという。

一つのことであっても、自信がついた生徒は、見た目にも次第に変化が表れる。「活気に満ちていくというより、穏やかになっていく」と市川学院長は話す。それまで勉強もできるようにならなければ、友達も作らなければ、あれも、これもと悲愴感さえ漂わせていた生徒の表情が和らぐのだそうだ。

また、市川学院長は思春期においては、自分が希望する場所にいないことがストレスを引き起こさせ、そこに至らない自分を責める傾向が強くなりすぎると、一層傷つき、自信を失うと説く。理想に対し努力は必要だが、何もかもできなくてもいいのだということを自ら認められるためにも、自信を持てる何かを見つける手助けは重要だ。

設立から15年。東京文理学院の第1期の卒業生は30代に差し掛かっている。学院でのつまずきや教員や仲間との支え合いを糧として、「あの頃は苦しかったなあ…」と振り返ることができる大人になっている。

 
  ページの先頭へ戻る
manavinet」運営 / 「塾ジャーナル」 編集・発行
株式会社ルックデータ出版
TEL: 06-4790-8630 / E-mail:info@manavinet.com
Copyright© 2004-2003 manavinet. all rights reserved.