全コースが男女共学化
100年近い伝統を持つ東洋高等学校は、JR水道橋駅前にそびえる13階建てビルが学舎。
これは一昨年新築されたもので、地下2階から8階までが教室である。
まるでホテルのようなエントランスホールやカフェテリア、劇場のようなオリエントホール。階段は吹き抜けになっており、情報教室や図書館は最新のIT環境が整備されている。同校では、全国大会進出の実力を持つバレーボール部をはじめクラブ活動が活発であり、運動場、トレーニングルーム、体育館など運動施設も充実している。
コースは難関大学を目指す「特進」、国際感覚と英語を学ぶ「IC」、勉強と部活を両立させ高校生活を楽しむ「文理」の3コース。特進・ICに続いて文理コースが昨年男女共学になり、入学希望者が予想を大きく上回った。
高橋徹広報主任は「共学になったことで、学校が華やぎました。女子は男子の半数しかとらなかったが、リードするのは女子なのでバランスが取れています」と話す。
しかし、人気があるもう一つの理由は、「さらに魅力ある学校を作ろう」と教員たちが生徒の目線で様々な努力をしている点にある。
学年目標に沿った指導で生徒の成長を促す
同校の教育理念は「独歩と共生」である。自立し、他者と共に生き、社会で役に立つ人間に成長するよう、それぞれの学年で目標を設定し指導している。
1年次のスローガンは「責任と協調」。主に行事を通してクラスだけではなく、クラスを超えたグループ化を行って、自然に責任感や協調性が身につくよう促している。
例えば学園祭では模擬店や学習発表など7つのセクションを決め、生徒は好きなものを選んで活動する形をとった。
また1年次で実施する修学旅行においても指導目標に沿って計画が立てられる。
「3泊4日で九州へ行ったのですが、個人・グループ・クラスの3つの単位で動くよう配慮しました。グループは、カヌーなどスポーツをするAグループ、船下りと有田焼の絵付けをするBグループ、観光をするCグループを設定し、自ら選ぶ責任と異グループでの協調性を学ぶような環境を作ったんです。あえて1年で修学旅行をするのは、指導目標の達成における集大成と考えているからです」と高橋広報主任は話す。
2年次の目標は「自立とプライド」。進学に向けて学習をしっかりと行い、それによっ
てプライドを持つことを目標としている。
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3年次は「勇気と飛躍」。自分の進路を決定する時期であり、2年次でがんばったものをもとに、ひとつの進路を勇気をもって選び、飛び立たねばならない。
「ひとつの道を選ぶということは、他の可能性を切り捨てること。ましてや大学進学は人生における大きなターニングポイントとなります。しっかり判断できるよう指導していきます」。
エゴグラムと進路ノート
エゴグラムとは多数の質問に答えていくある種の性格検査である。同校ではこれらを
半年ごとに行い、生徒の成長に役立てている。
「大人の性格と子どもの性格が明確になり、自分で意識的に伸ばさなければならない部分がわかるんですね。教師にとってもクラスの特性がはっきりするので学級経営の視差にもなります」。
これに関連し自分を見つめ、自己を発見し成長していく助けになるよう「進路ノート」
を生徒一人ひとりに作らせる。エゴグラムの結果を踏まえた目標や自分自身の進度、家庭学習の状況など学習におけるすべてのことをファイリングし、1年間の自分の軌跡を作るものだ。
こうした新しいシステムの導入ばかりではなく、授業も「楽しい、わかりやすい」と好評だ。大学合格実績も安定してきており、多方面での努力が実を結びつつあると言える。
魅力ある学校へ
「100年近く伝統があっても、まだ発展途上ですよ。時代に合った魅力ある学校を作るためにがんばらなければ」と高橋広報主任は言い切る。
その努力は学校説明会でも垣間見ることができる。「学校の顔が見える説明会」を目指し、5回実施されるが、リピーターが来るようなしかけを考え成功している。
「1回目は在校生のことを知ってもらおうと私が司会を行い、高校1年の生徒にいろいろ質問する形をとります。ユーモアを交えながら、授業や教師についてありのままを話してもらいます」。高橋広報主任の巧みな話術と飾らない生徒との会話で、会場は何度も爆笑の渦となり、2回目は教師、3回目は過去問題について説明すると言えば1,000名が来場し、のべ来場数は5,000名に上るという。説明会にはぜひ出席し、注目していきたい学校である。
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