附属中学校の新校舎は高校から南東へ800mの場所にある。広々としたグラウンドに面した4階建ての校舎と体育館が建っている。自然光をふんだんに取り入れた真新しい教室で、第一期生67名が将来の夢に向かって第一歩を踏み出した。
入学者の9割が附属中学校を第一志望
高いモチベーション
「良い形でスタートを切れました」と、附属中学校の小柏茂夫教頭は笑顔で話す。
今春の中学入試で、同校は大きな注目を集めた。受験者数は延べ380名。募集定員60名に対し、90数名を合格とした。そのうち67名が入学、通常では考えられないほど高い歩留まり率だ。
同校は、地域の保護者らの強い要望に応える形で開校したためと考えられるが、それだけではない。入学者のうち、地元本庄地区の生徒は25名。そのほか、群馬県や深谷・熊谷地区出身者も多く、なかには上尾や桐生から通う生徒もいる。これは地元だけではなく、広範囲から期待されていることを表していると言えるだろう。
また、附属中学校入学者のうち、9割が同校を第一志望としていた生徒だ。そのため、入学当初から生徒のモチベーションは高い。授業に集中し、真剣に学習に取り組む。同校の進学目標は難関国公立大学や医歯薬系大学としていて、入学時点で15名の生徒が医歯薬系大学進学を希望している。
なお、中高一貫生は、高校進学後も「特進一貫コース」として独立したコースを形成する。
生徒を伸ばすカリキュラムと教育への取り組み
本庄東高校は、ここ数年で大学進学実績を大きく伸ばしている。サンデー毎日「5月7/14日号」の特集記事、「(首都圏の)公立・難関私立大、この10年で伸びた『ベスト300校』」では、第29位にランクインしている。このデータによると、同校の国公立と難関私大を合わせた合格者数は、10年前の39名から今年の204名へと大きく伸びている。
附属中学校では、高校で成功している数々の手法を取り入れ、効果的な学習指導を進めていく。カリキュラムは、6年間の学習内容を無理・無駄のないよう系統的に編成、国公立大学受験に必要な幅広い科目を履修したうえで、演習にも十分な時間を充てる。週6日制で35時間の授業時間を確保し、週に2回、7時限目を設定している。
そのほかの平日には「フレキシブルタイム」を設け、英数国の復習テストを行う。2学期からは、毎朝のSHRで英単語の小テストを実施する。これら放課後の小テスト、朝の単語テストは以前より本庄東高校で実施され、成果を上げているものである。
また、高校で20年以上も前から実施している「コラム学習」を附属中学校でも行う。これは、生徒が新聞のコラムを要約し、内容についての感想を書く。その文章をクラス担任が一人ひとり添削する。ときにはみんなの前で発表し、討論も行う。これにより言語力・論理的思考力を養うとともに、社会への関心を高めていく。
中学では、コラムの代わりに新聞の投稿記事から始め、コラム、社説とレベルアップする。「コラム学習」は、中学1年次で週に2回、2年次で週に4回、3年次からは毎日実施する予定だ。
さらに、中学高校ともに英語教育が充実している。英会話の授業を担当するのは、専任のネイティブの教員で、同校に10年以上勤務し、日本文化に造けいが深い。授業では、日常英会話の習得だけではなく、国際会議でスピーチできるレベルを目指す。
英会話の授業は、あらかじめ自分の考えを英文にまとめておき、それをひとりずつスピーチするという形式だ。生徒の書いた英文はすべて添削してもらえるので、自信を持ってスピーチできる。授業を続けるうちに、自分の意見を英語で発信する能力が格段に上達し、高校3年生で難関大学を目指す生徒などは、驚くほどの長文を書いてくるという。
附属中学校での英語学習は始まったばかりだが、高い目標を見据え、教科書のレベルを超えた指導が行われている。
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「特進選抜コース」新設
進学実績に更なる期待
同校のキャッチフレーズは「心 素直に、知性 輝く」だ。中学高校ともに心の教育や生活指導に力を入れている。
高校の井上文教頭は「当たり前のことが当たり前にできる人間を育てたい」と語る。
服装や頭髪などの身だしなみを整えること、身の回りを整えるためにしっかりと掃除をすること、挨拶をすることなど、いずれも社会に出れば当たり前のことである。そのため、同校では「服装の乱れは心の乱れ」と考え、学校という公共の場所では制服をきちんと着こなすことを指導している。また、清掃についても教室や校内はもちろんのこと、生徒会や部活動に加入している生徒が中心となって、月に一回、通学路のゴミ拾いを行っている。
「このような姿勢が生活習慣や学習態度につながります。本校の目標は人間づくりで、進学実績の伸びは、それが数字と言う結果で表れただけです」と井上教頭は言う。
さらに、教師陣による面倒見の良さの効果も大きい。
高校ではクラス担任が毎日、朝や放課後に生徒と面談している。生徒側からすると、月に一度のペースで二者面談がある。成績や進路などについて話し合うだけではなく、悩みごとの相談も行う。その結果、学習意欲の向上に加えて、家族や友達との問題の早期解決もできる。まさに個に応じた指導といえる。親身になって相談に乗る担任の姿から、「先生のためにも第一志望に受かりたい」と言う生徒もいるという。
本庄東高校は今年度から、従来の「特進コース」とは別に、「特進選抜コース」を新設した。1クラス30名に限定し、東大をはじめとする最難関大学を目指す。
この「特進選抜コース」1クラスと「特進コース」3クラスは、2年進級時に成績などにより、入れ替えが行われる。すなわち、両コースの生徒は30名の定員をめぐり、競い合うことになる。競争により、生徒の力をさらに伸ばしたいという考えだ。
また、本庄東高校は「特進コース」だけでなく、どのコースからも国公立大学や有名私立大学に現役合格者を出している点も大きな特徴である。
「毎日の勉強は厳しいけれど、卒業するときには生徒たちは満足しています」と井上教頭は胸を張る。
3年後には高校に附属中学校からの「特進一貫コース」2クラスも加わる。
同校の進学実績は、今後数年間で飛躍的に伸びると予測される。
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