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中学・高校受験:学びネット

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小松原女子高等学校

 
  数年来の改革への取り組みに嬉しい成果出始める
 
2003度から本格的に進学選抜を立ち上げ、昨年からは現役東大生を中心とした講師陣による特別指導「東大学習コーチ」をスタートさせるなど、このところ注目されている小松原女子高等学校。同じく2003年に設けられた福祉特選コースでは、第一期卒業生が今春の介護福祉士国家試験で、全国平均46.8%を大きく上回る60.7%という高い合格率を達成した。学校側、生徒側それぞれに取り組んできたことが大きな成果につながってきている。

校 長: 小松原 誠
住 所: 〒330-0054 さいたま市浦和区東岸町10-36
電 話: 048-885-8625
交 通: JR浦和駅東口徒歩8分、JR南浦和駅東口徒歩10分
学生数: 717名 (2006.7.1現在)
ホームページ: http://www.Komatsubara.ac.jp

 

創立70周年を迎えて

 1936年に真言宗の僧侶が設立した同校は、道徳教育を土台にしながらも、「自分で判断して、社会に進出できる自立した女性を育てる」を建学の精神とし、時代を先取りする教育システムを取り入れてきた。

 例えば、週5日制には1972年頃から取り組み、土曜日を得意分野の家庭研修や部活の専念などに充当。その一方で、私学に求められる進学実績についても、1974年頃から進学、音楽、家政、生活、就職などのコース制を整備するなどして対応してきた。

 「人生80年が当たり前になった現在、就職も進学も“夢”というだけでは現実的でなくなっています。“夢”に必要な資格をしっかり取れるカリキュラムの充実。さらには職業に対する考え方や理解を明確に生徒たちに根付かせ、具体的な将来像を描ける進学、進路の指導。これらのことに懸命に力を注いでいます」と語る白鳥君好副校長。

介護福祉士国家試験、28人中、17人合格
全国平均合格率を大幅に上回る実績

 普通科に在学しながら、介護福祉士国家試験受験資格を習得し、訪問介護員1級取得を目指す福祉特選コース。高校卒業後、福祉の専門学校で2年間学ぶケースに比べ、費用はおよそ半分、時間的にも最短コースといえる。さらに福祉特選コースの進路は就職のほか、介護福祉士を取得後、理学療法士や言語聴覚士、社会福祉士などを目指す生徒のために進学もできる体制をとっていることから、大変人気が集まっている。

 開設わずか3年にして今春、第一期卒業生が介護福祉士国家試験の合格率で高い水準をみせたことに、「勉強の方向性や取り組みの時期が間違っていなかったんだと思っています」と福祉担当の中田美和教諭は語る。

 福祉特選の生徒は毎朝、ゼロ時間授業として8時過ぎには登校して自学自習する。これは1年生から勉強をする習慣を身につけさせるためで、2年生、3年生になると試験問題を解いたりする時間に充てられる。

 そして、大きな実習の山場を越える2年生の冬以降には、特別講座が始まる。2年の冬、3年の春、夏、冬と受験用の講座が用意されているのだ。また3年に進級する直前の春休みには、淑徳短期大学の先生方による「国家試験対策講座」も実施される。
さらに3年生になると、国家試験受験希望生徒に向けて、土曜日に「3時間受験対策授業」も始まる。この3本柱を充実させて取り組んできたことが大きいというわけだ。

 しかしながら、受験対策の授業ばかりを行っているわけではない。2年生では独自のプログラム「福祉コミュニケーション」が取り入れられている。

 これは、視点を広く地域や福祉の現場に向けたもので、特に就職希望者には、地域の情報や在宅ケアに必要な高齢者とのコミュニケーション作りなどが重要なため、実践向きのプログラムが用意されている。

教員と各専門分野講師の連携、協力体制の充実も勝因

 中田美和教諭は言う。

 「我々職員室の専任教諭は4人。これだけではとても専門性の高い指導はできません。私自身も資格を取り、実習体験や勉強の仕方などの指導に説得力を持たせていますが、それだけでも不十分。ですから介護福祉士、看護師、社会福祉士の方々など、専門家を講師として学校にお呼びして、スタッフが揃ったことも勝因のひとつです」

 実際に、福祉特選3年生の国家試験対策の実習を見学してみると、ブルーのエプロンを着けた17〜8人の生徒(1クラスの半分)がベッドメーキングの実習をしていた。8台のベッドを活用して一人が実習、一人がチェックする役(国家試験と同じ形式)となる。ベッドメーキングのチェックポイントは、@寝心地が良いこと、A外観が美しいこと、B清潔であることなどで、例えばシーツにシワがよっていると床ずれの原因になるため、丁寧な作業が求められる。

 生徒は真剣に取り組んでおり、授業で教わったこと以外に、自分たちで工夫している場面も見られた。また先生方も、同校教員と介護福祉士の先生が立ち会ってチームティーチングを進めており、試験を想定して、ときには「気を引き締めるように」という注意が教員から飛ぶこともある。授業では複数人で実習できるが、国家試験では数人の試験官を前に受験者は一人。また、一人ひとりの実技内容が違うため、かなりの緊張が予想されるからだ。総勢11人の教師、講師陣は生徒とともに団結し、合格に立ち向かっていることがよくわかる。

 その一方、試験制度の変化にうまく対応したことも見逃せない。一昨年までは1月の筆記試験後、その合格者だけが3月の実技試験を受け、両方ともを単年度内合格しなければ介護福祉士にはなれなかった。が、昨年度から選択制度も始まり、1月の筆記試験の前に、実技試験を講習会形式でも受けられることになったのだ。

 この講習会には4日間で6〜7万円の費用が必要だが、基礎基本を復習しながら、最終日に実技試験に臨めるため、同校ではこの制度を生徒、保護者に奨励したところ、実技試験には全員が合格を果たした。さらにこの制度では、実技試験合格者は3回の筆記試験受験機会が許されるため、再チャレンジの機会も残る。

特進選抜、東大学習コーチの認知度アップ
目的意識の強い生徒揃う

 この数年、進学実績を向上させるべく新たな取り組みを重ねてきた同校。

 なかでも、特進選抜の東大学習コーチは大きな話題を呼び、今年度はそこに目的を絞った生徒が集まって来たという。

 入学間もない4月後半、青少年総合センター(代々木オリンピックセンター)で行われた2泊3日の勉強合宿には、特進選抜の全学年の生徒が参加。特に、新1年生には保護者も同伴してもらい、大学受験はもはや家庭での保護者の協力なしには難しい状況であることの説明がなされた。

 また上智大、青山学院大、そして東大と、女子高校生憧れの大学を貸し切りバスで巡回見学。生徒のモチベーションアップにつなげる一方、夜は保護者にも教養講座や東大学習コーチの授業を体験してもらうなど、受験に向けての意識付け、環境作りを学校、生徒、保護者が一体となって取り組んでいく体制作りに努めている。

 ちなみに同校では、3泊4日が2回、2泊3日が2回と、年間に10泊くらいの勉強合宿が予定されており、生徒たちは朝8時から夜10時まで勉強漬けとなる。

 「受験には最終的に執念というか、強い意志が不可欠です。特進選抜では7時間授業に土曜日の東大学習コーチと勉強量が多く、進度も速い。ですから、家庭学習のよりよい仕方を早めに定着させたいんです」と渡部隆幸教務部長。

 トップ校の生徒というのは、先輩から学習法を伝統的に伝授されている。

 東大学習コーチのメリットは、授業のレベルや教え方の問題もさることながら、特に今年東大に合格したような、生徒と年齢の近い現役学生から、勉強の仕方やコツを伝えてもらい、家庭学習に役立てることも大変重要だというわけだ。

 もちろん特進選抜では、通常の授業でも学年別に1教科1教師を原則として、教師の責任をこれまで以上に明確にし、年間のタイムスケジュールを自由に、あるいはより有効に活用して、生徒の学力向上のためのサポートを強化している。

 「まず国立に生徒を送り込みたい」
渡部隆幸教務部長はそう締めくくった。

 
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