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中学・高校受験:学びネット

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同志社香里中学校・高等学校

 
  学校改革に独自性、進路の選択肢を増やす試みを実践
 
同志社大、同志社女子大への進学率が平均9割にのぼる同校は、受験に特化した授業ではなく、中・高・大一貫教育でこそ可能な幅広い基礎学力の涵養を学校改革の柱にあげる。生徒が自らの将来を具体的に思い描けるような環境づくりを進めるため、特別講座の企画にも力を注いでいる。また、改革の一環として、他大学への進学希望者には進路委員会が志望校にあった受験指導を一段と強化する体制を整備。ハード面では第2体育館の建設など学校改革に着実な歩みがみられる。

校 長: 生井 武世
住 所: 〒572-8585 大阪府寝屋川市三井南町15-1
電 話: 072-831-0285
交 通: 京阪「香里園」より約20分(徒歩)
学生数: 中学校  744名
高等学校 920名 (2005.5.1現在)
ホームページ: http://www.kori.doshisha.ac.jp/

 

大学で伸びるためには幅広い基礎学力こそ必要

同校の主たる進学先である同志社大学、同志社女子大学は2005年度より
新たな学部を開設した。同志社大の文化情報部、同志社女子の薬学部がそれだ。この改革を受け、従来分かれていた「文理コース」と「国際コース」の2コース制を今年度より廃止した。

そもそも大学の学部新設は研究分野の多様性が進む中、時代の要請を受けての動きだが、系列の中等教育をあずかる同校としては、ますます広がる選択肢の中から真に生徒が自分自身に合った学部を見出せるようサポート体制が求められるわけだ。
中学部では2002年度より共学化に踏み切ったが、その年度入学した女子生徒が今年は高等部1年生となり、同志社女子大薬学部へ進学する選択肢も広がった。また、医学部や理学部といった同志社にはない学部に進む生徒は他大学を受験することになるが、その際、5教科7科目の履修をコース制存続のまま行なうことに困難を感じるようになったのも事実だ。ちなみに昨年度は神戸大学、九州大学、国際基督教大学、早稲田大学などで合格者を出している。

すでに大学生の基礎学力の低下が問題化しているのは周知のこと。細分化されたコース制を導入する中・高一貫校が多く、受験に必要な科目に絞って学習するため、一般教養が低下しているともいわれる。同校の生井武世校長は「限られた科目だけを集中的に学習しても、全般的な基礎学力が伴わなければ、大学に入学した後に学生が持つ資質を発揮することが難しいのではないか」と語る。「むしろ中等教育の段階で幅広い学力を身につけていくことが、大学で専門分野を学ぶ学生を大きく伸ばすことになる」とも。
見直し後のカリキュラムでは高等部1〜2年生で必修科目の履修に力を入れ、3年生で科目選択制を採用する。選択の科目群は(1)人文科学(2)社会科学(3)自然科学で、これらの中から生徒の進路にあった科目群を履修する。新しいカリキュラム、シラバスで学んだ生徒の3年後の進路、大学進学後の成長も期待される。

竹中平蔵大臣も講師を務めた「土曜講座」

生徒が将来進む道を考える上で、どれだけ情報を与えられるか。その情報が的確で生徒の興味を深く呼び起こすものであるかなど、ひとことに進路選択のための支援といっても難しい。同校では昨年度より「土曜講座」と名づけさまざまな特別講座を開催してきた。さまざまな分野の専門家を招き講演や課外授業を行なったり、大学と連携し「一足早い大学の講義」を開催したりと生徒の好奇心を刺激しながら興味深い企画に取り組んでいる。

話題となったのが、社会科教諭らが中心となって企画した「経済を学ぼう」の7回連続講座だ。そのうちの1回で竹中平蔵大臣(内閣府特命担当大臣,郵政民営化担当)が講師を務めた。竹中大臣は同志社大学経済学部の篠原総一教授らと合同でNPO法人を設立している関係上、多忙をおして講師を引き受けてくれたという。学校側が困惑するほど参加希望者が多く、人気は上々。日本経済の現状を具体的に話す竹中大臣に生徒らは熱心に耳を傾けた。質疑応答では郵政民営化に関する質問が生徒から出され、大臣が熱弁を奮う一幕もみられた。

「土曜講座」にはこのほかに資格講座、ステップアップ講座などもある。資格講座では漢字検定、英語検定などの資格を効率よく取得するための支援をおこない、ステップアップ講座は学力のレベルアップを図る内容となっている。週5日制を利用した「土曜講座」の企画が今後も楽しみだ。

進路について考えを深めさせるための取り組みは、総合的学習の時間を通しても行なわれる。中学1年生が入学すると、同志社という学校についての学習を始める。創立者新島襄の生き方を学ばせることから始まり、2年生では職業について学習を進める。3年生ではさらに具体的に関心が持てるよう、社会人講師を招き、それぞれの職業の観点から「なぜ、勉強しなければならないか」など、仕事と学習の接点についても考えさせる。昨年度はデザイナー、新聞記者、映像プロデューサーなど12名の社会人講師から話を聞いた。

男女共学、AO入試で活気づく

2000年度に初めて高等部の「国際コース」から共学をスタートさせ5年目を迎えた。「当初は生活指導面などで不安もありましたが、2年目からは特に女子生徒だからといった気負いも解け、次第に校内が活気付いてきました」と生井校長。文化祭や体育祭には華やかさが加わり、日常の学習や学級活動でも何ごとにも意欲的な女子生徒に男子生徒も良い意味で刺激を受けているという。

共学化を機に施設面での増改築が必要となり、1999年度に学舎「友愛館」を完成させた。情報教室、多目的教室、特別教室のほか、茶室や屋上にプールを設けるなど施設面での拡充を行なってきた。さらに今年度は第2体育館建設に着工し、2006年度竣工の予定。女子のクラブ活動が活発に行なわれるようになり、体育館も手狭になってきたという。

クラブ活動が活発に行なわれるようになった理由は、AO(総合評価方式)入試の採用によるところも大きい。同校のAO入試は個人報告書(内申書)に記載される9教科の評定(10段階90点満点)、特別活動(15点満点)、生徒会活動(10点満点)検定(5点満点)、自己推薦(5点満点)、作文(10点満点)により選抜される。特別活動では運動系のクラブ活動で全国大会や府大会などに出場した選手が多く、成績も10段階評価で平均8程度と優秀だ。また、生徒会活動でリーダーシップを発揮した経験のある生徒や、バイオリン、ピアノ演奏に秀でた生徒などが受験生に多い。AO入試による高等学校普通科の募集定員は男子15名、女子45名の合計60名だが、今年は応募段階で人数が大きく増え74名が入学した。生井校長は詳しい分析はまだ行なっていないとした上で、「国際コース」を撤廃したことから、女子も幅広く学べる学校として人気が出たのではとの見方をしている。
常に世の動向を敏感に察知しながらも、決して大きな流れに流されることなく必要な改革のみを取り入れ、あるいは模索しながら独自路線を進む。そんな学校改革に終わりはないようだ。

 
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