大学訪問や模擬講義で大学の中身を熟考
進路のミスマッチが大幅に減少
「これまでは、卒業後の進路を深く考えず、大学名で選んだり、何となく進学する生徒が多かったのです。そのため大学入学後にミスマッチに気づくケースが多々ありました。これではいけないということで、まず大学とは何か、どういう勉強をするのかを理解させるように方針を転換していったのです」
こう語るのは、この春、就任した山縣真平校長。同校で40年近く教鞭をとってきたベテランである。
高校には、難関国公立大を目指す「パワーコース」、国公立大を目指す「英数コース」、希望進路を実現する「プレップコース」の3つがある。パワーは京都大、英数は大阪市大、プレップは関西大の協力を得て、毎年6月に大学訪問を行っている。また、プレップは近畿大や摂南大と連携し、実際の講義や実験にも参加。大学の授業がどういうものなのかを肌で感じ取る活動を行っている。
「そういったカリキュラムを積み重ねてきたおかげで、自分の進路をしっかり見つめる生徒が増えてきたのです。例えば、看護師を志望する生徒は進路を緻密に調べ、有名大学の看護学部ではなく、あえて専門学校を選ぶ生徒もいるほど。専門学校の方が就職に有利なのだからです」
推薦枠も多い。高大連携大学では立命館16名、関西大23名を始め、244名の枠がある。指定校推薦では同志社8名、日大8名など700名分の枠。計183大学944名の枠を有している。
「生徒数よりも多い推薦枠があるおかげで、以前は推薦入試で早く進学先を決めたいという生徒も多かったのですが、今は妥協をせず、一般入試に挑戦する生徒がほとんどです。プレップコースでは推薦枠を使う生徒は、24%まで減りました。その結果、今春は関関同立、産近甲龍の合格者が過去最高になりました」
今年で共学化7年目。現在、女子は4割を占めるまでになった。
「共学化にして、まったく別の学校になったと感じています。何より団結力が強くなった。毎年、京セラドームで体育祭を行うのですが、一丸となって盛り上げようというムードが生まれましたし、保護者も1000名近く来てくださる。女生徒は行動力があり、細かな作業も得意です。文化祭でもクラスごとにTシャツを作ったり、催し物を企画したりと積極的に動きます。女子が率先して空気を変えていってくれたと思います」
校内予備校で専門的な受験対策
英語力養成のため多彩なプログラムも
パワー、英数の2コースは平日7時間授業。加えて放課後には「校内予備校」を実施。予備校の勤務経験のある本校教員が中心になって、入試対策を徹底して行っている。授業料は市価よりもかなり安価に設定されており、保護者にも評判だ。
「20時45分まで開講しているのですが、本校は駅から近く街中にあるため、帰りが遅くなっても安心できる立地です」
他にも応用力に特化した「土曜スペシャル講座」や、準1級まで対応可能な「英検対策講座」、難関大への英語力を養う「英語力アップ講座」など、数多くの課外講座が開かれている。
グローバル教育も多彩で、春休みはオーストラリア、夏休みはカナダで語学研修を実施。フィリピンのセブ島では、マンツーマンの実践的な語学研修も行っている。中学は、昨年からネィティブの教員を増員し英語オンリーの授業も行っている。
修学旅行に関しては、パワーコースは米国ボストンへ。他コースはこれまで13年間、ドイツへ出かけて現地のギムナジウム(中高一貫校)との交流活動を行っていたが、近年ヨーロッパで相次ぐテロの影響もあり、昨年からオーストラリアへ行き先を変更した。
「大学入試改革はまだ具体な中身がわかりませんが、いずれにせよ、入試で英語が大きなウェイトを占めるのは間違いない。変化に柔軟に対応できるような体制を整えていく予定です」
|
スポーツでも名を馳せる上宮。大規模校だけにクラブ活動も多く、野球、柔道、剣道の活躍は全国的にも知られている。運動部ではソフトテニス、卓球、フェンシング、クリケットなども活躍しているが、ユニークなのは書道パフォーマンス部。毎年「書の甲子園」に出場し、優秀な成績をおさめている。
「放送部は体育祭で実況中継を担当したり、ストリートダンス部もあるのですが、様々な全国大会で良い成績を残しています。クラブで活躍している生徒は、総じて成績も優秀です」
来春は上宮学園中学校がスタート
2019年には新たな校舎が誕生予定
1890(明治23)年、浄土宗の大阪支校として設立された上宮。2020年には創立130年を迎える。その記念イヤーを控えて、いま新たなプロジェクトが進んでいる。
まず来春、同じ学園グループの上宮太子中学校と統合し、上宮学園中学校としてスタートを切る。
「本校には、ICTの最新設備が揃っています。それらを活用してより実践的な授業を進めるためには統合をした方が効果的だと考えました。今年中にさらに機器を導入して来春に備える予定です」
そして、高校の校舎を全面的に新設する。
「本校の校舎は昭和4年に建設され、大阪大空襲でも奇跡的に焼け残った由緒ある建物です。建築文化財としても貴重なものですが、さすがに80年以上経ちますので老朽化が進み、130周年を機に新設することになりました」
現在、校舎のある場所にはスポーツ関連の施設を作り、文武両面の向上を図っていく予定だ。新校舎の竣工は、2019年の秋を予定している。
|