新たにセミナーハウスと学生寮を建設
創立70周年を4年後にひかえ、同校ではハード・ソフト両面からの改革を行っている。
まず、ハード面では、セミナーハウスと学生寮を新しく建設する。平成17年夏の完成を目指し、現在は「新施設開設準備委員会」を立ち上げ、若い教員を中心に生徒らが喜びそうなものをとネーミングや食堂のメニューなど検討中だ。
セミナーハウスは、1階に240席のカフェテリア、2階には研修室と宿泊室を設ける。
「カフェテリアは吹き抜けで、ガラス張りのおしゃれなものにする計画しています。ガラス張りだと彦根城や美しい緑も楽しめますし、女子生徒が特に喜んでくれると思いますよ」と笠原武夫校長は顔を輝かせた。
また、スポーツをするために遠方からも入学を希望する生徒も多く、まずは男子生徒のための学生寮を敷地内の桜並木に面して建設予定。安全で、管理も行き届くため、今後はもっと多くの優れた選手が集まる可能性がある。
体育部は、硬式野球部の他、男女バレーボール部、柔道部、卓球部、レスリング部など全国優勝を目指す実力あるクラブが揃い、文化部も男女50人を超す吹奏楽部や書芸部などが校内外で活発に活動を行っている。これらの部活動を行いながらも成績が良く、大学への進学を希望する生徒も多い。
同校では、生徒の多様な進路に合わせた指導を行うために、5つのコースを設け、2年次から各コースで細分化され、3年次には12の専攻に分かれる。中でも新設される「アドバンス医療系特進」専攻は滋賀県では他校にないコースで、かなり注目を集めそうだ。
多様な進路に合わせ5つのコース・12の専攻
近江高等学校では、生徒の進路に合わせて5つのコースを設けている。
まず、特別進学コースの「アカデミー」。国公立大学や最難関私立大学を目指すコースだ。2年次から文系と理系に分かれ、3年次にはさらに国公立と私立とに分かれる。11年前より設けたコースで、年々実績が伸び、現高3生の中には京都大学の合格ラインに達している生徒もいる。1クラス20名ほどの少人数制で、きめの細かい指導を行っている。また、8限まで授業を行い、3年間で4年分の授業時間数を確保している。
「8限目まであるので、授業が終わるのは午後5時頃です。しかし、教師と共に夜8時くらいまでは学校で勉強していますね。これでも早くなった方で、昨年は10時頃までやっていたんですよ。互いの信頼関係がしっかりできていて、2人3脚で受験に臨んでいる姿勢には感心しています」と笠原校長は話す。
クラブ活動と勉学とを両立しながら難関大学を目指す準特進コースの「アドバンス」。このコースは2年次に3つの専攻に分かれる。新しく設置された医療系特進と理系進学、文系進学だ。医療系特進専攻は、看護師・医療技術者・管理栄養士などの資格取得を目指す大学への進学を目標とする。夏休みなどには体験学習として病院等でボランティアを行う予定だ。
「最近、医療系は職業として人気がありますから、きっと志望する生徒は多いと思います。40人以上になればコースとして独立させたい」と笠原校長。
高校生として幅広い教養を身につけながら3年間でじっくり自分に合った進路を選択できる進学コースの「ジェネラル」。短大や専門学校への進学を目指す生徒が多いが、進路に応じて学年進級ごとに「アドバンス」の3つの専攻へのコース変更もできる。 |
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資格を利用して4年生大学への推薦も。商業科
同校にはこれら3つの普通科のコースに加え、商業科もあり「スペシャリスト」と「セレクト」の2つのコースを設けている。
「スペシャリスト」は、簿記・情報処理・ワープロなど各種検定の上級資格を取得し、大学進学へつなげるコースだ。これについて笠原校長は次のように説明する。
「昔は就職のイメージが強かった商業科は、今は推薦で大学へ行く道の1つになっているんです。例えば簿記1級があれば、同志社の商学部や滋賀大の経済学部へ進学できるチャンスがあるんですよ」。専門スタッフが徹底的に補習授業を行い、資格取得に万全を期している。
「セレクト」は2年次から経理・デジタルメディア・ITビジネスの3つの専攻から得意分野に絞って学べる。また、「スペシャリスト」へのコース変更も可能だ。
学年制で、より一丸となった教員団
学校改革で最も大切だと言われる教員の意識。同じ方向を向いて教育にあたることで、大きな力を発揮する。同校も1年生の教員は生徒指導担当、2年生は学校の中心部になる教務、3年生は進学と就職の担当に分かれて学年別の職員室にしたため、横の連携が密になり、生徒の状況をさらに把握できるようになったという。
「いろんなタイプの生徒がいて、活気があるのがこの学校のいいところです。進路が多様で指導は大変だが、先生方もよく話し合い、面倒をよく見ることには自信がありますよ」と笠原校長は締めくくった。
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