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中学・高校受験:学びネット

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四條畷学園高等学校

 
  「報恩感謝」を原点に
誠実で豊かな人間性を育てる
創立86年。大正から昭和へと移り変わる時代の渦中に誕生した四條畷学園。ヨーロッパの先進性と、日本的な慈愛の精神性を取り入れた教育は、長い年月をかけ地域に根差し、着実な評価を得ている。実践躬行を貫く独自の教育スタイル。その原点を紐解いていただいた。

校 長: 山 光夫
住 所: 〒574−0001 大阪府大東市学園町6-45
電 話: 072−876−1327
交 通: JR学研都市線「四条畷」駅下車徒歩1分
学生数: 1,396名 (2012.9.1現在)
ホームページ: http://www.shijonawate-gakuen.ac.jp/hs/

 

80余年前の校舎外壁のレンガに刻まれた
学校創設者の情熱と願い

 大阪の中心部からJR学研都市線で13分。四条畷駅に降りると、目の前には緑に覆われた生駒山系飯盛山がそびえる。その手前に広がるのが四條畷学園の広大な敷地だ。学園都市らしい落ち着いた街並の中でひときわ目を引くのが昭和4年に建設された外壁がレンガ調の校舎。戦災を免れ、昭和初期のモダンな建築様式を今に伝える校舎は、貴重な近代遺産と言ってよい。威風堂々たる風格だ。壁面に近づいてみると、レンガの一つひとつに当時の生徒や先生方の言葉が刻み込まれていることに気づく。「実践躬行」「Manners makes man」。「“実践躬行”は、品格は知識を学ぶだけでなく、身をもって行うことにより修得されるという理念。Manners makes manは、礼儀正しい行いが人を成長させるという意味です。創立時の先生方が、こういう学校を作りたいと理想の教育像を言葉に託してレンガに刻んでいったそうです」と山光夫校長は歴史を説明してくれた。

 四條畷学園の創設は、1926(大正15)年。創設者の牧田宗太郎氏がその数年前にヨーロッパを訪問、かの地で高い理念に基づく女子教育が実践されているのを見聞し、日本にもその必要性を痛感したことに始まる。

 学校設立の背景には母と子のドラマも秘められている。宗太郎氏と弟の環氏は、大阪城に仕える武家の出身であった。しかし明治維新で武家は解体し、生活困窮に追い込まれる。苦しい境遇にも関わらず、兄弟の母栄子は七人の子どもたちに愛情を注ぎ、その訓育・教育に全力を尽くした。お陰で、宗太郎氏は教育界、環氏は実業界でわずかでも社会に役立ち活躍することができた。母の恩に報いたい。そのために何をすれば良いかと熟考した二人は「子どもを立派に育てる力を備えた女性を社会に送り出すことこそ最大の恩返し」と判断。大正15年、先進的な女子教育を旨とする学校を、歴史ある四條畷の地に設立したのである。

 母の恩に報いるための教育事業。そこには先人から受けた恩を次代へと受け継いでいこうとする気概が込められている。その建学の精神を受け継ぐべく、同校は今も「報恩感謝」を建学の精神に理念に掲げている。

「実行から学べ」
実践してこそ品性人格を磨くことができる

 創立から86年経った今では、時代の求めに応じて男女共学校へと変化し、着実な基盤を築いてきた同校。今年、建学の精神・教育理念・教育方針を改めて学校案内の冒頭に掲載した。

「生徒が3年間で着実に成長しているか、卒業後も成長し続けられる土台を作っているか。心豊かな生徒を育てられているか。まずは教員自らが理念を振り返り再確認していくことが、より良い学校運営・教育活動につながると考えたのです」と校長はその意図を語る。

 「報恩感謝」の精神と教育理念「人をつくる」は、具体的な教育場面にも表れている。同校が掲げる教育方針の四本柱は「個性の尊重」「明朗と自主」「実行から学べ」「礼儀と品性」。この四項は当然カリキュラムに反映されているが、中でも重視されているのが「実行から学べ」だろう。文字通り、机上の理論ではなく、何事も実践してこそ真の学びがあるという考えだ。

 同校には現在3つのコースがある。進路に応じて選べる「総合コース」、保育士や幼稚園教諭を目指す「保育コース」、国公立大や難関私大を目指す「特進文理コース」だ。ユニークなのは、「総合コース」のひとつ「吹奏楽クラス」だろう。同校の吹奏楽部は全国レベルで高い評価を得ているが、音楽を学ぶ生徒が、吹奏楽という集団活動を通じて実際にコミュニケーションを深め、東日本大震災復興支援など多様な場面で活動し、知識や技術だけではない、真の音楽力を習得して人間性を豊かにし社会に貢献できる人を育てようとしている。

 「保育コース」では、系列の幼稚園で生徒がボランティアでお手伝いに行く。また系列の短期大学にも保育学科があり、専門の先生が保育指導や個別にピアノレッスンを行うなど、実践指導に重きを置いている。

 「特進文理コース」の「国際APEXクラス」では、オーストラリアで最長1年間の留学生活を送ることができる。留学経験を活かし、英語AO入試等で高いレベルの大学に進学する生徒も少なくない。

総合学園の強みを活かして
人生観を育成するキャリア教育

 「人づくりをしっかりとやりたいと思っているんです」と、静かではあるものの熱意を込めて語る山校長。「進学や就職指導とともに職業観・人生観を育てることも大切。生徒が高校生活を満喫し充実させながらも、3年後、10年後にどういう人になりたいか。将来をじっくりと考えられる教育に力を注いでいきたい」

 人生観をしっかり見据えた上での進路選択。キャリアデザイン教育は、今、高等教育では大きな課題だ。同校では総合学園の強みを活かし、様々な取り組みを行っている。系列の短大に140もの講座を持つライフデザイン学科がある。そこから講師陣を招き、総合学習の時間に多彩な科目・資格のレクチャーを行っている。また学外からも各界プロフェッショナルを招いて、共に進路を考える時間も設けている。今後は、高校生なりの新しいインターンシップ体験も構想中だ。

 インタビュー中、山校長は「誠実」「ていねい」「人間性」という言葉を何度も繰り返した。「華々しい校歴や進学実績、活動実績を喧伝すればよいのでしょうが、実際の教育現場は、一人ひとりの生徒のために地道で粘り強い取り組みを求められており、立派な文言にならない部分にこそ、先生方は心を砕いています。教育の理念を現場の活動に浸透させるような、そういう日々の地道な努力の積み重ねこそ大事にしたい」と。

 誠実に、一歩一歩、ていねいな教育を行い、地域の人々の信頼を得てきた四條畷学園。建学の精神に込められた「恩に報い、感謝の念を持ち続ける」教育スタイルは、しっかりと今に生きている。

 
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