昨年創立60周年を迎えた清教学園。キリスト教の教えに基づき運営される学校は、国際交流が盛んで、英語教育にも熱心だ。そんな伝統校で「とても楽しい!」と人気を集めているのが、樋口博一先生の英語の授業だ。iPod片手に電子黒板に向かう先生の授業を見学し、授業に込める思いを伺った。
清教学園中・高等学校は、河内長野市の長野公園に隣接する丘陵地帯にある。南海・近鉄「河内長野」駅から、専用通学路“しらかしの径(みち)”を歩いて約10分。勾配がきつい登り坂が続くが、森林浴をしているようで清々しい。校舎からは市街地が一望できる抜群の教育環境だ。
同校は難関大学への現役合格率の高さを誇る中高一貫校だが、当日参加した高2生の授業は、従来型の受験のための授業とは一線を画するものだった。
樋口先生の流暢な英語が響く教室に入ると、突然アップテンポの曲が流れ出した。女性歌手、アヴリル・ラヴィーンの歌声の音源は、先生が手にするiPodだ。それを機に全員が席から立ち、2人1組となって向かい合う。楽しそうにリズムをとる姿もある。音量に負けない大きな声で、先ほど習った英語と日本語訳を反復し、ラリーのように続ける。ペアワークと呼ばれるトレーニング方法だ。音楽があると発声練習にもなる。 |
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「説明を聞いてわかったつもりでいても、英語は身につかない。練習しないとピアノが弾けないのと同じです。英語も実技科目だから…」と樋口先生。授業中にしっかり練習の時間をとるのはこのためだ。本当にできているかを自ら試し、頭に定着させる。そして、日本語を聞いて、文法を意識しないでも自然に英語が出てくる「クイックレスポンス」ができるまで繰り返す。話したいことが即座に言える“使える英語”を身につけるために非常に重要なトレーニングだそうだ。
また、能率アップに繋がっているのが巨大なホワイトボード。教材を映写し、パソコン操作ができる電子黒板だ。英文を書き写す時間が授業から消えた。
大学卒業後、「話す能力を身につける英語教育」を研究テーマにカナダに留学もした樋口先生。その成果が今に繋がっているという。
「自分の意見を堂々と英語で話せる国際人になってほしい」と生徒たちにエールを送る。先駆的な30代の若きホープに寄せる伝統校の期待は大きい。 |
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