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中学・高校受験:学びネット

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追手門学院中学校・高等学校

 
  システムづくりから教育内容の充実へ校舎新築で改革2期へ
阪大、神大など難関国立大へも実績を伸ばしている追手門学院中学校・高等学校が、「進学特化宣言」で、さらに改革を推進中だ。スモールステップで達成感を味わい、さらなる学習意欲を生み出す学習システムや、職業観を育み志望校選択に結びつける「未来・進進プロジェクト」など中学段階の取り組みが注目される。来年4月には新校舎が完成予定。ソフト、ハードの両面で改革第2期へと向かう追手門を取材した。

校 長: 岡本 平
住 所: 〒567-0008 茨木市西安威2-1-15
電 話: 072-643-1333
交 通: JR「茨木」、阪急「茨木市」「石橋」「北千里」、北大阪急行「千里中央」の各駅よりスクールバス運行
学生数: 中学校  176名
高等学校 1024名 (2007.9.1現在)
ホームページ: http://www.otemon-jh.ed.jp

 

コース制を一本化

中学校にコース制を導入したのが6年前。その一期生が今春、阪大、北大、防衛大、早稲田大など次々に難関国公立や難関私大に合格していった。彼ら六年一貫コースの一期生は中一九月での平均偏差値は47であったが、明るく前向きな追手門スピリットに育まれ、6年間で大きく成長したことがうかがえる。
一般に、伸ばす学校の指標として、国公立大への合格者数が目安となりがちだが、関西では特に文系学部への進学希望者の間では、「地方の国立より、地元の関関同立」の傾向があり、同校も例外ではない。そのため、国公立大合格者数45名に比べ、関関同立への合格者延べ人数は211名となっている。

中学校では、これまで「アカデミック」と「ダイナミック」の2コース制を採用していたが、2008年度より教育改革の一貫として「特進アカデミック」コースに1本化することになった。大切な将来の進路を考え、進路実現に向けて努力を継続する生徒を育てる『未来・進進(進学+進路)プロジェクト』を立ち上げ、目標を難関国公立への現役合格としている。

入試委員長の木内淳詞教諭は、「今の子どもたちは友人関係でつまずくと修復不可能なケースもみられる。生活力をつけさせ、つまずきを乗り越えていく指導をこれまでどおり行っていく。1コース2クラスになることで、クラス替えも実施できるので、さらなる友人関係の広がりも期待できる」。と言う。

ただ、「特進」という言葉を用いている点について、「一部の生徒だけを特別に伸ばすという考えはない。コース名が変わり1本化しても、これまで通り、一人ひとりの生徒を大切にして、学力を伸ばす教育姿勢に変わりはない」と、木内教諭。

生き方を積み上げていく スモールステップ指導法

6年前に始まった改革は、主に志望大学への合格に焦点を当て、そのシステムづくりに邁進してきたが、今後展開される改革の特徴は、追手門の教育目標である「自律・協同・創造」を柱に据えた教育コンテンツの提示、実践に集約される。追手門のカラーは特別なエリートを生み出す教育ではなく、「みんな一緒に育ち合う」教育である。中間ボリューム層に対する手当てを充実させ、自学自習のための動機付けに力を入れていく考えだ。

そうした考えから生まれた学びのプログラムのひとつに「サイクル学習」がある。1週間をサイクルとして、目標を小刻みに設定し、確実に到達度を上げていくとともに、達成感を味わうことで次への学習意欲を高める工夫が凝らされている点がメリットといえる。
入試委員を務める住谷研教諭はサイクル学習について「授業を充実させることを前提条件として、英、数、国の履修内容を復習するための宿題を週末に出します。これを月〜火曜に提出し、同時に確認テストを行います。すぐに採点し、成績不振者には木〜金曜にフィードバック講習を実施し、到達度を満たしている生徒は個別学習室での学習に自学自習方式で取り組みます。といっても、チューター(教諭)が待機していますから、質問も可能で、より高いレベルの課題に取り組むことができます」と説明する。

フィードバック講習は毎週10名程度の少人数で行われるもので、基礎学力が定着し、底上げができており、これまでの定期考査の結果をみても、その手ごたえを感じているという。苦手科目を作らず、わかる喜びを味わうことのできるプログラムとして定着している。ちなみに、毎年、4月に行われる新入生対象の宿泊オリエンテーションは、主に親睦目的で実施されてきたが、今春は効果的学習方法の解説を盛り込んだところ、サイクル学習において、個別学習室に残って学習する1年生が増えたという。

「進路観」を育み、人間的成長を図るプログラム

さて、今ひとつ注目すべき取り組みとして「進学+進路プロジェクト」がある。6年間を通して進路について考えることと、進学先の選定を一体化させて指導するもので、将来の職業観を育みながら人間形成を行う目的を持たせている。中学1〜2年次には、自分自身が関心を寄せることや適性に気づかせるとともに、勤労観を育んでいく。
中学3〜高1年次には、さらに自己理解を深め、具体的な仕事、学問分野に踏み込んだ将来像を描かせていく。社会問題について理解を深めるのもこの段階で、自分自身と社会の接点を考えるよう指導がなされる。その指導の一環として今年度から中学生全員に対して同校卒業生による職業講話が実施された。料理研究家・アナウンサー・歯科医・弁護士など様々な職種の話を生徒たちは驚くほど真剣に耳を傾けていたという。
高2〜3年次は、それまで膨らませてきた「就きたい職業」、「なりたい自分」を実現すべく具体的に進学先選定を行う段階となる。大学の学部・学科研究、オープンキャンパスへの参加、志望校研究と踏み込んでいくことで、受験への動機付けを着実に行えるよう取り組みがなされる。

新校舎の随所に語らいを生む工夫

ハード面では新校舎を第T期〜第V期に分けて建設中であるが、来春には第T期分の教室棟が完成する。設計には生徒同士はもとより、教諭ともこれまで以上に近い関係が築けるよう追手門らしさが取り入れられている。各階の幅の広い廊下に設えられた交流スペースや談話スペース、オープンカウンター式の職員室がそれである。また、中学生の教室は新築校舎の1階に予定しているが、職員室も近く、学校生活に慣れるまでの新入生にとっては使い勝手が良いように配慮されている。吹き抜けのあるスペースでは、床暖房も施され、体育祭や文化祭時の創作スペースとしての活用が今から期待されている。自習室も各階に準備されるなど、今後、教育活動の充実度はさらに増すとみられる。

追手門の生徒像といえば、健康的で明るいイメージが先行する。もともとそうした資質を持った生徒が入学してくることも一因だが、生徒に対する教諭たちの接し方が、影響している面もある。木内教諭は「本校の教師はメッセージを発するだけではなく、生徒からの声に耳を傾ける姿勢が基本的にある。生徒にとっては、親でもなく、友達でもない、一番近いところにいるオトナではないか」と話す。新しい校舎の交流スペースで、師弟間のさまざまな語らいが生まれる日も近い。

 
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