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中学・高校受験:学びネット

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学校法人 静岡理工科大学 星陵高等学校

 
  21世紀型教育で「自分軸」を持ち
変化を恐れず「解なき世界」に挑む
「新たな価値」を創造する星陵生たち

 学校という場は何を創り出せるのか――「知識や技術だけではない、卒業後の長い人生を支える『軸』を、生徒と一緒に悩みながらつくっていくこと」と真摯に答えるのは星陵高等学校校長・渡邉一洋先生。解のない予測不能な時代を生き抜くための確たる「自分軸」を育てる仕掛けをつくり、生徒と教員には「変わり続けることを恐れるな」と説く。一見矛盾するこの2つの課題を見事に克服していく同校の生徒と教員の挑戦の日々を伝えた。

校 長: 渡邉 一洋
住 所: 〒418-0035
静岡県富士宮市星山1068
電 話: 0544-24-4811
交 通: 富士・富士宮周辺で全22ルートの
スクールバスを運行
(夏期・冬期講座時も運行)
生徒数: 1433名
URL: http://www.starhill.ed.jp/jhs/

 

 

「解なき世界」に挑み
矛盾を越え、価値の創造へ

 昨年の2学期終業式、渡邉一洋校長先生は、全生徒約1300名に語りかけた。「一年間を振り返り、最も上手くいかなかったとき『ダブルバインド(二重拘束)』に陥っていなかったかどうか。過去の成功体験からくる認識のズレがなかったかどうか。今だったらどんな行動を取るか。考えたことをClassi(クラッシー)に挙げてください」。「Classi」はベネッセホールディングスとソフトバンクが共同開発した、先生・生徒間で情報を共有するICTツールだ。件の質問の意図を改めて伺った。

 「解決策は矛盾から生まれる。現状を省み、違う角度から様々なオプションを考え、悪い状況から脱する方法を自ら考えてほしい。要は『考え方の転換』です。それができる人材を育成するのが星陵の教育です」。

 校長先生の質問に対し、同日中には半数ほどの生徒から返信が届く。Classi の利用率の高さは中部9県の導入校のなかで群を抜くという。学校全体で取り組んでいるSDGs(持続可能な開発目標)に基づき、深刻な社会問題も生徒に投げかける。「解なき世界」に向き合うのは星陵生の日常になっている。そこには校長先生の切実な想いがある。

 「いま社会全体が世界観・価値観を変える身繕いをしています。イノベーションとは単なる技術革新ではなく、『新たな価値の創造』。過去と現在を知り、自分の中で新しい価値観を再定義するということです。まず教員自身が、時代の変化を恐れず、何事にも果敢にチャレンジしなくてはいけない。来るべき社会に貢献できる人材を育成する――それが我々の使命です」。

自分を知り、表現する
共に生きる世界を創る

渡邉 一洋 校長

 自分の考えを生徒がスマホなどからClassi に入力すると、一人ひとりの「学びのデータ」に蓄積され、ときには授業内でも共有される。「記憶は消えても記録は残る。3年後にすごい財産となる」と語るのは入試広報課長・佐野北斗先生。予習やテストの記録、正答率や誤答傾向も瞬時に分析、ボランティア活動や受賞歴、進路希望などの情報は担任以外の教員も共有できる。多面的に生徒を理解し、より親密なコミュニケーションができる余裕が生まれたという。

 余裕ができたのは生徒も同じだ。昨年度から17時には授業・進学講座が終わるように時間割が見直された。部活に打ち込んだり、探究活動では先輩から後輩への知識や技術の継承や、学年を越えたコミュニケーション等が見て取れ、何より生徒が自分を振り返る時間ができた、と佐野先生。校長先生も「自分軸」を持つ重要性を生徒に伝えている。

 「『誠実な心で事に当たる』『友情の和を広げる』『厳しさを自ら求める』――この「誠・友・厳」は生涯実践してほしい校訓。そのために『自分軸』を持とうと。世間にあふれる情報に振り回されずに『自分』というものを磨いていく。しかしそれは独りよがりなものであってはいけないんです。かたよりのない価値観を持つために世界の多様さに目を向け、SDGsを勉強しようよ、と生徒に直接呼びかけました」。

 文化祭のテーマもSDGsに統一された。星陵祭は毎年五千人を集める地域の一大イベント。観客が感嘆した見事な作品群も祭りの後には廃棄される。「そこに無駄は無いのか?」と矛盾を突きつけた。「前例の無い挑戦ですから、生徒たちは本当に悩みましたよ。でもやり遂げました」と校長先生も誇らしげだ。星陵生たちが提示した「自分たちの軸」つまり「新たな価値の創造」は、多くの地元住民・企業人たちに驚きと感動をもって受け容れられた。

次世代に知的刺激を与え
地元とつながる星陵生たち

 2学科6コース(星陵中学校からの中高一貫コースを含む)を設置し、「英数科」総合コース、英数コースは国公立・難関大学進学を目指す。「普通科」は、部活動に打ち込みながら有名私大を目指す進学コース、法人内専門学校(ICT・デザイン系)とのWスクール制を導入している高・専一貫コース、就職率は毎年100%の普通コースを擁する。多様な進路を支援しながら、国公立大学・首都圏難関私立大学への進学率も県内有数の実績を誇る。

 学校見学会は地元の中学生の半数近くが参加する人気ぶり。小学生には「科学の面白さを知ってもらいたい」と星陵ラボ(静岡理工科大学と提携した先進的な研究活動)の「体験プログラム」を開催。「カワノリ再生プロジェクト」や「画像認識技術の活用法」を高校生が小学生にレクチャーする。そんな先輩に憧れて「星陵ラボに入り、自分も小学生に教えたい!」という子どもたちは少なくない。「もっとわかりやすい説明をしよう!」と生徒たち自身の力にもなっている。先端科学教育、グローバル教育では県内でもトップランナーの同校だが、生徒たちの「地元愛」の強さ、深さを校長先生は知っている。

 「東大理Vも行ける実力でしたが浜松医科大に進み、沼津で医師をしている卒業生もいます。みな世界で活躍できる人材ですから外に出るのは当然。でも『必ず戻ってきて地元に貢献するんだ』とわかっていますよ、子どもたちは」。

 自分に、そして地元に「軸」を持ち、夢を求め世界に飛び出す星陵生たち。「変わり続ける勇気を」――学校はメッセージを発信し続ける灯台だ。

 
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