マナビネットオープンスクール2021 ●掲載:塾ジャーナル2021年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

SDGsの活動を通し、フィールドワークで学ぶ
経験と知識を生かし世界につながる人材育成を実現

東海大学付属大阪仰星高等学校中等部

ウッドチップを蒔き、畝たてを体験。現地での経験が大切だ


1983年の創立以来、伝統を守りつつ「真の文武両道」を推進してきた、東海大学付属大阪仰星高等学校 中等部。近年では、生徒や教員、地域の人などが一丸となった「team Gyosei」を結成。さらにSDGsへの取り組みを実践する素養を養うべく、10のチカラを明示した「TG10Cs(Team Gyosei 10 Competencies)」を設定し、SDGsの活動が活発化している。今回はその活動について、生徒会の皆さんと生徒募集対策室副室長の角石佑太先生に話を伺った。



●座談会に参加いただいた生徒会の皆さん(中学3年生)
後列左から高橋秀汰さん、奥西真也さん、小森幹太さん、生徒募集対策室副室長 角石佑太先生
前列左から行光紗芭さん、浅川綾音さん

タネノチカラで驚きと発見の連続
自然に対する考えが大きく変わる

――なぜSDGsに取り組もうとされたのかを教えてください。

角石 佑太先生(以下、角石先生) 同校では、「team Gyosei」として身につけてほしい10のチカラ、「TG10Cs」を設定し、それに絡めたかたちでSDGsへの取り組みを始めました。グローバル化が進むなか世界につながる人材育成のためにも、現地での様々な経験を通し、グループワーク力やプレゼン力などを身につけさせたいと思います。

――SDGsの観点から土づくりなどを学べるタネノチカラという淡路島の施設に行かれました。感想を教えてください。

小森 幹太さん(以下、小森) ウッドチップを蒔くと土が良くなることや、植物を育てると土が減っていくことなど、本やインターネットではわからないことが体験でき、土や自然に対する考えが変わりました。

奥西 真也さん(以下、奥西) ミカンの入っていた網に土を詰めて固めたアースバッグハウスという土の家に入りましたが、とても涼しかったです。土もつくらないといけないことを知って驚きました。

高橋 秀汰さん(以下、高橋) 乾いた葉っぱに生ゴミをのせて層をつくり、それを食べた虫の糞が土になることを知ったのが印象に残りました。

浅川 綾音さん(以下、浅川) 農家の人が置いていった不要なビニールを皆で協力して取り除いた作業が心に残っています。

行光 紗芭さん(以下、行光) 家の近くの土とタネノチカラにあった土では感触が全然違いました。タネノチカラの土の上を歩くと、ふわふわで歩きやすかったです。


スタッフによる循環型社会のアクティブラーニングがスタート(タネノチカラにて)

多角的にモノを見て考える力や
チームワーク力が身につく

――タネノチカラのフィールドワークなどの活動で得たものはありますか。

小森 いろいろな文章を読んで思うことと、実際に見て感じたことをまぜて考え、一つの解決につなげる力がつきました。一つの物事に対して、いろんな角度から考えられるようになりました。

奥西 持続可能な社会のつくり方を学べました。

高橋 肥料なしで作物を育てられることを知りました。石の下に寄ってきた虫の糞で作物が育つことや、暑い時は石が熱を吸収し、寒い時は石が熱を放出してくれることなどの知識を得ることができました。

浅川 わからない単語が出てくるとグループで相談し合い、チームワーク力がつきました。現地に行くことで、SDGsの目標の一つである「つくる責任 つかう責任」に貢献できました。

行光 土に対する考えが変わりました。落ち葉があると捨てずに土に戻して再利用してみようかなと考えるようになりました。

――タネノチカラ以外のSDGsの活動で印象に残っているものはありますか。

小森 京街道をフィールドワークし、ゴミを入れると賽銭を投げたようなチャリーンという音のする、お寺のかたちをしたゴミ箱を皆で考え、ポスターに描きました。そのポスターセッションを一般のお客さんに見ていただいたことです。

奥西 商業施設のビオルネでゴミ箱が少ないことについて聞いたら、事件防止や、家からもってきたゴミを捨てさせないためにという理由だったのが印象的でした。

高橋 SDGsのカードゲームで、最初は経済を伸ばせばいいと思いましたが、すると環境が悪くなる。環境を優先すると経済が落ちてくる。両立の難しさを感じました。

浅川 フィールドワークで、お店のドアが手動で車椅子の人が通りにくいことに気づき、バリアフリーについてもっと知ろうと思いました。あと、少子高齢化を防ぐために地域の特産物を知ってもらおうとキャラクターをつくってポスターセッションをしたのが思い出にあります。

行光 ポスターセッションで枚方市のキャラクターを考えて披露した時、一般のお客さんに感想を言っていただいたのが嬉しかったです。


植物が土の栄養分を吸収するため土が減ったところを見学したり施設内でつくられている良質な土の匂いを嗅がせてもらう。アースバッグハウスの中に入ると非常に涼しくて快適

2030年先の将来を見据えて
SDGsに関わることのできる人材へ

――今後の目標を教えてください。

小森 SDGsに関しては卒業論文を書く予定で、いいものにしたいです。そして、その知識を社会に出てからも上手く活用したいです。

奥西 僕たちが働き始める2030年頃には、SDGsの目標がしっかり実現できたらいいなと思います。そのためにはプラスチックゴミを出さないようにしたりエコバッグを使ったりしたいです。

高橋 将来の目標としては、プラスチックゴミを減らし物置などにリサイクルしていきたいです。

浅川 私はバレーボール部ですが、対戦相手のチームに私生活でも勝ちたいです。そのためにプラスチックゴミを減らしたりエコバックを使ったりと、自分でできることをやりたいです。

行光 タネノチカラに関する発表で、グループで学び考えたことを皆にわかってもらえるようなプレゼンがしたいです。そして、土をつくったりゴミを減らしたりということをやっていきたいです。

角石先生 11月には沖縄へ研修旅行に行き、「循環型社会」というテーマに取り組もうとしています。その後、プレゼンを行ない卒業論文を書きますが、根拠のある内容にするためにデータの使い方を学んだり、東海大学のSDGs専門の教授によるZoomのゼミで生徒の考えを聞いてもらい、専門的な知見を受けたりすることも予定しています。今後はteam GyoseiとしてTG10Csのチカラをつけ、彼らが新社会人になる2030年にはそれぞれの職業を生かしながら、少しでもSDGsに関わっていてほしいです。そして、リーダーシップを発揮できるような人材に育ってほしいと願います。
 
 
 
 

東海大学付属大阪仰星高等学校中等部  https://www.tokai-gyosei.ed.jp

過去の記事もご覧になれます
https://manavinet.com/west/tokai-gyosei-2/