マナビネットオープンスクール2023 ●掲載:塾ジャーナル2023年5月号/取材:塾ジャーナル編集部

2024年度、名門男子校が男女共学化へ始動!
「滝川リーダーシップ教育」で
社会を先導する次代のリーダーを育成

滝川中学校・高等学校

1918年に創立し100年以上の歴史を誇る、学校法人瀧川学園 滝川中学校・高等学校。マッチ王として貴族院議員、神戸商工会議所会頭も務めた瀧川辨三氏が、私財をなげうって設立した中高一貫男子校の名門として名を馳せてきた。2022年度からは希望進路を実現する新たなコース制を編成、さらに2024年には共学化をスタートさせ、独自の教育を男女の別なく提供する予定だ。今まさに大きく躍進しようとする同校の、下川清一学校長に話を聞いた。


自ら切り拓き、社会を変える力を
次代のリーダー育成を目指す

同校の校訓である「至誠一貫 質実剛健 雄大寛厚」は、校祖・瀧川辨三氏が自らの体験や人生観において、心の拠りどころとすべき事柄を定めたものである。この精神は現在も脈々と受け継がれており、同校は数多くの優秀な人材を世に輩出してきた。

その校訓を元に、同校独自の教育として提唱しているのが「滝川リーダーシップ教育」だ。学校行事や進路指導などを通して、「誇りの精神」や「自律する精神」など8つの精神を習得し、次代のリーダーに必要な資質である自信や規律性、主体性などの力を身につけていく。

「変化する時代に対応するためにはリーダーシップが執れ、自らクリエイトできる力が必要です。校祖である瀧川辨三先生が激動期の中で起業したように、自ら人生を切り拓き、自分の力で生き抜いていけるような生徒を育成していきます」と下川清一学校長は話す。

この「滝川リーダーシップ教育」の一環として今、同校が目覚ましい進化を遂げようとしている。その一つが、2024年度から実施される同校の「共学化」だ。男女平等が謳われて久しいが、未だ日本社会での男女格差は歴然としている。このままでは日本は退し世界に通用しないと、下川学校長は憂える。

「そこでぜひ、『滝川リーダーシップ教育』を男女の別なく、広く提供したいと考えています。進路実現を明確化した本校のコースで、女子生徒にも自己実現に挑戦してもらいたい。例えば個人差はありますが、昨今、女子は広い世界を見ようとする傾向があり、男子よりも留学したいという意識が高いです。ぜひ、本校の留学制度も活用してほしいですね。女子にも自らの力で生きてリーダーシップを執り、まだまだ男女格差のある社会を変えていくことができる力を養ってもらいたいと考え、共学化に踏み切りました」

特に中学時代においては、女子生徒の方が男子生徒よりも精神年齢が高いといわれているため、共学化により男子生徒にもいい影響が与えられることを期待しているという。また、共学化にあたっては教員たちも研修を受講したり、ここ2、3年で女性教員を増員するなど準備は万全だ。

「『自分』というものをしっかりと持っている女子生徒の入学を待っています。そして、自分の意見が言え、各分野でリーダーシップの執れるような女子を育成したい。100年以上続く伝統に新しい歴史をつくる女子1期生には期待しています」と、下川学校長は来たる共学化に対する意欲を見せた。

時代のニーズに合わせた
自己実現を叶える5コース編成

共学化とともにもう一つ、特筆すべきは、2022年度から始まった新コース制である。共学化となるのは中学の「医進選抜コース」「Science Global一貫コース」、高校の「Science Globalコース」の3コース。中学の「ミライ探究一貫コース」と高校の「ミライ探究コース」は、従来通り男子のみのコースだ。

中学の「医進選抜コース」は医学部医学科進学を目指すもの。なかでも注目すべきは、医系予備校とのタイアップで放課後に開講される「滝川メディカルゼミ」だ。医学部特有の小論文や面接などの入試対策に関して、予備校の講師や現役医学部生が指導にあたる。細部にわたるサポートで全員現役合格を目指す。

「Science Global一貫コース」では、高い学力と英語力を養い国際社会に貢献できる人材を育成。中学3年は全員参加で3ヵ月間のニュージーランド留学を実施する。ここで英語力だけでなく、「自立」と「自律」を促すことを目的としている。

「ミライ探究一貫コース」は5年間かけて探究活動に力を入れ、自分を見つめ直し進路について考えるコース。「自由度を高め、失敗しつつ成長してほしい」と下川学校長。ゆくゆくは経営者などの滝川OBの協力を得て、企業訪問などのプロジェクト実現も見据える。これも伝統校ならではの強みである。

高校の「Science Globalコース」は、理数科目を強化したカリキュラムを設定し理数教育を重視。それだけでなく、実践的な英語力の育成にも力を注ぎ、ケンブリッジ英語やオンライン英会話の活用、10日間のセブ島語学研修を実施する。

また「ミライ探究コース」では、独自の探究活動をはじめとした深い学びを通し知性と教養、思考力を磨く。とくに高2生対象の「滝川クエストカップ」ではポスターセッションを実施し、探究活動の発表を行う。

100年以上の伝統をさらに進化
新たな滝川創出へむけて

共学化に新コースの編成と躍進が続く同校だが、まだ見逃せないトピックスがある。それは、新校舎の誕生だ。約2年半後の完成を目処に、体育館に隣接する校舎の改築工事を行っている。共学化を視野に入れ、食事のできるカフェ併設の家庭科調理実習室や、プレゼンもできる階段状の形状が特徴的な「レクチャーシアター」などを擁する。また、女子トイレは入口と出口をもつ回廊式など画期的な造りとなっている。さらに運動場も、3年後には芝生化する予定だ。

下川学校長は「100年以上続く伝統を継承しつつ、それをより進化させるという使命感をもってこれからも教育にあたっていきます。また、本校の教育を女子にも開放することにより、新たな滝川を築いていきたい。そして、社会に有為となる人材育成を目指します」と最後に語ってくれた。


過去の記事もご覧になれます
https://manavinet.com/west/2022_7takigawa/
滝川中学校・高等学校 https://takigawa.ed.jp/