マナビネットオープンスクール2021 ●掲載:塾ジャーナル2021年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

理科実験を主軸に21世紀型教育を推進
“リケジョ”の素地を育む「理科教育研究所」始動!

大谷中学校・高等学校

豊田先生は物理の実験をのべ500本近く資料化。実験装置から生徒とつくることもあり、商品化されたものもある


大谷中学校・高等学校は、校祖 左藤了秀氏が唱えた「次世代の命を育む女性にこそ高い教養と豊かな魂を」を理念に、一世紀以上に渡り、社会に貢献する女子教育で時代を拓いてきた。教育方針「やさしく かしこく うつくしく」を掲げ、中高6か年一貫課程と高校からの3か年課程によるきめ細やかな学習指導により、本年度は21世紀型教育へ舵を切り、創設から大切にしてきた理系教育の発展・継承を担う「理科教育研究所」を開所。先進的研究を学ぶ要となる「理科教育研究所」を始め、「Global English Zone」「ICT教育」など最新の取り組みについて堀川義博校長にお話を伺った。


科学的探究心を育む
理科の観察・実験を通して生徒主体の授業を推進

大谷中学校・高等学校は、実験を重視した理科教育において、中学・高校の物理・化学では年間30回ほど実験を行っており、質・量ともに女子校ではトップクラス。いわゆる“リケジョ”を育む環境が備わっている。2019年度、理科教育で成果をあげた教諭を表彰する「東レ理科教育賞」の最高賞である文部科学大臣賞を同校の豊田將章先生(専門:物理)が受賞。これを機に、大学や企業からも注目を集めるようになり、学校長の発案で、理科教育の専門部署「理科教育研究所」を開所した。

堀川校長は「これからの世界はますますグローバル化が進み、多様性の受容が重要視されています。今年実施された大学入学共通テスト問題は、思考力・判断力・表現力を多面的・総合的に評価する入試への転換が図られています。従来の知識偏重の授業から知識や技能を活用して、課題解決力を育む21世紀型教育が求められているのです。このような時代にあって、本校が創設より大切にしてきた理科教育の観察・実験を通して、科学的に探究する生徒主体の授業を推進し、論理的思考力と実践力を養ってまいります」と話す。

理科教育研究所では、同校の理科教員の実験ノウハウを共有し、マニュアル化を推進。オリジナルの実験映像をデータ化・データベース化し、座学や実験準備の際に映像資料を活用することで、生徒の理解度や理科への興味関心を高めるのが狙いだ。

「豊田先生の映像資料は、教科書会社に採用されるほどの高いクオリティです。今後は化学でも実験映像を増やしていく予定です。デジタル教科書も普及していますから映像コンテンツの必要性はさらに高まるでしょう」

同校の理科教育は公式や理論の成り立ちを理解することに重きを置いている。教科書に載っていることを実験で体験し、自力で考え疑問を解くことで、難解に見える物事でも理解できる自信を育んでいくという。

「一般的に女子は理系が苦手だと思われがちですが、女子は体験を通じて理解を深める傾向があるため、実験という体験で学ぶ本校の生徒は、成長は緩やかですが挫折が少ない。伸び悩んでいても高3の11月頃から成績を上げ、難関国公立大の理系学部に合格する生徒が多いのは本校ならではの特徴です。生徒一人ひとりの持ち味を引き出し、理系の素養・興味・関心を伸ばすのも理科教育研究所の役割です」と堀川校長は続ける。

世界に通じる英語を教育する舞台
「Global English Zone」

社会のグローバル化が進展する中で、文化の違いや歴史的背景に関する知識を身につけた上で、相手の意見を理解する力や自分の考えを相手に伝える力が求められている。同校では、国際共通語である英語力の充実を図る「Global English Zone」を準備中だ。

「英検取得者を2グループに分け、コミュニケーションに重きを置いたオールイングリッシュにより実践的な英語力を身につけます。3級以下の生徒はカタコトでもいいから発話することにチャレンジ。英語を話すことが当たり前の環境に慣れさせ、苦手意識をなくします。準2級以上の生徒は、日常や文化、歴史などを英語で話せるようにし、討論やディスカッションに取り組みます。ネイティブの講師と楽しく会話をしながら、アクティブラーニングをオールイングリッシュでできるようにするのが目標です」

同校は、海外の提携校・姉妹校を多数持ち、学校間でリレーションシップを図れるシステムができ上がっている。また、留学による充実した海外研修プログラムが用意されているため、研修に参加したい気持ちを高め、また研修から戻ってきた生徒が身につけた英語を在校生に教えるなど、学んだ経験を生かせる場としても活用する。


(左)毎年2月開催の「マキロップ杯」と呼ばれる校内英語弁論大会。成績優秀者には海外研修参加支援がある
(右)ドラフトチャンバーを3台有する化学教室、1人1台の顕微鏡を備える生物教室など、実験環境は恵まれている

ICT教育で推し進める
主体的・対話的で深い学び

現在、同校には6か年課程(医進コース、特進コース、凛花コース)と3か年課程(プレミアム文理コース、アドバンス文理コース)があるが、各教科でICTを活用した情報の収集・共有・発信を図りながら、「主体的・対話的で深い学び」を実践している。現在、凛花コースの生徒全員がiPadを使用。来年、中1生と高1生からすべてのコースで導入・活用し、3年先は全生徒が持つ。タブレットを活用した授業がスムーズに行えるよう全館Wi-Fiを完備しており、情報教室では150台のデスクトップ型コンピューターの多目的利用が可能だ。プロジェクターも全教室に完備し、画像や動画の挿入も自由自在に行える。教員には全員に1台のノートパソコンとタブレットを支給、日々教授法の研鑽に努めている。

「プロジェクターを使うことにより、授業スピードが変わり、生徒も受け身にならず主体性を持つようになりました。手書きで書かせたい場面もあるため、ハイブリッド型で進めていますが、ICTにより生徒がその場で発表したものを短時間で共有し、たくさんの情報をアウトプットできます」

有事の際、登校自体が制限される中、オンライン授業と対面授業とのハイブリッド形式が同校でも当たり前になった。ICTは日々の学びを補完するだけでなく、学習ツールとして活用することで、生徒たちが能動的に学び、新しい発見や豊かな発想が生まれるよう、生徒たちの資質や能力を育んでいる。

112年という歴史と伝統を礎に、次代の学びに向けた新たな取り組みに注目が集まる大谷中学校・高等学校。高い志を持った生徒たちは、活躍の場を見出し、グローバルな社会へ羽ばたいていく。

大谷中学校・高等学校  https://www.osk-ohtani.ed.jp/