マナビネットオープンスクール2021 ●掲載:塾ジャーナル2021年11月号/取材:塾ジャーナル編集部

未来型リーダーシップの女性育成のために
一人ひとりが輝く場所へ導く「山手ルネサンス」

神戸山手女子中学校高等学校

日本人の教員が日本語で説明し、ネイティブの講師が英語で例文を伝える授業は好評


1924年、「山手学習院」として産声を上げ、以来、建学の精神である「自学自習」「情操陶冶」の下、女子教育に大いなる貢献を果たしてきた神戸山手女子中学校高等学校。2020年には学校法人濱名学院と法人合併し、「山手ルネサンス」という大きな舵を切るに至った。「未来型リーダーシップの女性育成」を目標に掲げ、英語教育や個別最適化学習、探究学習など教育の柱を次々と打ち立て邁進している。今回は、そのうちの英語教育と個別最適化学習についてそれぞれ座談会を開き、教員や生徒たちに話を伺った。


ネイティブ講師が指導 英語のある生活に
対応できる実用を目指す山手の英語教育


【山手の英語教育について座談会に参加いただいた皆さん】
左から藤田かれんさん(高3)、Paula Angeline G. Reyes先生、Jessica Roldan先生、オット アイコ バンデさん(高2)

――ポーラ先生とジェス先生は昨年から常勤講師として、授業以外にHRや行事にも参加していますが、生徒とどのように関わっていらっしゃいますか。

Jessica Roldan先生(以下、ジェス先生) 毎朝、HRでは“今日の単語”を示します。例えば、今日なら「talkative(おしゃべりな)」。身近な言葉を自然に使えるようにするためです。また探究の授業で、生徒たちがつくる掲示物のデザインを手伝いながら、積極的に英語でのコミュニケーションを図ります。放課後にはイングリッシュルームで、個別やグループでのフリートークを楽しめる「Y2‐Chat」を開設。英会話のレッスンや英検の2次面接指導も行います。ハロウィンやクリスマスパーティーなど季節ごとのイベントも行い、盛り上がりました。

Paula Angeline G. Reyes先生(以下、ポーラ先生) できるだけナチュラルな英語を使って、生徒が会話できる環境をつくっています。

ジェス先生 特に中学生には、イエス・ノーで答えられるような会話を心がけ、英語への抵抗感を柔らげるようにしています。

藤田かれんさん(以下、藤田) お二人との出会いで、日常的に英語を使う頻度が多くなりました。親身になって教えてくださるので、私たちも気軽に楽しみながら英語を使っています。Y2‐Chatの利用も増えました。

オット アイコ バンデさん(以下、オット) 会話をする時、頭の中で文章を組み立てるのは難しいですが、先生方が親しみやすく話しかけてくださるので、間違いを恐れず自信をもって発言できるようになりました。


授業後の復習や欠席時、テスト前に観るなど自分に合うEdTech教材の使い方をする生徒たち

――先生方の授業はどうですか。

藤田 とてもわかりやすいです。先生の手づくりのスライドも見やすく、学習にゲームを取り入れ、難しいスペルも覚えやすいです。いつも授業は笑い声であふれています。

オット 授業はジェス先生と日本人の先生のお二人で進めてくださるので、日本語で理解するべきことと、英語のまま吸収できることがあるので学習効率がいいです。英語の勉強がとても楽しいです。

――生徒に期待することはありますか。

ジェス先生 英検や大学に受かるだけでなく、日々の中で英語がある生活ができるようにしてあげたいです。将来、旅行したり英語を使う職業についたりした時に臆することなく対応できるようになってほしいです。

ポーラ先生 英語を勉強するのは大変ですが、その分やりがいもあるので、喜んでチャレンジする精神を培ってほしい。難しいことに進んで立ち向かえる学習者になってほしいです。

不得意を克服し得意を伸ばすEdTech教材
最適解を見つける力がつくことに期待


【EdTechの個別最適化学習について座談会に参加いただいた皆さん】
左から進路指導部長・中村昌義先生、森夏葵さん(高1)、宮﨑愛華さん(高1)、近藤かりんさん(中2)

――まず、個別最適化学習はどういうものか教えてください。

中村昌義先生(以下、中村先生) 本校は、経済産業省の先端的教育用ソフトウェア導入実証事業の実証校に採択され、個別最適化学習に取り組み始めました。中学は「デキタス」というEdTech教材を使っています。これは学校で使う教科書を登録すると、それに準拠した授業動画の受信やチェック問題等ができます。チェック問題は基本問題が8割以上正解すればチャレンジ問題へいくというものです。
高校では「Qubena(キュビナ)」を使っています。数学は問題演習が中心で、正解すれば次へ、間違えれば前に戻るというもの。英語の方は4技能を鍛え、スピーキングに関しては自分が発した英語を録音すれば星5つで判定してくれます。リスニングに関しては英文が流れてきて練習できます。

――皆さん、使ってどうですか。

近藤 かりんさん(以下、近藤) 授業動画にキャラクターが出てくるので、楽しく覚えやすいです。○×問題に解説動画がついてあり、わからないところを確かめられるのがいいです。

宮﨑 愛華さん(以下、宮﨑) 授業の復習に使っています。問題を間違えたら自動的に戻るので、わかってから進められて助かります。

森 夏葵さん(以下、森) ヒントを見ながら解くことができるのがいいです。私はわからない問題は飛ばしがちなので、わからないと前に戻るこのシステムはありがたいです。

――EdTech教材を通して、ご自身の成長した点はありますか。

近藤 小学生の問題もあるので、苦手なところを小学校レベルにまで戻ってやろうと思えるようになりました。

宮﨑 自宅学習は面倒と思っていましたが、隙間時間があったらやってみるようになり、自然と勉強時間が増えました。

 キュビナを使うことで前に戻って学習したり、苦手なところを繰り返したり、自分の知識がどんどん増えているのを実感しています。


全国水準の強豪クラブをはじめ、文化体験や国際理解に取り組む団体など、さまざまな活動している

【平井正朗校長より】
異文化理解としてのグローバル教育とコミュニケーション・ツールとしての英語教育を通じて、グローバル化がもたらす諸問題に対する政策の選択肢を増やす教科横断的な探究力を育成する取り組みを期待しています。同時に、ICT技術を活用して多様な学びのシステム導入による個別最適化学習で一人ひとりの夢を実現させてほしいと思います。

2つの座談会を通して見えるのは、生徒の可能性を引き出そうとする多彩な取り組みである。その結果、さまざまな分野で活躍する生徒が多いのが同校の特徴だ。一例を挙げると、陸上競技部では兵庫県リレーカーニバル優勝をはじめ、全国を舞台に多数の種目で入賞。吹奏楽部も兵庫県吹奏楽コンクール金賞等の成果を数多くおさめている。ほかにも、マンドリンギター部36年連続全国大会出場や、中学では数学・理科甲子園ジュニア2021兵庫県大会出場、さらに第43回全日本中学生水の作文コンクール佳作、令和3年度兵庫県中学生水の作文コンクール入選など枚挙に暇がない。

生徒一人ひとりが自分らしく輝ける場所へと導く。それが「山手ルネサンス」を掲げる同校の真髄と見た。


神戸山手女子中学校高等学校  https://www.kobeyamate.ed.jp/index.html

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https://manavinet.com/west/kobeyamate/