マナビネットオープンスクール2021 ●掲載:塾ジャーナル2021年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

コースに縛られないから進路は無限大
3年連続、国公立大学に現役生が3ケタ合格

雲雀丘学園中学校・高等学校

探究ゼミ(交通網5回)横断歩道
横断歩道で車が止まってくれなかった経験があるか、参加生徒に尋ねたところ、1人を除き全員がそういう経験ありとのことでした。「止まってくれるなら手を挙げてもいい」「手を挙げても無視する車がいるので、カーナビに止まる機能を入れるとよい」「信号を付けるべき」「車・歩行者の両方が思いやりをもつべし」と様々な意見が出ました。


3年連続、100名以上の現役生が国公立大学に合格している雲雀丘学園中学校・高等学校。今春は、京都大学4名(現役4名)、大阪大学18名(同15名)、神戸大学5名(同3名)など計126名(同105名)が合格した。現役で鳥取大学医学部、大阪大学歯学部など、難関医学系に進学する者も。推薦入試では、京都大学2名、大阪大学8名を含む、計29名(同26名)が合格した。最近は進路に応じたコースを用意する学校が多いが、あえてコースを一本化し、生徒全員に5教科をしっかり学ばせている。多くの入学志願者を引き付ける魅力を探った。


高3の約37%が国公立大学に現役合格
推薦入試の合格者数は合計29名

「今年も国公立大学に多くの生徒が合格しました。105名というと、高3の約37%が現役で国公立大学に合格したことになります」と話すのは、入試広報部長の板倉宏明先生。特にうれしかったのが、推薦入試で国公立大学に29名(現役26名)が合格したことだそう。

「ちょうど1年前、新型コロナウイルスの影響でオンライン授業が始まり、高校3年になったばかりだった今春の卒業生は、学校がどうなるのかわからない、大学入学共通テストも記述式問題や大学入試英語成績提供システムの導入が延期と、不安いっぱいでした。このため推薦入試にチャレンジしようという生徒が多かった。

ただ推薦入試は準備が大変で、エントリーシートなどの添削や面接指導も必要。まさに学校と生徒の二人三脚です。本校では、さまざまな取り組みができるので、自己推薦書に書く活動実績が豊富です。それが合格者数を伸ばせた理由だと分析しています」

高校3年間、ずっと5教科授業
大学入学共通テストは全員受験

同校が国公立大学の進学に強いのは、コースを分けず、生徒全員が最後まで5教科を学ぶ教育方針にあるようだ。

「進路に応じたコースを設ける学校が多い中、本校は2015年に中・高ともコースを分けていたのを一本化した大変珍しい学校です。その後、国公立大学の合格者が増え、本校の入学志願者もどんどん増えていきました。今春、大学受験した生徒は、その1期生。本校の特長は、高校3年の最後まで、全員が5教科の授業を受けるところ。目標大学の受験科目に絞って学ぶことはありません。

大学や就職で必要になることもあり、長い目で見ると、必要でない科目はないのです。
5教科を学ぶことで、国公立大学を受験するチャンスが生まれます。そして“最後の実力テスト”は大学入学共通テスト。すでに推薦で合格が決まった生徒も受験します。誰一人、モチベーションを落とさず、大学受験を団体戦で乗り切ります」

この成果が、今春の国公立大学現役合格者数に表れている。なかでも、大阪大学は今春18名(現役15名)が合格。学校が近く、見学や講義を受けられたり、推薦入試の説明会があったりと連携活動が豊富で進学希望者が多い。学部は医学部、歯学部、工学部、基礎工学部、法学部、外国語学部、文学部と多岐にわたる。コースに縛られないので選択肢は無限大だ。

やる気と興味が生まれる
多彩な探究学習で人間力を育む

同校のもう一つの魅力は、探究プログラムの豊富さ。「一貫探究」(中高6年一貫)、「文理探究」(高校3年間)のコース名通り、日々の学びに取り入れられている。

「探究学習は①探究の授業②探究プロジェクト(大学・企業との連携)③探究ゼミ(校内で自由に学ぶ場)の3本柱で取り組んでいます。

『探究の授業』は、中学2年~高校1年に実施。昨年スタートした“自作修学旅行”は、中学2年次に全員が旅行プランを提案し、投票で6コースを決定。好きなコースに参加できます。目的地は北陸、福岡などに決まり、無名の神社を紹介する生徒など、独自の感性で企画した旅は“プロでは思いつかない”と旅行会社の人が舌を巻くほど。今年10月に実施予定です。

このほか一貫探究コースでは、サイエンス、グローバル、アカデミックの3グループに分かれる『探究の授業』も実施します。例えば、グローバルでは、民族料理店20軒に手紙を送り、川西のネパール料理店とZoomで交流することができました。また産学連携の『探究プロジェクト』は希望制で実施する課外活動で、大学や企業の研究室で講義や実習を体験します。

そして、教員が知恵を絞り校内で開く『探究ゼミ』はテーマが豊富で、興味のある生徒が学年を越えて集まります。例えば、建設中の『文化館』を見学し、建築や設計の仕事に触れる『建築現場に潜入ゼミ』や、大豆から手づくりする『味噌ゼミ』など。さまざまな機会を与えることで、生徒一人ひとりが好きなことを発見し、やる気につなげていきます」


(左)2フロアにわたる図書館とホールが入る新「文化館」(2022年完成予定)
(右)大豆から味噌をつくり、発酵の仕組みを学んだ探究ゼミの「味噌ゼミ」 

“やってみなはれ”の精神で
勉強もやりたいことも諦めない

興味のあることにどんどん取り組める雲雀丘学園の初代理事長は、サントリーの創業者・鳥井信治郎氏。創立の精神も「親孝行」「やってみなはれ」と唯一無二だ。

「大学現役進学率88%で、現役生の37%が国公立大学に合格。でもクラブ加入率は中学93%、高校84%で、楽しく学べる環境が自慢です。本校に入学したら、まず『私の挑戦』という作文を書きます。クラブなら大会での成績や、資格検定なら取りたい級。達成したら校長先生に報告します。がんばることで、不可能だと思っていた扉が開くことを知ってほしいです」

中学では4科目入試を実施
オンライン説明会をチェック!

今年度の中学入試・全3回の志願者数は987名、高校入試志願者数は910名だった。
「国公立大学進学を目標にするために、昨年度から中学入試も4科目入試を導入しています。初日午前の入試は、3科目・4科目から選択でき、2日目午前には英語入試も用意しています。子どもたちの得意な力で評価しています」

入試制度の詳細や学校の雰囲気を知るには、予約制のエブリー説明会やプレミアム説明会への参加がおすすめだ。特にプレミアム説明会は校長室で学校長と話ができる貴重な機会。

まずは学園のホームページをチェックしてオンライン説明会を視聴してほしい。そして実際に学園に足を運ぶ際は、阪急雲雀丘花屋敷駅の学園専用改札口から、一般道路を通らずに通学できる絶好のアクセスも必見だ。

雲雀丘学園中学校・高等学校  https://www.hibari.jp/