マナビネットオープンスクール2022 ●掲載:塾ジャーナル2022年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

今春、共学化を果たした伝統のミッションスクール
多彩な活動により社会で活躍する人材を育成

大阪信愛学院中学校高等学校(大阪府)


1884年(明治17年)、フランスの「ショファイユの幼きイエズス修道会」を母体として設立された大阪信愛学院。カトリックの教えを基盤に130年以上の歴史を持つ伝統のミッションスクールである。「キリストに信頼し、愛の実践に生きる」を建学精神に、生徒の自主性を重んじた教育方針を貫いてきた。長らく女子校として名を馳せてきた同校だが、今年度、中学高校ともに男子生徒を迎え、共学校として新たなスタートを切った。共学1年目の生徒たちの様子や取り組みを中学主任の藤林好美先生に取材した。


順調なスタートを切った共学化
金融教育、統計教育にも取り組む

大阪信愛学院は今春、中学・高校ともに共学校へと変わった。現在中学1年生は3分の1、高校1年生は4分の1を男子生徒が占めている。

共学として新たな一歩を踏み出した同校であるが、教育の根幹である「心を育てる教育」や「一人ひとりにきめ細かく目の行き届いた教育」は揺るがない。従来の方針を基盤とし、新しい時代に必要な探究力、持続力、コミュニケーション力を高め、生徒の自主性を育んでいく。

さらに、中学では今年度から全学年・全コースで数学の授業を1時間ずつ増やし、「数学探究」とした。1年生はカードゲームを使った正負の計算から始まり、多彩なゲーム形式で数学への興味関心を育てる。2、3年生になると金融教育も含まれる。プログラミングについても、本格的な授業が始まる高校生に上がった時について行けるように、中学1年生の間にタッチタイピングから始めてホームページを作成するなど、先取りした授業を行っている。

「データ分析に関しても、探究の時間内に統計教育を組み込む予定です。男子が入ったこともあり、工学部、データサイエンスへの進学希望も増えるのではと考えます。そういった希望にも対応すべく、中学の時点でベースとしてしっかりと身につけてもらおうという狙いです」と藤林先生は期待を込める。


共学化を機に中学高校とも制服を一新した

先進的なグローバル教育
少人数制のきめ細やかな指導

高等学校では大学入学共通テストで重視される英語4技能。これに「文法・語彙」を加えた6技能を学ぶなど、一歩進んだ語学教育を勧める同校。中学校では学年ごとに段階的な語学研修を実施しており、1年生は大阪市にある「YOLO BASE」で1泊研修を行うのが慣例だ。

体験を通して、生徒たちからは「英語は難しいけど話せると楽しい」「海外の人たちと交流するのがすごく楽しいと感じた。いろんな言語や文化と触れ合えた」といった感想が並ぶ。また最初は苦手に感じていた生徒も「やってみれば楽しかった」と、多言語を学ぶ楽しさを感じており、今後の英語学習の意欲にもつながっている。

「4月の入学直後に実施しており、まずは生徒同士が仲良くなることを目的としています。男女一緒の実施は今年度が初めてのことだったので多少心配しましたが、子どもたちは男女関係なく、すぐに打ち解け仲良くなりました。男子も羽目を外したりせず、新入生は校風を十分に理解した上で本校を選んでくれていると感じます」と藤林先生。

2年生になると、福島県の「ブリティシュヒルズ」を訪れ、2泊の語学研修を実施。同所は“パスポートの要らない英国”と言われる語学研修施設。英国の生活様式の中で、生徒たちは本格的な英語環境に身を置く。こうした国内でのステップを踏んで、3年生では台湾で3泊の研修を行う。台湾は英語を第2言語にしており、日本に近く時差も少ないため、安心して研修に臨める。

同校では生徒1人1台タブレットを所有し、校舎には全館Wi-Fiを完備。全教室にはプロジェクターを設置している。これらの機器を活用し、海外の講師とマンツーマンのオンライン英会話やアクティブラーニングなどにも取り組んでいる。

また、既に活用しているスタディサプリEnglishに加え、今年からは他教科でもスタディサプリを導入した。

「コロナ禍でオンライン授業を余儀なくされましたが、やはりオンラインだけでは生徒の自発的な学習につながりません。導入後は生徒が空き時間を有効に使って学習しています。このアプリには学習単元ごとにテストがついており、弱点を補うフォローアップ機能もあるため、得意科目はより上位の学習を、苦手な箇所は何度でも繰り返し学べます。最終的には自学自習の習慣がつき、高校の学びにつなげていければと思います」


全生徒がタブレットを所有し学習に活用している

充実したキャリア教育
体験型学習で自立心を育む

将来を見据えたキャリア教育も充実している。3年生は「大学体験」を実施。生徒は理系・文系の各1校ずつ大学を訪問して専門的な研究の一端に触れ、様々なレクチャーを受ける。

実際に大学体験を行なった生徒からは、「将来について自分が知らない選択肢がたくさんあることが実感できた」「普段は体験できない専門的な授業の面白さを感じた」等の声が上がった。また、実際の大学の雰囲気に触れたことにより、今後の学校生活の中で自分が何を意識していきたいかを明確にすることができたようだ。

また2年生は企業へ赴いて実際に仕事をする「職場体験」というプログラムが用意されている。

「職場体験の実施にあたっては、複数の企業に協力を頂いて、その中から生徒の希望に応じて訪問しています。訪問先によりますが、2日間とも社員と同様に働くところもある実践型の活動です。来年は男子も参加しますので、今年の結果を踏まえて、さらにバージョンアップしたいと考えています」

そして1年生は、今年度より新しく「食文化体験」に取り組む。6月には、昔ながらの日本の食文化として梅を使ったシロップづくりに挑戦した。


食文化体験では梅のシロップづくりに挑戦

「男子が重い梅シロップを持ち上げて作業するのにはさすがに驚きました。男女とも、細かな作業にも集中して熱心に取り組んでいました。2学期はうどん打ち、3学期は味噌づくりを計画しています」

伝統を守りながらも、新しいことを巧みに取り入れていく大阪信愛学院。男子生徒を迎えたことで、さらなる未来の可能性を広げていく。

大阪信愛学院中学校 https://junior.osaka-shinai.ed.jp/
大阪信愛学院高等学校 https://high.osaka-shinai.ed.jp/


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https://manavinet.com/west/osaka-shinai/