マナビネットオープンスクール2022 ●掲載:塾ジャーナル2022年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

「世界に通用する紳士たれ」を理念に
2023年度、入試方式変更で新たな一歩を踏み出す

甲南高等学校・中学校(兵庫県)

100年以上の歴史を誇り、「世界に通用する紳士たれ」が教育理念の甲南高等学校・中学校


 1919年、甲南中学校の開校に端を発して誕生した甲南高等学校・中学校。100年以上の歴史において、創立者である平生釟三郎が掲げる「人格の修養と健康の増進を重んじ、個性を尊重して各人の天賦の特性を伸張させる」教育理念が着実に受け継がれてきた。「徳・体・知」のバランスのとれた「世界に通用する紳士たれ」こそが、教員や生徒が誇りに思う甲南スピリットである。次年度からは入試方式が一部改革され、今、新しい一歩を踏み出そうとしている同校。入試広報部長の田村信平先生に話を伺った。


3回の面接設定で
チャンスが広がる中学入試

最新の動向として最初に紹介したいのが、中高における次年度入試方式の一部変更だ。

まず高校では、従来設けていた推薦入試の枠を廃止。さらに一般入試の併願も廃止し、一般入試の専願のみの募集に一本化した。

「本校の高校入試は、長きにわたって推薦と一般の2区分で実施してきました。特定の資格等があれば推薦入試を受験できるのですが、推薦という名称があたかも『ほぼ合格』の印象をあたえかねませんでした。ところが、実際は推薦入試であっても何名かの不合格者を出しておりましたので、誤解を避ける意味で、来年度入試より推薦入試を廃止することになりました。また、当校への受験者はほとんど専願のため、併願募集も廃止することにしました」と田村信平先生。

代わりに、これまで推薦入試の受験資格であった、中学時代でのリーダーとしての活躍や、スポーツやボランティア活動の実績、検定試験合格の取得などについては加点制度にする。

中学では、小学時代におけるリーダーとしての活躍や、スポーツや芸術面での実績、検定試験合格の取得などの条件を満たしたうえで受験する「Ⅰ期b方式」という入試がある。これは毎回、受験資格がきちんとあるかどうかを判断するため、本番入試前に面接を行なう。

従来はその面接が11月に行なわれ、12月初旬に結果が通知されていたが、次年度からは面接機会を3回設定する。1回目・2回目は10月中旬に実施し、結果通知は11月初旬。3回目は11月中旬に実施し、結果は12月初旬に通知されることになった。

「早めの面接日程にすることで入試準備にゆとりが持てますし、3回実施することでチャンスが広がります」と説明してくれた。

また、個別の学校見学会は随時行なわれているので、気軽に問い合わせをしてほしいとのことだ。


大学と同じレベルの実験を行う、フロントランナー・コースのサイエンス・ラボ

国公立大学から海外大学まで
多様な進路を実現

同校には、国公立をはじめとする難関大学を目指す「フロントランナー・コース」と、甲南大学をはじめ難関私立大学や海外大学を目指す「アドバンスト・コース」の2コースがある。

2022年度、フロントランナー・コースの進路実績は大阪大学5名、神戸大学3名など、国公立大学合格者を多数輩出。これは2クラス61名の規模(2022年3月卒業生)としては高い実績といえる。

また、アドバンスト・コースでは難関私立大学は当然ながら、University College LondonやKing’s College Londonなどの海外大学への進学も果たしている。このように、甲南大学への進学だけでなく、多様な進路実現を用意している。

さらにもう一つの特色が、入学後でも柔軟にコース変更ができることだ。アドバンスト・コースの生徒であっても一定の基準がクリアできれば、フロントランナー・コースへ移ることができる。反対に、フロントランナー・コースからアドバンスト・コースへ変更することも可能だ。

アドバンスト・コースのなかでも、国際教育を深め留学を目的とするグローバル・ファウンデーション(中3と高1対象)や、グローバル・スタディ・プログラム(高2と高3対象)のクラスへも、高2までなら変わることができる。

また2コースに分かれてはいるが、互いの価値観などを認め合い、強い絆を6年間のうちに築いていくのが同校の魅力である。高校から新しい同級生が入学してきても、中学組はすぐに受け入れ仲良くなる。この絆はOBの間でも受け継がれ、仲間が困っていれば手を差し伸べ、中高の後輩のためにワークショップなどにも惜しみなく協力する。この「甲南ハート」こそが同校の素晴らしい校風であり、先輩から後輩へと継承されている。


世界的な視点で考える力を磨く、フロントランナー・コースのグローバル・ラボ

偏差値に偏らない
調和のとれた教育展開

優秀な進路実績を果たしている同校だが、単に偏差値に偏った教育ばかりを行なっている訳ではない。

フロントランナー・コースでは、サイエンス・ラボを実施。これは、中2・中3で大学レベルの実験を行なうというもの。理科室は物理、生物、化学に分かれ、さらにそれぞれが講義室と実験室を擁する。計6教室が完備され、実験やデータ収集、考察、まとめなどを本格的に学ぶ。

またアドバンスト・コースのグローバル・ファウンデーションやグローバル・スタディ・プログラムのクラスからは、イギリスの超名門校Dulwich Collegeなどをはじめとした多彩な留学先が用意され、国際理解教育に注力している。

アドバンスト・コースでもう一つ注目したいのは、「キャリア教育」である。同校のOBには経営者が多く、彼らの企業を訪問するという授業だ。ただ訪問するだけでなく、企業課題を与えられ、取り組み、提案するといった学びも実施。生徒は皆、自分の将来のビジネスキャリアに生かそうという視点で企業課題に取り組む。その成果が、大学受験の特別型選抜入試で評価されることも多いという。

「本校は、将来のキャリアに必要な能力を伸ばそうとする教育を展開しています。その結果、どの生徒も社会人としての伸びしろが非常に大きいです。卒業生が社会的使命を持って活躍し、社会から評価される人材に育ってほしいです」と、最後に田村先生は生徒の未来について熱く語ってくれた。

甲南高等学校・中学校 https://www.konan.ed.jp


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