マナビネットオープンスクール2022 ●掲載:塾ジャーナル2022年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

2023年、中高に新コース「グローバル選抜探究コース」誕生!
個別最適化された学びで、進路満足度100%を目指す

神戸山手女子中学校高等学校(兵庫県)

EdTech教材を活用し個別最適化学習を実施


1924年に「山手学習院」として創立された神戸山手女子中学校高等学校は、今年度で98周年を迎える伝統校。建学の精神「自学自習」「情操陶治」のもと、女子教育に貢献してきた。その歴史ある女子校に今、かつてないほどの大きな変化の波が押し寄せている。2020年に学校法人濱名学院と法人合併したことをきっかけに始まった改革は、2021年に「学校改革のエキスパート」である平井正朗校長を迎え、本格的に動き始めた。そして2023年度には国際社会に通用する本物のグローバル教育を実践すべく、新たなコースが誕生する。生徒の進路満足度100%を目指すと話す平井正朗校長に取材した。


今春の大学合格実績が飛躍的にアップ
学校型推薦で神戸大学へも合格者

平井正朗校長の着任直後から始まった学校改革は、一年を経て早くも成果を上げている。今春の卒業生の大学合格実績が大きく飛躍したのだ。

神戸大学に学校推薦型選抜での合格者を輩出したのを始め、広島大学、大阪公立大学、そのほか医学科へも2名の合格者を出した。関関同立、産近甲龍の合格者も増加、併設大学の関西国際大学や、他の私立大学を含め卒業生の70.5%が4年制大学へ進学。昨年までと比較して大きく数字を伸ばした。また、短期大学や専門学校などを含めると92%が進学しており、それぞれの目標へ向けて巣立っていった。

「生徒たちの頑張りはもちろん、カリキュラム・マネジメントの下、高3学年団と進路指導部がスクラムを組み、生徒一人ひとりの夢に向けて邁進した結果だと思います。生徒たちは、コミュニケーション力も上がり、表情もとても明るい。課題にも自主的に取り組むようになっています」と、平井校長は生徒たちの成長に喜びを表す。


(左)美しい景観の中に建つ優美な校舎
(右)広報チームは女性でかためた。通称「山手ガールズ」

英語+EdTech+グローバル探究で
進路満足度100%を目指す新コース誕生

次年度、同校ではコース設定が大胆に変更される。音楽科の再編に加え、「グローバル選抜探究コース」(Gコース)を新設し、中学、高校それぞれ30名を募集する。これにより、中学はGコースと未来探究コースの2コースに、高校はGコース、選抜コース、未来探究コースの3コース体制となる。

「Gコースの到達目標は国公立大学、有名私立大学、および海外の大学です。帰国子女や外国にルーツをもつ児童・生徒にも対応。APプログラムを検討中です。英語+EdTech+グローバル探究で進路満足度100%を目指します」と平井校長はそのねらいを話す。

英語教育の時間を、授業+課外活動で週10時間以上確保し、担任はネイティブと日本人教員の2人体制とする。授業は英語で行い、EdTech教材を利用した個別最適化学習を徹底。評価方法はルーブリック評価を採用し、学習履歴を積み上げていく方針だ。

「夏期・冬期休暇中には、グローバル・イングリッシュ・キャンプ(校内外での実施含む)、集中講座としては、関西国際大学との連携やオンラインによる留学を進めます。さらに、理事長特別講演会や校長特別保護者面談も組み込み、生徒︱保護者︱学校の連携をさらに深めます。グローバル化、DX化に対応した教育実践を展開します」


Gコースでは週10時間以上の英語の時間を確保。担任はネイティブ教員+日本人教員の2人体制

英語を学ぶのではなく「英語で学ぶ」
イマージョン教育で自然体の英語コミュニケーション

Gコースにおける英語教育では、「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」ことが基本となる。その方法の一つがイマージョン教育だ。

「イマージョンとは『浸すこと』の意味で、英語に浸りきった環境におくことです。Gコースでは英語の海を泳ぎ、自然体で英語コミュニケーションツールをマスターしていくことを目途とし、音楽、家庭科、美術、理数系教科などの科目にも英語を取り入れた学習を展開していきます」と平井校長。

長期留学しなくてもネイティブレベルに近づけるよう指導を展開するだけでなく、日本の歴史や伝統文化をしっかりと発信できる力を身につけるために「グローバル探究」を設定。

「コンセプトは様々な課題解決と、社会貢献のための文理共創の地平を科学的な側面から押し上げていくこと。同時に、知識集約型の学習を見据え、将来、日本を含む世界の発展に貢献するための取り組みを産学協同で行っていくことです」

カリキュラムは必履修科目をおさえた上で、可能な限り、英語およびグローバル探究の時間に充て、演習量を大幅に増加する。

「背景知識を強化し、論理的思考力を涵養、課題発見・解決能力をブラッシュ・アップすることによって、国内のみならず、海外の大学でも通用する学力を育成します。つまり、英語4技能を徹底的にマスターし、海外事情に精通するだけでなく、日本の伝統文化や歴史などを発信できる力を育成していくということです」

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高校では大学受験対策として、校内予備校「山手アドバンス講習」を開講。2021年度は実力派の予備校講師を招聘し、英語、国語を開講し、好評だった。2022年度は英語、国語、数学の3教科を予定している。

「本校の指導方針は、進路満足度100%です。誰ひとり取り残すことなく、公正に個別最適化された学びを持続的に実現させます。そのために、本校独自の学びの選択を通じて、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越えていって欲しい。生徒たちが豊かな人生を切り開き、持続可能な社会の創り手となることを目指しています」と平井校長は結んだ。

神戸山手女子中学校高等学校 https://www.kobeyamate.ed.jp/


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