マナビネットオープンスクール2022 ●掲載:塾ジャーナル2022年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

中学校でのさまざまな体験からの学びが
生徒一人ひとりの可能性と未来を開く

開明中学校・高等学校(大阪府)

新校舎は太陽光パネルや屋上庭園などを取り入れ、環境に配慮したつくり


「研精して倦まず」を校訓に、常に生徒たちの個性を引き出し可能性と未来を開いてきた開明中学校・高等学校。毎年東大・京大・国公立医学部医学科など最難関大学への高い進学率を誇り、大阪有数の進学校として知られるようになった。同校の特徴でもある探究型・体験型の学びは、生徒一人ひとりの資質を磨きあげ、生徒は自ら本当に学びたい大学を目指して邁進する。教育プログラムに関する保護者の満足度も高いという。今年も多くの生徒を最難関大学に送り出した同校の入試広報部長・古庄誠先生に話を聞いた。


体験から学び、己を知る
真剣に夢に向かう姿勢が結果を生む

今年度は日曜日午後に入試を行うなど新たな取り組みもあってか、想定を上回る出願を獲得した同校。最終的に入学者数は定員240名のところ300名に、昨年度より1クラス増えて7クラスとなった。その人気の要因は、学校行事の多さと、学校での指導や面倒見の良さ、そしてその結果導き出される高い進学率ではないかと古庄誠先生は語る。

「いろいろな行事の中で、本人が面白いと感じたことをより深めたいと思えば、その内容が学べる学部学科のある大学が自然と視野に入ります。自分の得意なことが生かせる入試形態であれば、推薦入試から挑戦していこうとなりますし、とにかく本人がやりたいことがきちんと見つかる、というのが一番大きいですね」

探究教育では、理科実習、歴史探訪などの多種多様な学校行事が年に10回以上行われ、日帰りや宿泊など形態もさまざまだ。

中2の一学期、自然豊かな和歌山県加太地域で行われる1泊2日の理科実習は、生徒たちが事前に決めたテーマをもとに、実際に生き物を観察。宿泊施設に戻ってからは観察結果をもとに実験や考察を行い、最終的に自分たちで考えた結果をレポートにまとめ、翌日発表する。昨年はコロナ禍の影響で日帰りとなってしまったが、実際に生き物に触れる、目で見て感じることで、知識だけではない深い体験となっている。

歴史探訪は、毎年11月に京都・奈良などを訪れ、建造物や博物館を見て周り、座学で学んでいることを実際に見て感じる、というものだ。

「科目の好き嫌いはあれど、行事に参加して何かを体験するということが嫌いな子はいないと思うんです。自分では知らなかった発見ができ、体験することで座学にはない面白さがわかり、学びの意欲につながります。友達と一緒に行くのも、生徒たちは楽しみにしています」

毎年5月と10月に開催される校外学習では、陶芸体験や博物館、水族館見学など、定番の体験ものからその時にしか行けないイベントまで、臨機応変にプログラムを組むという。

「やはり体験して、印象に残るということが一番大きい学びだと感じます。今はすぐにネットで調べることができるので、知識は簡単に手に入ります。が、実際に体験してその時の印象や感じた思いを積み重ねることで、自分の本質に気づいていく。人生の中で、自分の感性を信じて、目の前のチャンスをつかみ取れるようになってほしいと願っています」


(左)和歌山県加太湾で水生生物の観察。本物から学ぶ探究教育は同校の自慢
(右)京都・奈良など歴史の舞台を実際に訪れることで、座学が体感となって記憶に残る

定期テストはコース分けなく同一
基礎力徹底が高い実績の土台

中学校からの6年一貫教育は「スーパー理数コース」と、「理数コース」の2コースだ。どちらも国公立大学進学を目指すが、特にスーパー理数コースは最難関の東大・京大・国公立大学医学部医学科進学に特化したカリキュラムとなる。

特徴的なのは、中学1年生の段階では定期試験が両コース同じ内容であるということ。同校の定期試験は、基礎学力がきちんと定着しているかを確認するものであり、一番大切な土台を理解しているからこそ、その先につながっていくという考え方だ。確実な基礎学力をつけ、生徒全員を引き上げていくという学校の方針に、共感する保護者も多い。

高校2年では、高校からの入学者も加わり、東大・京大・国公立大学医学部医学科コースと、難関国公立の理系コース・文系コースと3つのコースに分かれる。基礎学力と目指す道への情熱が相まって、生徒たちは当たり前に勉強に邁進していく。

学力はもちろん、人間力が鍛えられるという部分で保護者の評価も高い。体験行事などでお互いの意見を交換し合い、生徒中心に考え、活動させる場を与えることによって、中学卒業時には協働・自己表現ができるようになっていくという。

「子どもたちがどんどん成長していくと、保護者の方々から多くのお喜びの声をいただいています。これからの時代に向けた子どもたちの人間教育についても、しっかりできていると自負しています」


仲間とともに43kmの海道を約14時間歩き続ける「しまなみ海道夜間歩行」

京大特色入試合格者全国トップ
進学率増加の理由とは

同校では今年度、京都大学の特色入試で7名が合格し、全国トップとなった。また、例年20名以上だった推薦合格は、今年は40名と激増。一般入試は東大・京大・医学部医学科合格は去年に引き続き28名で、全国の国公立大学入学者も見ると、実に国公立合格率は65.6%だ。

実績が伸び続ける要因として古庄先生は2つの要因をあげる。ひとつは、高い目標を持って頑張る生徒が明らかに増えており、最難関合格者数の割合が増加していること。もうひとつは、生徒自身が何をやりたいかを一緒に考え、教員側がしっかりサポートできたことだ。もちろん生徒たちの努力は言うまでもない。

「今年卒業した高校3年生は、新型コロナの影響で延期になった行事はありましたが、中止になった行事は奇跡的にありませんでした。他校は多くの行事が中止になる中、我が校ではすべての行事を体験できているので、もしかしたらそれが追い風になったとも考えられます」

自分の特性がわからない子にもぜひ来てほしいと語る古庄先生。多くの体験ができる環境を通して、自分の本当にやりたいことを見つけてもらい、それをどう育てていくかをともに考える。結果、ゆるがない進路に邁進し、未来につながっていく。

校名『開明』とは、「人智が開け、文明が進歩すること」。中国の古典では「聡明」という意味でも使われ、太陽が昇る東の方角と説明されることもある。一世紀以上もの年月、社会で活躍する多くの青少年を育て、世の発展を支えてきた同校は、これからもその名の通り、聡明な人材を輩出することで文明の進歩を担ってゆく。

開明中学校・高等学校 https://www.kaimei.ed.jp/


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