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2019/3 塾ジャーナルより一部抜粋

小学校英語教育 第8回

     

 今回は、小学生に英語教育を始めた学習塾を具体的に訪問して、どのような対応をしているかを見ることにした。首都圏の埼玉・千葉・東京からそれぞれ小規模なところ、中堅で堅実に業績を伸ばしているところ3校での小学生英語の動きをレポートしてみた。

 埼玉県の県北、熊谷よりやや北部にある深谷市の個別指導塾「一橋ケンアイ」。深谷市は人口14万人で私立中学受験にはあまり関心がない住宅地。川邉塾長は創業31年。個別指導で四教室を経営している。

 生徒は中学生中心で中3生が全体の50パーセント、中1と中2で残りの半分といった構成だ。講師は正社員6人に社会人講師が20名から30名程度。長年のキャリアでここ安定した堅実な経営を続けている。

 小学校の生徒を対象に英語教室を始めて3年目。2ヵ所の教室でそれぞれ5名から15名程度を指導している。

 この生徒たちが、6年から中学生になるときにほぼ全員がそのまま中学になっても通ってくる。これが大きいという。この生徒たちを核にして中学生を増やすことが出来ているのだ。今まで新中1生を募集する方法に悩んでいたのが一つの解決策になっている。昨年中学に継続しない生徒は一人だけだった。

 小学校の英語の指導は週一回、60分。英検を受ける前などは補習を繰り返す。月謝は6900円。個別の一般的な指導金額にしているとのこと。最近入ってきた生徒は、算数よりも英語を習いたいと言って入ってきたという。「前は算数を教えてほしいという親が多かったのが、時代が変わってきたようですね。今後も小学生の英語指導の生徒数が少しずつ増えてくる予感がします」とのことだった。

 英語は、一緒に声を出すことからDVDを使って集団で指導する部分を10分から15分と、個々に力に応じてやる個別指導40分前後の混在にしている。コミュニケーションを中心に話せる英語に力を入れていたが、ある時お父さんと一緒にマクドナルドに行って、Orange Juice を生徒が読めなかったとお叱りを受けてから、単語と綴りにもしっかり力を入れるようになった。

 副読本として絵が多いEGGという名前の教材を使い、単語の綴りなどもしっかり指導している。今後スピーキングやヒヤリングだけでなく、単語力を増やすことにも力を注いでいきたい。

 塾長先生は、小学生部門は英語を中心に伸ばしていく方向で検討しているようだった。

 もう一ヵ所、千葉県の佐倉の学習塾を訪問した。駅前で、ビルの3階にある小綺麗な「ワン・ツー・ワン個別学院佐倉校」だ。ここは個別指導ではあるが、パーティションで区切ることなく、学校と同じように一方向に机が向いていて、全部の生徒に声もかけられるし、個々に生徒の傍で指導したり、アドバイスをしたり出来るようになっている。

 長岡塾長は指導歴15年のベテラン。落ち着いた風貌で多くの親から信頼されている。この塾は、従来は中学生と高校生中心の塾だった。そこへ小学生の英語指導を開始した。

 小学生の英語指導は5年生と6年生。教材は当組合で作成したスピーキングとヒヤリングを中心にしたDVDを利用して指導を始めた。さらにテキストとしては「歌って覚える英語のおけいこ」と絵が豊富な「Picture Dictionary」を使っている。飽きさせないように次々に目先を変えて楽しく学べるように持って行っているとのこと。なお6年生の後半には、中学生のテキストも採り入れて、学力が付くように工夫をされておられるようだ。初めは4時半から指導していたが、だんだん来るのが遅れだして、今は6時から指導を始めている。ほかの教科と違って小学生の英語は集まってくる地域がやや広範囲で、そのまま中学へ続けて通ってくる可能性がどこまであるかがカギだ。

 この地域も他の地域同様少子化が進み始めているが、一駅隣の物井駅との間に新興住宅が次々に新築され始めて、人口が増えつつある。県庁所在地の千葉駅からわずか5駅ほどのところで、一気に少子化が進むことはないようだ。
 「小学校で英語教育が本格的に始まる頃までには、現在の5、6名程度で始めた生徒数を大幅に増やして、しっかりした指導を続けていきたい」と熱心なお話をされた。

最後は東京の練馬区光が丘に本部を置く「日本教育学院」。塾長の武田先生は47年のベテラン。塾の教室としては、現在光が丘・武蔵関・桜台の3ヵ所で、生徒の数は1000名を超えている。

 小学生の英語指導は10年以上前から。個別を中心に展開してきたが、ここへきて生徒数が増え始め100名を超えている。そのため、本年は体制を一新、個別指導と集団指導の両面から大幅に生徒数を伸ばす予定でいる。小学校高学年は中学受験コースと錬成コースの2つがあるが、中学受験コースについては、本人や親の希望を取り入れて英語指導は柔軟に対応したい。英語指導は300名を目標に大きく力を入れて進めていくという。

 他の塾と違うところはアロックという教材を使って、英検に焦点を当てた指導をするところ。4年生から6年生まで。4年で5級、5年で4級、6年で3級を取らせる指導をしている。当塾では、「早く、安く、楽しく」をモットーに英語指導に力を注ぎ、このところ順調に生徒数が伸びている。不登校で落ち込んでいた生徒たちも、英語指導に通い始めて数ヵ月すると、積極的になり、表情が明るくなってくるという。

 この塾の他とは違う特徴は、武田塾長が2 0 1 5 年に立ち上げたNPO法人「いじめをなくす会」の活動だ。

 2007年にカナダで始まったピンクシャツデー運動に刺激を受けて、武田塾長は日本でもぜひこの運動を広げていきたいと区内の企業や家庭に声をかけ地道に活動を続けてきた。このいじめ撲滅運動が静かに少しずつ実を結び始め、それに伴って生徒数も増え、生徒同士が仲良くしなければいけない、いたずら書きをしないなど、教室においてもよい影響が次々に続いている。

 武田塾長は、日本の各地で「いじめをなくす会」を共に進めていく同志を今求めている。それぞれの地域でこの運動を一緒に進めてほしいと願っているとのことだ。

 今全国各地で、少しずつ小学生の英語教育に取り組み始めている。

 ある程度大きな規模の学習塾は、小学生の英語コースを新設して、専門的な指導に取り組み始めているところも多いが、どこのテキストを使い、マニュアルを使って指導しているかの使用教材の良し悪し、内容の評価になってしまうことのないように、規模の小さな学習塾や中堅の地域に根差した学習塾が英語指導に取り掛かって少しずつ生徒を増やし始めている状況についてまとめてみた。

 なお当組合の作成した「英語morimori 全24巻」をスピーキングとヒヤリングに利用して実績を上げ始めているところも多い。これから始まる英語の教科化に合わせて積極的に活用して、生徒増に結び付けてほしい。


森 貞孝氏プロフィール

慶應義塾大学(経)卒、私塾協議会会長、全国学習塾協会理事長等歴任。全国学習塾協同組合理事長現職。著書「英語ショック」(幻冬舎刊)

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