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中学・高校受験:学びネット

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2017/11 塾ジャーナルより一部抜粋

現役塾長が実践中の塾教材活用法

第1回 公立中学進学クラスの小学生を対象とした教材

須原 秀和(すはら ひでかず)
1979年、須原英数教室を創塾。講師を雇わず妻と二人だけで指導。
『学校の授業』と『自分の勉強』を大切にさせ、教えることばかりではなく、育てることに心を配る『塾教育』を実践。それをテーマに2013年9月、国際教育学会で発表。国際教育学会(ISE)正会員。
2017年9月の国際教育学会にて『SUHARA式』テキストを使ったJ-CLIL教育について発表し、好評を得る。

 『教材』についての原稿執筆の依頼をいただきました。『何でも自由にお書きください』とのことですが、単に教材の紹介だけならば出版社か教材会社に問い合わせていただければ済むことですから、ここは塾の立場から長年使ってみて良かったと思える『教材』の特徴や使い方についてお話してみたいと考えています。同じ教材でもその使用方法は塾によってさまざまでしょうが、40年近い指導を続けています個人塾の立場から、自塾での実践の仕方をご披露したいと思います。参考になれば幸いです。

 公立中学校進学生を対象とした小学生用教材、国私立中学受験生を対象とした小学生用教材、中学生用指導教材、高校生用指導教材に分けて書いていきます。3回か4回くらいの連載になるものと思われます。第1回目の今回は、公立中学進学クラスの小学生を対象とした教材について書きます。

育伸社『ほ〜ぷ』国語・算数

 2002年に発刊された教材で、学年別ではなく学力に対応してBOOK1〜BOOK6があります。それぞれ単元の導入⇒各作業⇒ドリル⇒評価(テスト)で構成されており、ドリルは家庭学習用として使えるように保護者用の『家庭学習の手引き』がついています。ドリルとテストと、教科書に当たりますBOOKの3冊がセットにされて税抜き1300円ですので、値段的にもお得感があります。

 しかし、素晴らしいのはその内容です。特に国語です。私の教室では小学生は4年生から引き受けています。各学年とも国語と算数2科目だけで週1回ずつ、各1回1時間ずつです。ですからBOOKを指導するのが精一杯で、ドリルとテストは解答とともに保護者に預け、予習や復習などに自由に使ってもらっています。国語のBOOKは単元ごとに『読んで考えよう』という文章読解問題見開き2ページと、『ことばについて学ぼう』という言語知識問題見開き2ページで構成されています。そのうち読解問題については記号で答える問題は一問もなく、すべて記述です。授業では、先ず問題文を音読させ、内容解説をして理解を深めた後、設問に臨みます。記述問題においては、いわゆる『模範解答』はあっても他教科とは違って答えは一つとは限りません。ですから、教師側から解答を提示することはせず、授業が始まる前に生徒が板書した答えについて、大学院のゼミ形式のようにして、『なぜそのような答えが出てきたのか』『このような答え方ではだめなのか』『誰の答えがいいのだろうか』など、生徒がそれぞれ自分の考えを述べ合って、その良い点を取り上げ、足りない部分を補いながらより良い答えを見つけていく指導をしています。意見を出し合っている間に、生徒自身の方でどのように考えるのが良いのかを自然に身に付けてくれている様子で、生徒諸君の国語的思考力を養成することに役立っているのではないかと考えています。記号で答える問題が一つもありませんので、少人数による意見を述べ合う形式の国語の授業のテキストとしては、最適なものだと思っています。

 次に算数ですが、これも見開き2ページで構成されています。分野はおおむね、数や計算⇒図形⇒数量関係の順になっています。各単元は、左側のページに例題を含めた学習の要点が書かれており、右側のページには演習問題があります。ところどころに可愛いイラストの『学者先生』がヒントを与えてくれたり知識を確認させたりで、見た目にも楽しい工夫がなされています。昔、『麦の芽出版』というところから『楽しい算数』が出版されていましたが、ほとんどその体裁と同じです。長年それを使っていましたが、バブル崩壊の折に麦の芽出版は倒産したそうで、それからは育伸社の『ほ〜ぷ』を使っています。週1回1時間しか授業がありませんので、2〜3単元進むのがやっとです。左側のページを解説して、それに連動した右側の問題を一つか二つやらせてみて、理解ができているかどうかを確かめながら進んでいきます。残りの演習問題は宿題になり、次回の授業が始まる前に生徒諸君は宿題の答えを板書してくれています。授業が始まりますと、15分か20分かけてそれを一問一問答え合わせと解説をして、必ず全問確認してから次の単元に進んでいきます。

 国語も算数も2002年の発刊以来使っています。BOOK4〜BOOK6の3冊を、国語も算数も6年生の一学期で終了します。指導者用のマニュアル本も出ているそうですが、見たこともありませんので、そのことについてはコメントできません。『ほ〜ぷ』終了後の2学期・3学期は、国語は中学英語の指導に、算数は『線分図と面積図の基本48』の指導に変わります。中学受験を経験しない生徒諸君は、線分図や面積図を描いて問題を解くことはほとんどありません。6年生の教科書の最後の部分に申し訳程度に出てくるくらいです。公立中学生になって、方程式の文章問題を考えるときに『視覚に訴える手掛かり』が身に付いていれば、式を立てやすいだろうと思って指導しています。後程紹介します。

エデュケーショナル・ネットワーク『漢字ガイダンス』

 国語力の基本となる漢字の学習については、エデュケーショナル・ネットワークの『漢字ガイダンス』(税抜き600円)を使用しています。新出漢字の音訓はもとより、部首・筆順・用例・練習など細かい点まで配慮されており、自学自習に最適な教材です。生徒の家庭学習に委ねていますが、専用ノートを作らせ宿題形式で点検し、正しく書けているかどうかをその都度確認しています。授業では、各回のテストのみを15分程度で行い、4年から6年の3冊の漢字を2年間で終わらせています。そのために学校における漢字学習がスムーズにできると生徒や保護者に好評ですが、それにもましてこの漢字学習を通じて、自主的な自学自習の習慣を生徒に身に付けさせることに役立っていると思います。

中学受験基本シリーズ算数『線分図と面積図の基本48』

 基本シリーズは分野別に7種類発刊されています。一冊本体価格686円です。ネクストというところが出版していましたが倒産し、今はどこかの販売代理店が版権を引き継いでいるらしいです。

 1ページに例題と、数題から10題くらいの練習問題があります。私が使っていますのは7種類のうちの一つ『線分図と面積図の基本48』ですが、名前の通り48ページに、和差算・分配算・年齢算・差集め算・鶴亀算・平均算・濃度・逆比など、いわゆる算術に当たる内容がコンパクトにまとめられています。問題は確かに基本的なレベルばかりですが、繰り返し同じような内容の問題が少しずつ形を変えて出題されていますので、一問一問線分図や面積図を描いて解いている内に生徒諸君は理解を深め、自分自身の力で解いていけるようになります。中学2年生で連立方程式の応用問題が解けない子に、線分図や面積図を描いて解いてやりますと、小学生時代を思い出して『な〜んだ、そうか…』というような顔をして、抽象的なXやYの方程式の裏にある具体的な意味を理解できる様子です。

 授業では例題を解説した後、練習問題を1〜2題解き、残りの練習問題を宿題にしています。次の授業ではその宿題を授業が始まるまでに、生徒が必ず一問一問図を描いて板書をしてくれていて、その答え合わせから始めます。1回の授業で2〜3ページ進み、半年かけて1冊を仕上げます。

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