英語でアクティブラーニング
中3全員が海外ホームステイ
「『一体感がなければ学校ではない』。これが私のポリシーです。この思いを『チーム昭和』という言葉に込めました」
そう明快に語るのは大井俊博校長だ。都立高校の教員として教鞭を執ること38年間。2016年4月、都立両国高等学校・両国高校附属中学校の校長から昭和学院の校長に着任した。
着任後すぐに「チーム昭和」のスローガンのもと、3ヵ年計画の「昭和リバイバルプラン」をスタート。1年目はイメージアップ、2年目はビルドアップ、3年目はライトアップの年と位置づけ、学校改革をスピーディーに進めている。
同プランの大きな目玉は、英語教育の拡充だ。この春から中1でオールイングリッシュによるアクティブラーニングがスタート。英語のALTによる英語のプレゼンテーション授業はすでに試験的に始まっており、昨年行われたオープンスクールでの公開授業では小学生や受験生の保護者たちの注目の的となった。
さらに、これまで特進クラスへの配布だったiPadを今年から中学生全員に配布。
「まさにアクティブラーニングを全員が体験できるようになります。自分で情報を集め、それに対してどう考えるのか。受け身の学びではなく、発信力も養っていけたらと考えています」
中2では英語の実践力を高めるために、2泊3日の英語漬けのイングリッシュキャンプを行う。場所は成田市のラディソンホテルで「ホテルへ行くバスの中から英語のみ。会話力の向上を図ります」と大井校長は意気込む。
集大成は中3全員参加の海外語学研修だ。1週間オーストラリアのブリスベン・ゴールドコーストで1ファミリーに2人の生徒がホームステイする。大井校長の前任校・両国でも中3で海外語学研修を実施しており、生徒が大きく成長するキッカケになると確信している。
「うまく会話ができなくても、実体験を積むことで、英語に自信が持てるようになります。早い段階で海外経験を積ませることが重要です。海外に目を向ける機会をどんどん与えていきたいですね」
全員参加の研修は、今年入学した生徒が中3になったときに実施する予定だが、今年度からの2年間は希望者で試験的に実施する。他にも高1でのカナダ海外教育研修(希望者)も用意されており、生徒の英語力は一気に飛躍しそうだ。
潜在能力秘めた生徒を発掘
プレゼンテーション入試
中学入試においても、新たなチャレンジをした。自己表現作文とプレゼンテーションをセットにした「マイプレゼンテーション入試」を千葉県の中高一貫校で初めて実施。大井校長は「進学塾に通っていなくても、素晴らしい潜在能力や個性、豊かな感性を持っている生徒はたくさんいます。そうした生徒を発掘したいと考えました」と入試の狙いを語る。
大学でのロボット教室でプログラミングを学んできたという受験生は、プレゼンテーションで自作のロボットを動かして見せた。面接担当からのひねった質問にも冷静・的確に答え、見事合格。しかもこの受験生は進学塾に通っていなかったという。
「2科、4科の入試だけではこうした隠れた才能は見つけられません。入学後にどれだけ伸びてくれるか。非常に期待しています」
また、特進特待生入試の名称を「アドバンストチャレンジ入試」と改名。このシステムでの推薦入試や一般入試の合格者は受験料免除になるもので、多くの受験生が挑戦した。こうしたインパクトのある入試改革をした結果、今年の中学入学者は増加。中1のクラス数も昨年の3クラスから4クラスに増え、学校全体に弾みをつけた。
大井校長は「来年は2、4科入試は残しつつ、適性検査型入試の導入も検討しています。県立千葉や東葛飾、両国を目指す生徒にもぜひ本校を受験してもらいたい。入試を通して、本校に来てもらいたい生徒像を明確に発信していきます」と話している。 |
ハイレベルの文武両道を実現
目指せ! 校長先生の後輩
同校が求める生徒像は3つある。「自ら考え、自ら学び、自ら行動できる生徒」「高い志を持ち、学習やスポーツ、文化活動に励む『文武両道』を目指す生徒」「自らを律することができ、人を思いやることのできる人間性豊かな生徒」だ。
なかでも全国レベルで活躍している運動部が多い同校では、さらに文武両道に力を入れたい考え。すでに今年の大学進学実績で、体操部でインターハイ出場を果たした生徒が慶應義塾大学へ、ハンドボール部の生徒が国立の東京海洋大学と早稲田大学に合格。こうした先輩たちの姿を見て、特進・進学クラス関係なく、難関大学を目標にする生徒が出てきている。
筑波大学出身で体育教員でもあった大井校長は、頑張る生徒を校長室に呼び、「自分の後輩になれ」と激励。こうした生徒が部活動と勉強を両立できるよう補習を行うなど、教員同士が連携してサポートしている。
改革スタートから1年。大井校長は1年を振り返り、学校全体がさらに明るくなったと感じている。
「この1年言い続けてきた『チーム昭和』という言葉を、生徒からも聞けるようになりました。これは何より愛校心や学校への誇りが芽生えている証拠です。今、教師も生徒も一丸となって、学校を変えていこうという意識が高まっています。現状維持に留まらず、攻める気持ちで改革を進めていきたいと思います」
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