埼玉県の高校受験に強い
県内市進の学習塾事業を継承
学研スタディエは学研のグループ会社であり、今年2月、秀文社から社名を変更。現在、国内50教室、シンガポールとバンコクに併せて3教室展開している。
埼玉県の高校受験に強い塾として知られ、毎年、市進と共催で塾生を対象にした「高校入試進学相談会」を開催。今年7月の相談会には公立32校、私立54校が参加するなど、大規模なイベントとなっている。
今春からは同社の東北事業部として仙台の進学塾あすなろ学院も傘下に加わった。
この学研スタディエで小・中・高の教務全般を担当しているのが、小川武志先生だ。サイシンの中でもただ一つ、高校部として独立しているサイシン加須校高校生専用校舎の教室長でもある。
サイシンは小・中・高の生徒の割合は3対6対1。もともと小・中生がメインの塾だったが、高校生になっても慣れ親しんだ塾に通いたい生徒のため、引き続き指導をする教室が多く存在していた。
「なかでも加須校は、地域のトップ校である不動岡高校が近くにあるため、高校生が多く、毎年不動岡の生徒を集めたクラスを立ち上げて、私が数学を指導していました。映像授業のウイングネットを最初に導入したのも加須校です」と小川先生。
サイシンがウイングネットを導入したのは2008年。他の教室でもライブ授業と映像授業を併行して行っていたが、思い切ってライブ指導をやめ、高校部全体をウイングネットに一本化。さらに一昨年には全教室で統一した指導ができるよう、高校部のシステムを刷新した。
毎週同時間にチュータリング
テスト前は「早く塾を開けて」と生徒の声
新しくなった高校部のコンセプトは「高1からの自立学習サポート予備校」。大学受験で結果を残し、なりたい自分になるため「自己実現力」を育成することを目標に掲げている。
そのために生徒が使うのは「マイプランノート」だ。1年分の手帳になっており、学習計画と実際どの教科を何分勉強したかなど、記入できるようになっている。これで自己管理能力を付けてもらうのが狙いだ。
さらに週1回、同じ曜日と時間に専属のトレーナーとなるチューターとの面談「チュータリング」を行う。映像授業の良いところは、いつでも見ることができることだが、反面、行かなくなることもある。そこで、あえて毎週同じ時間に通塾させるようにし、塾に行く習慣付けを行う。チューターはこのとき、マイプランノートをチェック。来週までに何を学習するか生徒と約束する。
「ウイングネットを見て、チュータリングを受ける。高校部のシステムのメインはこの2つです。チューターは学習指導をしませんし、毎回つける記録もチェックだけで済むように全部シンプルにしました」と小川先生。
ウイングネットの受講コースもシンプルだ。以前は個別にカリキュラムを組んでいたが、高2まではベーシックウイングを受講。定期テストで高得点を狙うことを目標にする。高2の12月からはウイングネット本科による入試対策をスタートとわかりやすくした。
「このシステムになってから、生徒が塾に来る回数が増えました。『勉強しろ』と言わなくてもやってくれますし、むしろテスト前には教室が開く前にやってきて『早く開けて』と言われるほどです」
さらに活用しているのが「記憶の達人ツール解きメキ」だ。英単語や英熟語、歴史や公民、古文の単語や重要項目を覚えるコンテンツで、その成績が加盟校内でランキングとして表示される。最初は面倒に思っていた生徒も、「解きメキを続けると学校のテストが楽になるのがわかるようです」と小川先生。
年に2回開催されるウイングネット加盟校間で競う「Wing杯」では、「本気でWing杯を狙い、ほぼ毎回優秀校になっている」(小川先生)ほど熱心に取り組んでいる。
この教室の大学進学実績は、どの学力層の生徒も学力を伸ばして合格しているのが特徴だ。過去には東大合格者もいるが、中堅校から大逆転で難関私大に合格した生徒もいるなど、生徒それぞれの進路を切り開いている。
生徒が塾を飾り付け
居心地の良さで来塾数増
加須校高校生専用校舎では、生徒にとって居心地のよい場所であることを追求している。
入ってすぐの場所にあるラウンジは、軽食をとったり、休憩したりする場所。冷蔵庫にある麦茶は自由に飲んでOK。お湯を湧かせるポットやレンジもあり、コーヒーマシンによるコーヒーも提供している。ソファにはぬいぐるみも置いてあり、アットホームな雰囲気にあふれている。
「クリスマスになると、生徒が100均で買ってきたアイテムで、勝手に校舎を装飾し始めますね。そうやって塾に愛着を持ってくれるのが嬉しいです。塾が好きになれば、来塾数も増え、学力もついてくると考えています」
この夏からは学研のコンテンツ「学研プライムゼミ」も加わった。これはセンター対策から難関大対策までできる映像講座で、有名講師の講座がラインナップされている。
「学研プライムゼミの導入により、今まで以上に大学実績でよい結果が出るのではないかと期待しています」と小川先生は話している。
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