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中学・高校受験:学びネット

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2016/3 塾ジャーナルより一部抜粋

[FOCUS] 学校と塾との垣根を取り除き
新たな校塾連携の絆を築く

  須原英数教室 塾長 須原 秀和さん  
     
 須原英数教室塾長、大阪府立八尾高等学校応援団長、浪速高等学校特命講師、近畿大学附属高等学校チーム須原総監督…年々肩書きを増やし、活躍の場を広げていく須原秀和さんは、学校の単なる補佐ではなく、学校と塾との垣根を取り除き、対等の立場で生徒を教え育てる「塾教育の一環としての校塾連携」を実践している。自分の試みが一例となり、今後各地で個人塾が学校と協力し合うことになれば、新しい教育が生まれると考える須原塾長。その現在の活躍を取材した。

学校側とともに新たな教育の形
「須原プロジェクト」を実践

 教育の基本を京都大学の教育基本理念を手本にした『自学自習』とし、自分から進んで学習するための主体性や多様性、思考力、表現力を伸ばすことで、国公立大学をはじめとする難関大学への合格率を上げている須原英数教室。精神的に一歩進んだ生徒を育成することで、卒塾生の1割が医学部を目指し、合格を達成している。この教育方針に共感し、塾長である須原秀和さんに生徒を預ける時間を設けたのが、浪速学院浪速高等学校である。

 浪速高等学校の木村智彦理事長・校長は、生徒数が奮わなかった過去の浪速学院を改革し、現在の人気校にまで立て直した人物。その木村校長がさらなる活気を校内に吹き込むために相談を持ちかけたのが須原塾長だった。

 これに対し、教員や保護者・生徒に対しての教育講演を年に数度行うことで、間接的に生徒の学習への動機付けを行うとした須原塾長だが、木村校長は定期的に生徒たちの授業を受け持つように依頼した。当時を須原塾長はこう振り返る。

 「最初はボランティアで指導しようと思っていたんですが、木村校長は『3年間の契約を結んでもらわないと困る。0時限と放課後の補習と勉強合宿の講習を任せたい』と言われたので、先生に私の処遇を一任しました。学校が複数の先生方で構成する『須原プロジェクト』を立ち上げ、私も特命講師という名をいただきました」

 昨年から始まったプロジェクトでは、各コースから希望者、または選抜された30名の生徒を須原組として担当。放課後補習、勉強合宿の講習などで、1年生のときは英語と数学を中心に指導する。受験塾とは違い、決して勉強を強制しない授業内容を不安に感じる教員や生徒がいるかもしれない、と懸念する須原塾長を「思うようにやってください」という木村校長が後押しし、昨年12月のプロジェクト会議を皮切りに、この1月からは須原塾長の希望を取り入れた須原塾長自らが指導をする補習授業の時間もようやく確立された。

 須原塾長の薦める精神的な成長を促す授業は、そう簡単に結果が出る指導法ではない。しかし、高い志を持ち、自ら学ぶことを覚えた生徒は、大学へ進学しても自分を伸ばし続けることができる。そういう生徒を育てるために、まず教員が意識を改革し、生徒たちの背中を押すことが大切なのだと須原塾長は語る。高校の教員というプライドの壁もあり、意識改革は簡単なことではない。生徒ばかりではなく先生方に対しても私のやり方を『強制』することはないと、須原塾長は話すが、須原塾長に指導のアドバイスを求める教員もおり、浪速高等学校の教員たちは自らその意識を変化させようとしている姿が見え始めている。

生徒が学校の授業と比較しない
オリジナルな教育方法を導入

 須原塾長が教壇に立つのは、現在、毎週金曜日の70分2コマ補習授業。担当する『須原組』は高校1年生から3年間持ち上がりで卒業まで導く予定である。その中で須原塾長が心がけているのが「学校の授業とダブらない内容での指導」だ。

 大学入試のセンター試験や二次試験は、基本的に学校の授業で習ったことの応用。そのために生徒には常に「学校の授業を大切にしなさい」と教え続けている。しかし、須原塾長の授業内容が通常授業と同じであれば、生徒は自然と2つの授業を比較し、わかりにくいほうや面白くないほうの勉強に力を入れることはしなくなる。学校の先生の授業と塾の教師の授業の良し悪しを生徒に比較・選択させるべきではないと考え、それを避けるために須原塾長はこの『ダブらない授業』を重視している。数学のカード式例題演習や英語の速読英単語指導などはその代表だが、自分の授業でもその指導方法を取り入れるという柔軟な対応をする教員も少なくない。一方で、須原塾長に教えられるだけでなく、教員の方も須原塾長にパワーポイントの使い方を指導。これにより、須原英数教室の教材には急速なデジタル化が進んでいる。学校の先生と塾の教師が互いに教え合う、これこそ自分の望む校塾連携の形だと、須原塾長は喜ぶ。

 「数年前からは、英語での算数・数学指導を考えており、帰国子女が使う英文教科書を使用した数学の授業を塾で取り入れています。簡単な文章題でも英語となると一筋縄ではいかない。頭をひねりながら、その英文がどういう意味なのかを考えて解いていくことで、生徒たちは英語力も数学力もアップし、学校の英語の授業が理解しやすくなるのです」

 浪速高等学校の勉強合宿でも『関数総論』の英語授業に塾長自ら挑んだのは、生徒たちに高い夢や志を持ち、挑戦する心を育てるだけではない。塾長自らが率先してチャレンジすることで、教員にも新しい教材作成や指導方法に挑戦する勇気を持たせるためであり、苦労したが最終的に教材作成ができるまでになった話を生徒にも教員にも聞かせている。

 また、数年後に迫った大学入試改革に合わせた指導も進めている。ゆとり教育の時代から小・中学生に導入されてきた総合的な学習の時間では、経験や知識から目の前の問題を自力で解決する力を養う、とされてきた。今回の大学入試改革は、この総合的な学習で得た力を反映するものになる。そのため、できるだけ多くの知識を与えるのと同時に、その知識に基づいてディベートなどを行い、ハイレベルな状態で問題解決に挑めるように生徒を導いているのだ。

今までに体験したことのない授業に
生徒から前向きな反応が

 現在、『須原プロジェクト』の全責任者である宮照夫副校長のもと、須原組の指導を行っている須原塾長(特命講師)。その補習の第1回が本年1月15日に行われた。

 須原塾長は同校での補習内容はもちろん、他の高校の補習授業でも恐らく例を見ない、学校の補習としては画期的な「生徒の、生徒による、生徒のための補習授業」を始めた。

 生徒たちはスライドで須原英数教室の授業内容(当日の学習予定を自ら記録表に書き、その内容に沿って自ら学ぶ。終われば同じ予定表に勉強の成果や反省点を書いて自己評価し、次回の予定を立てる等)を見たあとは、須原英数教室と同じオリジナルの授業を受け、勉強の予定を終了した生徒は、『自主的補習記録表』を書いて退室、生徒全員が予定時刻の20分前には帰宅した。『自主的補習記録表』には「集中して取り組めた」「やらされる勉強じゃダメだと思った」「楽しい、もっと学びたい」という前向きな意見が多く、中には「今までこういう勉強法をしていなかったので、これまでのやり方では大学受験が心配になった」と自己反省をしている生徒もいた。

 「塾はあくまでも縁の下の力持ち。生徒には学校の授業を大切にするよう教えています。これを基本とし、学校と塾とが対等の立場で協力し合い、生徒とその学校の先生との間の信頼関係がより一層深まるような『校塾連携』が理想です。この連携が広がれば、学校が個人塾の指導の良さを認識し、塾の指導方法を用いて校内で授業を行うなど、塾と学校が手を組んだ新たな教育の道が開かれていくでしょう」

 次年度からは近畿大学附属高等学校で1年生選抜の「チーム須原」が組まれ、その「総監督」として、先生方と一体となって生徒指導に当たる予定となる須原塾長。今後より一層の活躍が期待される。

●浪速中学校・浪速高等学校データ
住 所: 〒558-0023 大阪市住吉区山之内2-13-57
電 話: 06-6693-4031(代)
ホームページ: http://www.naniwa.ed.jp
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