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中学・高校受験:学びネット

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2015/9 塾ジャーナルより一部抜粋

〜永遠に未完の塾学〜

第9回 子どもたちを歪(ゆが)めないために、名門企業は襟(えり)を正せ!

俊英塾 代表 鳥枝 義則(とりえだ よしのり)
1953年生まれ、山口県出身。
京都大学法学部卒業後、俊英塾(大阪府柏原市)創設。公益社団法人全国学習塾協会常任理事、全国読書作文コンクール委員長等歴任。関西私塾教育連盟所属。
塾の学習指導を公開したサイト『働きアリ』(10,000PV/日)には、多くの受験生
や保護者から「ありがとう」のコメントが。
成りたい人格は「謙虚」「感謝」「報恩」…。

家電(いえでん)(固定電話)に かかってくるのは
勧誘電話ばかり

 私は、昼食は自宅でとる。

 正午前、テレビをつけてNHKにセット。天気予報で、樟蔭学園ダンス部出身の気象予報士、三宅淳子さんの笑顔に癒(いや)された後、お昼のニュースを見て、12時45分から連続テレビ小説『まれ』を楽しみ、その後、出勤という流れになる。

 ところが、ドラマも佳境(かきょう)に入ろうかという12時55分頃、決まったように家の固定電話が鳴り響く。

 知り合いは携帯電話のほうにかけてくるから、固定電話に、それも昼飯(ひるめし)時(どき)にかかってくるのは、例外なく営業電話、勧誘電話だ。

 以前は、「株や投資にご興味はございませんか?」という電話もあったが、最近は塾が儲からない仕事だと知れ渡ってきたからか、まず、ない。

 今日は、「電化製品、貴金属、洋服等で不要なものを高価で買い取ります。」という電話だった(財産を切り売りしないといけないほど我が家の家計が逼迫(ひっぱく)してるって、なぜ知ってるんだろう?)。

 壁の塗装、屋根の補修、雨漏りの改修を勧める電話も多い(近所を徘徊して、ボロ家に印でもつけてるのだろうか?)。

 しかし、商品取引や、不用品買い取りや、家の補修業者の電話だと、こちらもそれなりに警戒心をもって対処するから、実害は少ない。

一流企業が片棒を担(かつ)ぐ詐欺

 お年寄りだと騙されてしまうだろうと、義侠心にかられてむかつくのは、一流企業の周りで暗躍する、悪質な手先どもによる詐欺同然の営業行為だ。

NTT周辺の闇の紳士達…

 最近笑わせてもらった電話は、こんなふうにかかってきた。

 「NTTのフレッツ光回線で以前お世話になりました、株式会社USO(ユーエスオウ)の佐(さ)木(ぎ)と申します。」

 NTT関連の人かと思い、「どんなお仕事をしていただいたのでしょうか?」と尋ねたところ、驚くべき返答が…。

 「少し前、NTTの光回線をお使いのお客様を対象に、一度お電話をかけさせていただきました!」

 おいおい、営業電話をかけたことをもって、NTTの回線でお世話になったと言い張るなんて!あんたは凄過(すごす)ぎる…。

 他にも、「NTTをお使いですか?」と聞いてきて、「はい、使っています。」と答えると、「ありがとうございます!」「ありがとうございます!」を連発して、いかにもNTTの関連会社であるかのように装うセールスも多い。

 しかし、NTTと無関係な会社が、相手が誤解するように仕向けようとする詐欺は、まだかわいいものだ。NTTの正規の代理店でありながら、顧客を欺(あざむ)いて恥じない会社も少なくないようだ。

 私が、分教室を光電話に代えた時仲介したNTTの代理店は、最初の月にキャッシュバックで工事費を全額返還すると約束した。それを信じて、私は契約を結んだ。すぐにNTT本体からも工事打合せの電話がかかってきたから信用していたところ、工事費はそのまま引き落とされ、キャッシュバックについてはなんの連絡もない。

 ネット上で検索して調べたところ、正規の代理店でありながら、しつこく催促するまで約束については知らん顔、何カ月も督促し続けたらやっと約束した金額を返金するという苦情が、多数寄せられていた。催促しないでいると放置したまま暴利をむさぼっている代理店が複数存在している。

 憤慨した顧客は当然NTTにも抗議するだろうから、NTT本体がこうした悪質な代理店の存在や詐欺的な営業行為の数々を知らないはずがない。

 信用は、一度なくすと取り返しがつかないとはよく言われることだが、かえって大企業の中に、おのれの信用力を過信して、末端の恥ずべき行為を意に介さない企業が少なくないのかもしれない。

大阪ガスと東日本大震災

 東日本大震災があった2011年、震災の直後に地元の大阪ガスの代理店の人がガス器具の点検と称して訪ねてきた。

 関西では、大阪ガスは殿様企業の最(さい)たるものだ。息子さんが大阪ガスに就職が決まった妻の友人は、三日三晩赤飯を炊き続けた。だから、大阪ガスの代理店も地域では名門企業、わが市にも一社しか存在しない。地域での信頼は絶大である。

 ところが、私が不在時にその代理店からきた器具点検の作業員、二、三分、室外でガス器具を眺めると、家内(かない)に奇怪なことを言い始めたらしい。

 「室外機ですが、ガタが来ていて近いうちに確実にダメになります。後(あと)半年もすれば、震災復興で東北に需要が集中しますから、そうなると関西では壊れても器具が手に入らなくなります。今なら私が50万円のところを40万円ほどで何とかします。今、決断しないと、お風呂にも入れないことになりますよ。」

 「あんた、大変や!40万円、何とかして。」と妻は私に泣きついてきたが、私は激怒した。

 「そんなバカな言いぐさがあるか!東北の人に恨みが向くような言辞(げんじ)を弄(ろう)して商売をするなんて、許せん!すぐ、店に電話せい!」

 結局、放置したままで終わったのだが、それ以降、我が家のガス器具に壊れる兆候はまったくない。隣家の人は、同じことを言われて、びっくりして、何十万も出して買い換えたそうだ。

 その点検作業員、しばらくは近所をうろついていたが、やがて見なくなった。

 騙されたお隣のことを考えても、この作業員というかインチキセールスマンは確実に札付(ふだつ)きの確信犯である。

 代理店は目先の欲に目がくらんで、知って知り抜いたうえで彼を雇用したのであろう。彼一人で相当の売り上げ増があったはずだ。

 この話には後日談がある。

 家内が別の街で車を運転中、同じこの点検員が大阪ガスの作業着を着て歩いているのに遭遇したという。

 大阪ガスも、代理店のテコ入れに、知ってこの詐欺師を巡回させている疑いが濃い。

塾の命綱(いのちづな)
チラシにまつわる悲しい詐術(さじゅつ)

 一時ほどの圧倒的な影響力は薄れたとはいえ、塾の宣伝はいまだに新聞チラシに頼るところが大きい。

 この夏、わが塾は市内全戸に2回、夏期講習のチラシを折り込んだ。約30万円の出費だったが、私はこのうち少なくとも10万円ほどは騙(かた)り盗(と)られたものだと推測している。知った上で、お金を捨てている。

 最近のニュースだが、朝日新聞の公称部数は700万部、ところが社内資料によると実際は500万部ほどだそうで、新聞社自体も否定していないという。

 しかし、各地域地域にチラシを折り込んでいる我ら中小企業主は、それ以上の嘘の数字によって、チラシを折り込むたびに「詐欺」の被害者になっている。

 今や新聞の配達料だけだと新聞販売店は大赤字、新聞販売店の収益源は折込みチラシ代だけだというのが業界周知の事実である。ここから、新聞販売店が「詐欺」を働かないと生きていけない悲しい現実が生まれている。

 新聞販売店が、「うちの新聞配達数は3000部だ」と公称する時、実数はおそらくその半数程度に過ぎない。しかし、塾は3000部印刷し、3000部を新聞販売店に持ち込んで、3000部の折込み料を販売店に払う。

 私は、折込み日に新聞販売店に支払いに行き、折り込まれないでドサッと放置されているわが塾のチラシを何度か見たことがある。

 販売店の人は私の視線の先を見て、ああ、見られたかと、暗い、悲しい眼をされる。

 きれいごとを、上から目線で我らに教え諭(さと)す大新聞社の論説は、実は、こうした虐(しいた)げられた者の、悲しい「詐欺」の上に成り立っている。

 子どもたちよ、真(ま)っ当(とう)な努力だけが報われる社会で生きていきたいね!

 名門企業、一流企業、大企業は、その模範になってほしいよね。

 それだけが、この国が素晴らしい国だと言えるための、唯一の証(あかし)なのにね。

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