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2015/9 塾ジャーナルより一部抜粋

今、一番熱い!!医療系大学の市場

第4回 
私立大学薬学部入試の特徴と対策

私立大学医学部に入ろう.COM 平野 晃康
名古屋セミナーグループ 医進サクセス室長を経て、 現在は私立大学医学部 に入ろう.com代表。医 療系・難関大学個別指 導塾CMP代表。私大医 学部受験の指導と正し い入試情報の普及に努 める。入試情報誌「私大 医学部入学試験を斬る 2013」(名古屋セミナー 出版)を編集・執筆、医療 系データブック(大学通 信)にコラムを寄稿。

 前回は、医療系コースを設置した場合の収益性についてお話ししましたが、今回は、薬学部、特に私立大学薬学部の受験の特徴についてお話しし、コース設計を考える際に大切なポイントを述べようと思います。

@募集人数から見る、薬学部入試の特徴

左の表は、2016年入試の薬学部の募集人数をまとめたものです。現時点で発表されているものなので、まだ発表していないいくつかの学校を含めると、もう少し数字が変化しますが、傾向はほとんど変わりません。

 この数字を見ると、国公立大学では一般入試が中心であるのに対して、私立大学では推薦入試・AO入試の比率がかなり高く、一般入試の募集人数が約4,900人に対して推薦入試・AO入試の人数が約3,000人ですから、私立大学薬学部を受験するにあたって、推薦入試・AO入試を無視することは出来ないことが分かります。

 そして、もう一つの特徴として、国公立大学薬学部の推薦入試では評定平均値が4.3以上必要であるのに対して、私立大学の薬学部では、評定平均値が必要ないか、水準が高くないという事です。

A推薦入試の評定と選抜基準

 実際に、私立大学薬学部の推薦入試・AO入試のうち、評定平均値を必要とする日程がどれだけあるかを調査した結果が下表です。公募制推薦入試の日程76のうち、評定平均値が必要とされている日程はわずかに23しかなく、そのほかの推薦入試とAO入試の日程では評定平均値の制約がありません。

 また、評定平均値が必要だという学校でも、必要となる値は3.6〜3.0程度で、それほど高くありません。こうしたことから、一般に考えられているような、推薦入試=優等生と言う図式が成立しないのが私立大学薬学部の特徴なのです。

 しかし、評定平均値が不必要という事はありません。推薦入試の選抜基準の1つに、書類審査がありますが、この内容は評定平均値の数倍(5〜10倍)を得点にすることであると公表している大学が複数あります。例えば、京都薬科大学は評定平均が3.2以上・1浪まで適性検査T(英語)100点、適性検査U(化学)100点、面接40点、調査書20点(国語と数学の評定平均値の2倍)と言うのが出願要件です。このように評定平均値の何倍かを得点とする方法は、多くの大学で採用されていると考えられますから、出願に評定平均値の制約がなかったとしても、日々の勉強の手を抜かないようにすることが大切です。評定平均値は、現役生は高校3年生の1学期(前期)まで、浪人生は3年生の3学期(後期)までの値が採用されます。

 一方、小論文を課す日程は数えるほどしかなく、他学部の推薦入学試験のように小論文対策に必死になる必要はありません。ただし、面接試験や口頭試問が課される大学がほとんどなので、面接については過去問を手に入れ、きちんと練習しておく必要があるでしょう。

B一般入学試験の選抜科目

 一般入学試験は、3科目または2科目で実施されるものがほとんどです。課される科目について調査した結果が下表です。最も多いのが、英語・数学・化学で実施されるもので、52日程、次が指定された科目のうちから2科目を選ぶもので、25日程、その次が英語・数学・理科1科目を選択するもので、23日程となっています。一方で、国公立大学のように理科2科目が必要となる日程は5しかなく、私立大学医学部を受験するだけであれば、理科1科目を得意にしておけばよいということが分かります。

 配点は、名城大学一般(英語100点、数学(TAUB)100点、化学150点)や神戸薬科大学(英語150点、数学(TAUB)150点、化学200点)、福岡大学(英語100点、数学(TAUB)100点、理科(物理・化学・生物より1科目)200点)のように化学や理科に配点が偏っている大学と、昭和薬科大学(英語100点、数学(TAUB)100点、化学100点)のように、配点の偏りのない大学があります。

 ただ、昭和薬科大学のように、配点の偏りのない大学であっても、センター試験では配点が英語、数学の半分になっている理科が英語、数学と同じ配点になっているわけですから、理科が重視されている学部だということが分かります。

C難易度

 私大薬学部の難易度は、最も難しい慶應義塾大学の薬学科では偏差値67、最も簡単なオ奥羽大学の薬学科は偏差値37(平均54)と、上下に大きな開きがあります。

 センター利用入試でも、東京理科大学では85.1%に対して奥羽大学では45.0%と低く、薬学部の難易度が高いかどうかは、その大学による、と言えます。

 全体の平均では、偏差値54、センター利用は73.2%となっています。

 ただし、薬学部は合格することが目的ではなく、そこで学んで薬剤師の国家試験を突破することが目的です。薬剤師の国家試験の合格率は全体でほぼ50%程度ですが、大学によって大きなばらつきがありますから、入りやすいからと言って余りに低偏差値の大学に進学するのは考え物です。

D入試対策

 最後は少し話がずれましたが、AO入試が10月、推薦入試が11月〜12月、一般入試が1〜3月に行われることから、きちんとした対策を取るためには高校3年生の夏までに各教科を一通り終わらせておくこと、それから、高校1年生から評定平均値を高くするためのテスト対策が欠かせません。通塾されている生徒さんで、将来薬学部に進学しようと考えている方がいたら、高校1年・2年なら、チューターや個別指導をしっかりと組んで評定平均値を上げていくことが大切です。一方、評定平均が取れていない生徒であれば、英語と理科を中心に指導すると良いでしょう。理科は配点が高いですし、この2科目は試験当日の調子に左右されにくく、点数のムラの少ない科目だからです。

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