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2015/9 塾ジャーナルより一部抜粋

第2回 大阪府認可私立通信制高等学校 教育研修会
教育関係者ら180人近くが会場に詰め掛ける
水谷 修氏の話に釘付けとなる場面も

  2015年8月7日(金)/大阪府私学教育文化会館
主催 大阪私立中学校高等学校連合会/後援 大阪府
 
     
 大阪府認可の私立通信制高等学校、6校による教育研修会が8月7日、私学教育文化会館で開催され、180人近くの教育関係者が会場に詰め掛けた。「夜回り先生」でおなじみの水谷 修氏による教育講演や通信制高校の紹介、各学校からの基調報告などが行われ、充実した研修会となった。

 研修会当日、会場には多くの中学校や高等学校、フリースクールなどの教育関係者が駆けつけ、席を追加するほどの満席となった。体を張った水谷先生の教育が、目の前で聞けるとあって、開演までの時間、会場内は緊張と期待とが入り混じった雰囲気になった。

 開会の挨拶は八洲学園高校の林 周剛校長。

 「私は通信制の教育制度が、一度たりとも完璧だと思ったことがありません。個性豊かで、さまざまな環境で成長されている子どもたちすべてに対応できる制度なんか、あるわけがないとも思っています。しかし、通信制を含め、全日制、定時制、各種学校などの皆様と一つとなって、一人でも多くの生徒さんを救い、希望とする目標に導くことができる。それこそが本当の教育制度のあり方だと思っています」

 天王寺学館高校の久井校長が、水谷氏のプロフィールを紹介。講演がスタートした。

第1部 教育講演
さらば、哀しみの青春
− 私たちにできること、しなければならないこと −

講師 水谷 修氏

 水谷氏は「私は59歳になりました。ただ、普通の中年の親父とは違います。少なくとも皆さん方とは住む世界が全く違う人間です。皆さん方は朝起こされ、ご飯を食べ、昼の間は生徒さんに授業をし、夜になると家に帰り、食事をしてお風呂に入る。そういう昼の世界の住民。私は24年間、夜の世界を這い回った夜の世界の人間です」と語り出した。

 24年前、水谷氏は横浜の定時制高校に勤務していた。当時の学校は、横浜の市民から「暴力団養成所」とまで言われるほど荒れており、入学してきた生徒の半数がやめていくという学校だった。生徒指導を担当していた水谷先生に警察から「水谷先生悪いな。お宅の高校2年の生徒さんが、銃刀法違反で警察に来ている」と連絡があったこともある。

 当然、授業も成り立たず、授業に行った教員が教室から逃げ帰るということも常であった。教員のなり手がなく、同校は問題を起こした教師のごみ捨て場だったという。

 「その学校に勤務したその日から、中高生の非行防止のため、毎日、夜回りを始めました」

 夜回りは夜の11時から始まる。たむろしている制服の子たちを見ると、「おい、中学生か? 高校生か? 早く家に帰れ」と声をかける。保護監督のない15歳未満の子どもが、夜の10時から朝の4時までいるなんておかしいぞ、と説得をする。子どもたちには「相談があるなら」と名刺を渡し、「昼の世界に戻れるなら戻れ。首にヒモがついているなら、取ってやるよ。電話をしてきな」と厳しさと優しさとが混じった声をかける。

 なぜ、水谷氏が夜回りをするようになったかも明かされる。

 「授業に来ても聞かない。また授業に来ない。横浜で最も危ない中華街の近くに立つ学校。その周辺で子どもたちが危ない目に合っている。そういう子どもたちを一日も早く助けようと、最初は自分の生徒にしか声をかけなかった。しかし、そこには制服をきた大勢の子どもたちがいた。いいや、みんな俺の生徒たちだと、日本中の夜の街を回るようになった」

 夜の世界から昼の世界に戻った子どもたちには、元風俗、元暴走族、元シャブ中などが多くいる。水谷先生は彼らに言う。「お前たちが一人でも死んだら、水谷は生きていることができない」と。

 だが、そんな水谷先生が14年前に、今までとは全く違う悩みを抱える子どもたちと出会うことになる。福岡の女子校で「助けて」と尋ねてきた子。腕をまくると無数のリストカットの跡だった。

 「痛かったな。でも、ごめん。先生がいまお前に何ができるか、ちっともわからん。止めたいのか?」「うん」「わかった。勉強してみるよ」。会話は続いた。

 水谷先生は愕然とした。「私が夜の街で、夜眠らない子どもたちに行きかっている、まさに同じ時期。夜眠れず、自らからだに傷をつける子どもが多数存在していることがわかった」。

 11年前、水谷先生は水谷青少年問題研究所を立ち上げ、勝負に出た。
(講演前半の抜粋より)


水谷 修氏プロフィール
1956年、横浜生まれ。少年期を山形にて過ごす。上智大学文学部哲学科卒業。横浜市の高校教員に。12年間を定時制高校で過ごす。
教員生活のほとんどの時期、生徒指導を担当し、中・高校生の非行・薬物汚染・心の問題にかかわり、生徒の更正と非行防止、薬物汚染の拡大予防のための活動を精力的に行っている。深夜の繁華街のパトロールは若者たちから「夜回り」と呼ばれている。


第2部
通信制高校の説明と
各高校の基調報告

 向陽台高校の井上副校長から通信制高校の仕組みなどが説明された。通信制ができた当時の日本の世情から始まり、現在の通信制の捉え方など。また、全日制との違いなども。学年ではなく、単位を基準として学習量が決められているため、生徒のニーズにあった、カリキュラムを作成できる。基準としては各教科、科目ごとにスクーリング(登校による面接指導)とレポートの回数が1単位ごとに決められている。学校によっては、毎日登校、2日・3日登校などの独自のコースを設定し、特色ある教育を実践している。

基調報告

●向陽台高校 柏原教頭補佐

 単位制高校としては第一号。1年間を5期の「学習期間」に分けて、2ヵ月ごとに単位を修得する独自のシステム。希望に合わせた4つのコース(登校型コース・新卒コース・総合コース・自宅学習コース)があり、年度途中のコース変更も可能となっている。

●天王寺学館高校 桐木教頭

 全日制・定時制・通信制の枠を取り払った独自の教育を実践している。毎年改革を実施。例えば、基礎学力の要請のため通学コースを設置し、全日と同等数の授業を確保。通信コースの中には授業形式を取らず、学童のように「勉強会形式」を取っている。

●長尾谷高校 大倉教諭・武田教諭

 5つの校舎がある。枚方本校は長尾谷高校の原点。梅田校はアクセスの良さと静かで落ち着いた環境を両立。なんば校は昨年新校舎に移転。9階建ての充実した施設。京都校は京都の中心地、四条烏丸にある。奈良校は自由なスタイルとマイペースを掲げている。

●八洲学園高校 大本教諭

 堺本校・横浜分校をはじめ、梅田、三宮、新宿、池袋キャンパスなどがある。中学校の学び直しが中心のベーシックサポートクラス。自分のペースで学習を進めるマイスタイルサポートクラス。教員やカウンセラーが訪問し、自宅学習が中心のホームサポートクラスも開設。

●YMCA学院高校 鍛治田副校長

 生徒たちが「自分らしく」という考え方で3つの学校を展開。YMCA学院高校。大阪YMCA国際専門学校高等課程 表現・コミュニケーション学科(表コミ)。大阪YMCA国際専門学校国際高等課程 国際学科(インターナショナルハイスクール・HIS)。

●秋桜高校 西村教頭・藤澤事務長

 全校生徒の約半分が、中学校卒業後に入学した新入生。残りの半数が転入か編入してきた生徒。成人してから入学してくる方も毎年複数人いる。授業は午前9時から午後3時30分。どの時間に登校し、帰宅するかは本人の予定に合わせて決める。

※研修会終了後は、同会場で各校ブースを設置し、個別相談が行われた。

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