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中学・高校受験:学びネット

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2015/9 塾ジャーナルより一部抜粋

ズームアップインタビュー この人に聞く112
業界をリードする確かな手腕
東海地区の私学底上げに成果

     

株式会社 日能研東海
代表取締役社長 野田幹人さん

 少子化の影響で苦戦が続く首都圏・関西圏とは対照的に、愛知県の児童数の推移は若干の減少にとどまっている。自動車関連や航空産業のお膝元として、人口も安定している。景気回復もいち早く感じられ、私立中学校にも中学受験塾にも追い風が吹いている。「今後が楽しみな地域です」と話すのは、名古屋市内に本部を置く日能研東海の代表、野田幹人さん。周囲の塾とも協力しながら、私学全体の底上げを図るために東奔西走する日々だ。持ち前のバイタリティーで業界を牽引し、部下にも保護者にも信頼の厚い野田氏をズバリ、直撃した。

日能研と河合塾の強みが凝縮
東海の中学受験で快進撃

── はじめに日能研東海の創立について教えてください。

野田 2008年に、大学受験を主な事業とする総合教育機関である河合塾と、中学受験塾を全国展開する日能研が、合弁会社を設立してスタートした中学受験専門塾です。

── 強豪同士が、東海地区で手を組んだのですね。

野田 日能研は関東や関西、九州にもあり、それぞれが独立した会社ですが、事業内容はどこも中学受験のみです。そこで圧倒的な合格実績のある日能研のカリキュラムや学習支援システムと、河合塾の中学受験コースが東海地区で長年蓄積してきた入試情報や問題分析力、学校情報との、両者の強みをリンクさせ、東海地区向けにパワーアップしました。

── 業績も含め、貴社の現状はいかがですか。

野田 日能研東海は小学3〜6年生が対象で、教室は名古屋市内に7校、それに刈谷、豊田、岐阜を入れて全部で10校あります。おかげさまで生徒数が1,700人を超え、右肩上がりに伸びています。昨年度の売上高は約10億円を達成できることとなりました。

 合格者を見ると、東海、南山女子、滝といった地元の難関校の合格者数も伸びていますし、中堅校の合格者数も同様に伸びています。日能研ということで、転勤族のお子さんも通っている関係で、首都圏や関西圏の受験者もいます。毎年、開成、灘、早稲田、慶応、ラ・サールといった全国区の難関中学への合格者も出ています。

 日能研に通ってくる生徒の将来の進路については、国公立大の理系、特に医学部を望んでいるケースが多いですね。また、昨年より女子の受験者数が増えていますので、これも景気が上向いている兆候かもしれません。

── 代表の仕事として、現在の取り組みを教えてください。

野田 日能研の事業の内側と外側で表現するなら、教室の内側で行う中学受験のための教務活動と、外側で行う中高私学を取り巻く業界底上げのための活動という、この両輪を前進させることに全力で取り組んでいます。

「未来への学びを考える会」を創設
業界でのリーダーシップを発揮

── 後者の、外側における活動とは具体的にどのようなものでしょうか。

野田 中学受験に関する情報提供を目的とした、イベントの開催と情報誌の発行を行っています。今年から実施するイベントは「未来への学びを考える会」(以後「考える会」)を立ち上げて活動しています。東海地区の各塾の方々や新聞社など、さまざまな関係機関に協力していただき、入試問題研究会や、首都圏・関西圏入試研究会、子育て教育セミナー、来年度の入試動向セミナー、入試結果報告会などさまざまなイベントを立案・運営し、どなたでも参加していただけるよう、参加費はすべて無料としています。

 一方の情報誌には、東海地区の私立中学校の魅力がわかる「Netty Land」東海版を1万部発行。当塾生を対象にした「東海つうしん」では、卒業生たちにも登場してもらいながら、私立中学高校の魅力をPRしています。また、地元の新聞社が発行している子ども向け新聞にも情報を定期的に提供しています。

── 直近で、「考える会」で企画したイベントにはどのようなものがありますか。

野田 10月に小学1〜3年生の女子親子を対象に、私立女子中学校を会場にお借りして、「私立中学(女子校)へ行ってみよう会」を企画しています。イベントの内容は、先生方による「女子校のことがよくわかるパネルトーク」や中学生による「名物クラブのデモンストレーション」の他に、お借りしている学校の中学在校生が案内する「校内見学ツアー」なども盛り込みます。40代の保護者が多いのですが、自分たちの時代とは随分変わっていることを理解していただき、女子校の魅力を伝えたいと思っています。

 大学入試も変わることで、教育界全体が変化の過渡期にあります。小学低学年からある程度子どもの進路を考えておかないと、気付いたときには時すでに遅しとなりかねません。

── ご自身も精力的に講演活動をされていると伺いました。

野田 豊橋エリアで初めて開催された私立中学校合同相談会で、「変わる大学入試と小・中学生の学習方法」と題してお話させていただきました。2020年度の大学入試改革より、これまでの知識・技能中心の入試を大きく改め、多面的かつ総合的な入学者選抜への転換が図られます。この新しい大学入試制度に私立中学校や中高一貫教育が有利だと感じる教育熱心な保護者とお子さんたちが、真剣に耳を傾けてくれました。

声を上げ続けた結果
私立中学に変化

── ライバル関係の各塾の先生方にも貴重な情報を積極的に提供しているそうですね。

野田 保護者の横のつながりもあり、情報はすぐに拡散しますから(笑)。また、私立中学受験コースのある塾の先生方にも、我々が行っている活動に理解をいただき、一緒になって私立中学受験を盛り上げるという狙いもあります。東海地区は高校受験がメインで、特に公立高校が強い地域です。そんな状況で、我々だけが必死に中学入試の良さをアピールしても広がっていきません。面展開を望むなら、中学受験コースのある各塾の先生方の協力が必要です。

── 首都圏・関西圏の日能研とは明らかに違いが見られますね。

野田 首都圏・関西圏に比べ、私立中学受験率が低いので、さまざまな情報提供をすることで、私立中学受験層を増やしていくとともに、私立中学校も魅力ある学校になっていくことで、私立中学受験の活性化が図れると考えています。

── 私学への要望にはどのような事柄がありますか。

野田 例えば、以前は入試応援が学校の外でしか行えなかった学校が、昨年度からは校内で行うことができるようになりました。来年度入試では、すべての学校が校内応援で入試できるようになる予定です。

 今後は、受験料の振り込みをコンビニで、また写真サイズや枚数の統一を、といった「出願のしやすさ」や「内申書の代わりに通知表のコピーで代替すること」、「帰国子女の受け入れ」などについても改善を実現させたいですね。また「入試問題」に関しては、配点や模擬解答、記述問題の部分得点の明示など。「進学実績」に関しては、中高一貫生の現役生および男女別の合格実績の提示をお願いしています。

── 首都圏や関西圏の受験と比較すると?

野田 この地方では首都圏・関西圏に比べ、若干、学校改革が遅れているところもあります。

 「考える会」では、去年から学校の先生を対象に「首都・関西圏の学校情報説明会」を開催し、首都圏・関西圏で受験生を多く集め、評判の良い学校の紹介をし、学校改革のいいところを取り入れていきましょうと提案しています。愛知県全体での中学受験者は全体の5%前後。これを8〜9%にすることができれば、東海地区の中学入試が活性化しますので、私立中学校と各塾が連携し、よい方向に変わっていけると思っています。

将来を見据えた進学プランで
保護者の期待に応える

── 教室の内側の活動についても聞かせてください。

野田 合格率をあげることを命題に職員一丸となって生徒指導にあたっています。

 成績を上げる前提として、子ども自身の学びが創れているかのチェックを怠らないように指導しています。子どものためになっているかなどを常に検証し、個々の子どもの状況を分析して子どもと話す時間を長くとるなど、その子に合った対応にチーム全体で取り組んでいます。

 学習サイクルをきちんと根付かせておけば、中学校に入ってからの伸びも各段に違います。その素地をここで作っておきたいですね。

── 現場の先生方に特にお願いしていることは。

野田 学ぶことが嫌いにならないように。学ぶ楽しさをどう定着させるかが、教師の力量です。例えば、野球選手になりたい子どもに小さなうちからバンバン投げさせたら、体が壊れてしまいます。このバランス感覚が大切ですね。若いスタッフが多いので、彼らの考えたアイデアはなるべく取り上げ、実行できるよう話し合っています。

── 今後の課題と展望を。

野田 教室展開は、市場の動向を見ながら進める方向でいます。低学年コースの設置や英語の事業化については、将来的に考えていく必要がありますが、今は、現状の事業をトコトン掘り下げる時期だと考えています。子ども同様、保護者への対応もこれまで以上にしっかりとやっていく計画です。

── 保護者の姿も時代とともに変化していますか。

野田 私立中学への合格だけでなく、その先の進学や学びに関するトータルなプランニング力を求められるようになりました。親は、自分の育った時代にできなかったことや夢を子どもに託したいという気持ちが強いと思います。それを見据えた上で、我々はどういったサービスを提供できるのか。私学への要望は、子どもや保護者からの声の集約でもあるのです。

 当社の修業式には、毎年生徒の8割以上とその保護者が出席してくれます。子どもの出席者とほぼ同数です。ありがたいですね。共に成長し、成長させていただいていると実感しています。

── ありがとうございました。今後のご活躍に期待しています。

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