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　春に消費税が増税され、日本各地域の模擬試験の受験率に低下傾向が目立った２０１４年。これを受けて、２０１５年の中学入試は例年以上に厳しいものになると予想された。

　ただし、首都圏近郊や大阪・名古屋などの大都市の難関中学、もしくは全国的に有名な進学校では受験生数を維持。前年の入試難度を継続している。これには各地域の中学受験を指導対象とした塾の影響力も大きいと言えるだろう。

　塾ジャーナルでは今回、日本全国の塾や塾団体など約５５０塾に対し、アンケート調査を実施。中学受験への意識や現状を現場の声とともに探ってみる。

　今年の都立中高一貫は平均倍率６倍強。昨年よりわずかに減少したものの、まだまだ人気が集中する相変わらずの狭き門となった。東京都以外の関東圏では、県によって私立中学・公立一貫校の数が少ないところもあり、さらにその中でも地域によって受験者数・受験率ともにバラつきがあった。関西では京都府で「志願者が増加した」とする塾関係者が答えたように、奈良県を除く他府県での受験率は上昇した。名古屋では「私立上位層に人気が集中したように思う」との意見も見られた。

　一方、原発事故の影響が色濃く残る福島県だが、私立中学の躍進が見られ、「生徒減少による学力低下は塾により支えていきたい」と語る塾長もいる。岡山では県北の県立中高一貫の津山中学校が競争率3.7倍、県立倉敷天城中学校が2.94倍と予想を下回る結果となり、「塾通いをしなければ中学受験に合格しない」と考えて、中学受験を敬遠した生徒がいるためかと考えられている。九州では県立中学で志願倍率が多少上昇したが、親の学習に対する重要度の違いが、生徒の合格差に大きく影響しているとの声も上がった。

　アンケートに回答していただいた塾および塾団体のうち、中学受験を指導している塾は全体の78％【グラフ１参照】。中学受験指導を通じて良かったと思ったことには『生徒・保護者から信頼されたこと』をあげる塾が最も多かった【グラフ２参照】。

　個別には「親子両方の成長が促される受験となった」「難関校受験生の８割を合格させることができた」「受験を通じ、講師も成長できた」「個人塾でもやりがいのある中学受験を指導すべきだ」という個人的意見が多く得られたが、中には「塾としての信頼が得られ、その後、中学から高校へ進学しても通塾を続けてもらえる可能性が高くなった」という企業からの視点で、意見を述べる塾もあった。

　生徒の進路指導をしているかどうかという質問では、『している』が90％、『相談があればしている』が10％とほぼ１００％。大手塾の生徒たちが集うＷｅｂサイトでは「学校の先生より塾の先生のほうが情報を持ってる」「塾の先生は距離が近くて安心」「本当のことをズバっと言ってくれるから、進路を決めやすい」というさまざまな意見があがっていることもあり、塾での進路相談は、塾側・生徒側双方にとって、近年では『当たり前』のこととなっている。

　しかし、生徒は中学受験後、進学しても通塾を続けるかという質問では、『通塾する』が78％。『退塾する』と『中学途中から再入塾』がともに10％。この中で『退塾』という回答には「中学受験コースは小学校卒業後に進級しない（他コースへの移動は不明）」や「もともと中学受験専門塾だから」という理由で卒塾させている塾も含まれている。一方で「国立・私立中学、公立中高一貫校を受験し、中学入学後に通塾を続けたいという生徒であっても、その中の公立中高一貫校受験不合格者のみしか受け入れていない」や「通塾しても成果が期待できない状態であると思われる生徒には、小学校卒業時に中学部への継続を勧めない」という考えで、退塾を促す塾もある。

　最後に中学受験指導を行っている塾に、今年の中学受験の感想や意見を求めたところ、「安全志向を持つ生徒が多い」「景気上昇とともに受験者が増加したように思う」「公立・私立を問わず、各学校の特徴を捉えた受験をすべき」という全国的な意見が多かった。

　また、塾ジャーナルに向けて「中高一貫教育の情報掲載をもっとしてほしい」との嬉しい要望もいただいた。