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2014/7 塾ジャーナルより一部抜粋

私塾協同組合連合会
埼玉県私塾協同組合主幹 第21回全国研修大会
真のグローバル教育を目指して 新たな教育のカタチを探す

  2014年6月1日(日)/大宮ソニックシティ市民ホール・パレスホテル大宮  
     
 私塾協同組合連合会主催の全国研修大会が、埼玉県私塾協同組合主幹にて埼玉県大宮市で開催された。

 今回で21回目を迎えるこの大会は、毎回さまざまな趣向が凝らされており、第一部に基調講演やパネルディスカッション、第二部の懇親会にバイオリンやピアノ演奏を用意。真剣に討論が行われて熱くなりがちな教育者たちの心を、美しく穏やかな曲で和ませるプログラムになっている。

 最初に登壇したのは埼玉県私塾協同組合理事長の坂田義勝氏。長時間にわたるこの会に快く参加を表明した会場の参加者に礼を述べた後、「日本のグローバル化は2020年の東京オリンピックに向けて一気に加速するでしょう。また、それに伴い、社会の構造そのものも変化を続けていきます。その社会を支えるのが、いま教育を受けている子どもたちです。日本を変えるのは教育からであることを認識し、本日の研修を生かしていただきたい」と開会の辞を宣言した。

 この後、公益社団法人全国学習塾協会会長の安藤大作氏、大島九州男参議院議員、西田まこと参議院議員による来賓挨拶が行われ、それぞれが今の日本に必要な教育に関する自らの意見を語り、「グローバル」をテーマにした研修大会が始まった。

 会の最初に行われたのは、私塾協同組合連合会と朝日学生新聞社が共催したニュース作文コンクール表彰式。全国の小・中学生を対象に行った本コンクールは、活字離れが嘆かれて久しい近年の生徒に、新聞を通じて社会への関心を高めることと、読解力や表現力、考える力を身に付けることを目的に開催されたもの。第1回目となる今回は、小学生357本、中学生401本の優秀な作品が寄せられ、最優秀賞と優秀賞、佳作が選抜された。

 今回、表彰されたのは中学生の部で最優秀賞を受賞した塚田理乃さん(在籍時、中3・現高1)。特定秘密保護法について書かれた『真実を見て考える力』は、自分の感じたことを冷静に分析し、意見をまとめて書かれている深い内容の作品だ。

 表彰後に朝日学生新聞社の脇阪嘉明社長から、「ニュース作文は、いま世の中で起きていることへの意見を書くという新しいジャンルの作文。第2回となる次回も秋に開催を予定しているので、多くの作品を寄せていただきたい」と感想が述べられた。

 

未来の真の教育とは何か
熱く意見を交わす
パネルディスカッション開催

 今回の研修大会の第一部は、作文コンクールの表彰式の後、文部科学省大臣官房政策課企画官である村瀬剛太氏による基調講演、教育者たちのパネルディスカッションの三部構成。基調講演の後に行われたパネルディスカッションでは、4人の教育者が登壇し、真のグローバル教育とは何かを熱く語った。

 「20世紀の大量消費社会から21世紀に時代が移り、同時に高度情報化の波が来て、その中で教育改革が2002年に始まりました。そして今、さらに新しいグローバル化という波が来ています。その中で『自ら学び、判断する新しい学力観』が大切になってくるでしょう」(河合孝允 駒込中学校・高等学校校長)

 「人の気持ちを理解し、自分の気持ちを伝えて貢献する力を付けることが、個人の人格を整えることにつながります。また、学びは深く学ぶほどに知らないことが増えてくるもの。ひとつを学べばその次の段階へさらに学びを進めていき、その上で世界に視野を広げていかないといけません」(真下峯子 嵐山中学校高等学校校長)

 「今から12年前の2002年に実施された国際学力テストは、日本のお家芸と言われた理科・算数の成績が著しく低下の傾向を見せていました。しかし、日本ではスポーツ系の才能のある子は援助するけれど、ロボット作りやソフト開発でハイレベルの子を援助するシステムはない。小学生がサッカーをするのは賞賛しても、スマホアプリを開発する子は『オタク』と言われるのです。それを解消するためにも、理系学習を推奨する教育界と、卒業後の受け皿となる産業界が手を組んで学びの形をつくることが、世界に高い技術を発信するグローバル化につながると考えます」
(北原達正 明法中学高等学校Chief Educational Director)

 「大正時代に建立されたとある歌碑のある学校へ行ったとき、その学校でこの歌碑について学習しているのかと尋ねたら、教員の多くが学習どころか、歌碑の字を読めていないことがわかりました。グローバル化と言えば、語学や留学などが並べられるが、自分の身近なところから日本の文化や伝統を知り、海外の方々に語ることができる教養も、科学と両輪となって教えなければならないグローバル化の一端だと思います」(布浦万代 茨城県学習塾協同組合理事長・学習塾ひびき塾長)

 それぞれが自分の考えるグローバル化を語った後、河合氏が布浦氏の語る教養は、自分が考える「温故知新」の教育の考えと似ていると語り、情報の入手とその利用を競い合う社会を作った今の教育界をひっくり返してでも、古い伝統をしっかり見据えて、自分の考えを生かすインビジブルなコミュニケーションが必要だと主張した。また、海外との交流会で何も話せない日本人学生は、英語が苦手なのではなく、討論で自分の意見を述べる練習ができていないという北原氏に対し、語学は大事だが、その語学で何を伝えるかはもっと大事であり、教養を大切に教えていきたいと語る布浦氏が同意。「東京オリンピックでは、ぜひとも科学オリンピックも同時開催し、そこで鍛えた学生を競わせたい」と北原氏が近い未来への期待に熱弁を奮った。

 

基調講演
2020年に向けた教育改革
真のグローバル化とは
文部科学省大臣 官房政策課 企画官 村瀬 剛太氏

 現在の日本政府は3つの柱を立てた成長戦略に取りかかっています。新産業の創出と中小企業や地方へのアベノミクス効果の拡散、そして働き方の改革です。この働き方の改革に人材育成である教育が絡んでくるのです。

 50年後を見れば、少子高齢化がさらに進み、人口は3割減、現役世代は人口の4分の1になります。この時代を支えるのはやはり若者。彼らに経済成長を望むには、社会を生き抜く力と未来への飛躍を実現する力を身に付けさせると同時に、年齢や経済的理由にかかわらず、生涯学ぶことのできるセーフティネットの対策も必要です。

 これと同時に、グローバル人材の育成も急務となります。そこで問題になるのが日本の語学力の低さです。実際にTOEFLの国別ランキングでは日本は163ヵ国中135位。高等教育で英語を使用した授業は全体の5%しか実践されていません。改善するには英語教育の強化、小学校からの英語教育が必須です。

 このため、教育課程全体を見直し、日本の伝統やアイデンティティにかかわる教育の充実と同時に、英語教員の育成やネイテイブスピーカーの活用促進などを見直し、2014年から随時小学校3年生からの英語活動を導入します。その上で、小学校高学年では英語を教科に加え、担任だけでなく専科教員の活用も考えております。

 一方で、高等科の教育改革も行います。国際バカロレア機構に加盟し、日本の高校を卒業して海外の大学に直接入学できる資格を取れる学校を増やします。現在、全国で20校がこの機構に参加していますが、世界では2,450校が認定されており、日本でも200校の加盟を目指します。また、スーパーグローバルハイスクールを創設。現在50校認定されているこの高校では、英語教育はもちろんですが、人文・社会科学などの普通科目での素養を高め、国際的素養を身に付けたグローバルリーダーの育成を図ります。同時に大学にもスーパーグローバル大学を設置。現在、世界の大学ランキングでは100位までには東京大学・京都大学の2校のみが入っていますが、今後10年以内にはあと10校をトップ100以内に入れたいと考えています。

 グローバル化を図る上で欠かせないのが、留学生の問題です。1975年以降、約4倍となる年間367万人が海外派遣するようになりましたが、それでも中国やアメリカ、インドなどと比べれば低い数です。その上、日本の高校生で海外へ留学したいと希望するのは約4割、米中韓がそれぞれ6割近く留学したいと答えているのに対し、かなり少ない割合となっています。その原因を我々は「海外との触れ合いが少ないせいではないか」と考えました。

 そこで若い人たちに人気の高いアイドルやシンガーを招いてイベントを開催したり、アスリートや宇宙飛行士による講座を行うなど、さまざまなキャンペーンを実施。留学へのイメージアップにつないでいます。また、就職や経済状況、在学大学の体制などで留学が難しい学生もいます。これは、就職活動の開始時期を後ろ倒しに設定、日本学生支援機構に民間資金が基本となる基金を創設して給付型の奨学金制度を導入、年間を4期に分けて夏の期間のサマースクールで留学期間を確保するなどのシステムを整えるよう、現在、企画して始動しています。特に基金には民間企業からの寄付が望まれますが、企業側が欲しい人材を育成することで、相互の利益追求となることを表明し、参加を呼びかけています。

 海外への留学生と同時に日本へ受け入れる海外の留学生も増加してもらう必要があります。現在約14万人の留学生が来日していますが、政府は日本の国力となってくれるような質の高い留学生を30万人受け入れることを目標に置きました。そこで、日本の大学の質を高めるとともに、新興国など重点地域を設定、戦略的に外国人留学生を確保していく予定です。

 これらの新たな取り組みにより、オリンピックが開催される2020年には日本を再生できることを意識して、これからもより良い教育改革に取り組んでいきたいと考えております。

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