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中学・高校受験:学びネット

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2014/7 塾ジャーナルより一部抜粋

ズームアップインタビュー この人に聞く106
幼児から大人まで0歳からの生涯教育
転機となった保育事業への参入

     

株式会社 理究
取締役 荒屋 剛志さん

 「どんちゃか幼児教室」と小学受験の「理英会」、小・中・高生対象の学習塾「国大Qゼミ」を運営。さらに東急電鉄と提携し、保育事業も展開している株式会社理究。大人を対象にしたパソコン教室等も運営するなど、スローガンである「0歳からの生涯教育」を実践している。この春からは広域通信制高校「我究高等学院」を開校。新たな挑戦を始めた。幅広い層への教育サービスを提供し、順調に事業を広げている同社。小学受験の強さの秘密、事業展開における考え方など、取締役である荒屋剛志さんに聞いた。

幼児教室からスタート
小学受験
神奈川ナンバーワン

── 御社の始まりについて教えてください。

荒屋 横浜国大の伊藤忠彦教授が始めた、「どんちゃか村幼稚園」が弊社のルーツです。それを当時、同大学の学生だった弊社代表の米田正人や私たちが手伝っていました。合宿やキャンプなどの野外活動をどんちゃかどんちゃかやるものですから「どんちゃか村」。それが現在の「どんちゃか幼児教室」のルーツになります。

 今でこそ右脳左脳と言われますが、当時右脳と左脳の両方を刺激する全脳教育の理念を打ち出したのが伊藤先生でした。お母さんはよく「この花なんて名前?」と左脳的な質問を子どもにしますが、「きれいな花ね。お母さん、この花好きよ」という右脳的な働きかけをしてあげることが脳にとってはいい刺激になる。そうしたことを実践していた幼稚園でした。

── 会社組織にされたのはいつですか。

荒屋 その後、伊藤先生がお亡くなりになり、1981年に教え子が中心となって「株式会社全脳教育協会」を設立しました。学習塾部門を立ち上げたのは3年後の84年。幼稚園に来ていた子どもたちが小学生になり、「勉強もみてほしい」と言われたことがキッカケです。この名前も「どんちゃか村学力向上道場」。これもすごいネーミングですが、講師のことも「師範」と呼んでいましたね。これが現在の学習塾部門「国大Qゼミ」の始まりで、現在の社名「理究」になったのは1991年です。

── スタートは幼児教育だったわけですね。

荒屋 はい。現在、私国立小学受験指導の「理英会」と、非受験の「どんちゃか幼児教室」の大きく2つに分かれています。

── 小学校受験実績は神奈川県ナンバーワンです。その指導の秘訣は。

荒屋 教材やカリキュラムの優位性もありますが、私は「スタッフ」に尽きると思っています。優秀なスタッフのおかげです。原則として授業はベテランと若手の2人体制で行うのですが、このベテラン講師に元私立小学校教員など、私立小学校のことを本当によく知っている得難い人材がいることが合格につながっていると思います。

 小学校受験はベールに包まれている部分が多い受験です。中学受験なら偏差値からある程度、合否を予測することができますし、問題も公開されています。しかし、小学校受験の問題は公開されていません。

── 受験対策の方法は。

荒屋 私たちは毎年どんなテストだったか、受験生の家庭に聞き取り調査を行っています。それを元に、各学校が合否を決めるポイントを追跡・推測します。学校別に担当者を置いて、「この学校ではこういう力が求められている」ということを理解した上で指導しています。

 例えば、集団活動の中で、率先して手を挙げることを良しとする学校もあれば、良しとしない学校もあります。生意気でもいいから積極的な子に来てほしいのか、規律を乱さない子に来てほしいのか。受験会場で子どもの様子を見ている親の対応も見られています。学校によって、その子どもに合う合わないがありますので、学校選びについてもアドバイスをさせていただいています。

── 塾と比べて、幼児教育は保護者の方への配慮も一層必要になるのでは。

荒屋 幼児教室では、保護者はマジックミラー越しに授業を見ています。講師は常に見られている状態で授業をします。終わった後は「マザーリング」といって、今日の授業の意図を説明したり、アドバイスをしたりしています。毎回、授業参観しているのと同じで、何か問題が起きてもその場で解決できます。小・中・高生の保護者の方よりも講師との距離は近いですし、配慮というよりもメリットがあると思いますね。

── 小・中・高生対象の「国大Qゼミ」について教えてください。

荒屋 生徒の割合は、小:中:高で3対3対3。高校部は代ゼミサテラインを入れています。最初は集団指導のみでしたが、今は集団と個別の割合は8対2です。今後は個別のほうを伸ばしていきたいと考えています。クラスに15人いたら、1人でもこぼしてはいけない。集団であっても、個別に対応した時間の取り方、Eラーニング等も併用しています。

── とび級「ジーニアスコース(通称:Gコース)」を小学1年から募集していますね。

荒屋 小学校1年生でも、明らかに4、5年生に匹敵する力を持っている子どもがいます。基本的に1年先のことを学ぶのですが、単に先取りをするのではなく、リミッターを外す感覚です。実験もよく行うのですが、1、2年生から化学式を教えてもいいと感じています。そうしないと、個体では白い塩が水に溶けたとき、透明になることが説明できないからです。教材はありますが、彼らの知的好奇心を存分に満足させられる、自由な学びを提供したいと思っています。

保育士とぶつかり合いも
パレットだからできる教育を

── 保育事業も展開されていますね。

荒屋 弊社の転機となったのがこの保育事業です。1995年、当時の厚生省が「駅型保育事業」のモデルプランを募集していまして、それに手を挙げ「どんちゃかランド大和」を開園しました。

 その8年後、ご縁があって東京急行電鉄と提携し、保育園事業を一緒に展開することになりました。それが「パレット保育園」で、現在まで10園展開しています。また渋谷区で2園、新宿区で1園運営を委託されてもいます。

── 最初から順調だったのでしょうか。

荒屋 実はスタート当初、私たちは保育そのものを理解していませんでした。「今まで培ってきた教育を、生活の場で実践する場所ができた」とばっちり教育するつもりでした。しかし、保育園はあくまでも保護者の労働を助ける機関。保育士と考え方がすれ違い、ぶつかり合うこともありました。保育園としては、お預かりしたお子さんにケガをさせずに無事にお返しするのが大前提。それができて、初めてパレット保育園でしかできないことをする。そうした方針を今は理解してもらっています。

 「感性」「知力」「体力」をバランスよく育てる保育を目指し、絵本育脳プログラムの「コトバの森」では厳選した絵本を読み聞かせ、ことばのセンスを磨いていきます。

── 保育園のある東急線沿線は、小学・中学受験に熱心な家庭が多いエリアですね。

荒屋 幼児教育を手掛けてきた私たちが、この沿線で受け入れられた理由もそこにあると感じています。パレット保育園から小学校受験をされる方もいます。ただ推奨はしません。選択肢として小学受験もできることをお伝えてしています。通常、保育園児の小学受験は難しいようですが、「パレットだからそれができる」と言っていただけるようになりたいですね。

── この春、広域性通信制高校「我究高等学院」も開校されました。

荒屋 キッカケは私たちが送り出した子の中に、ぽつぽつと高校をやめてしまう生徒が出てきたことでした。そのほとんどは「え?あの子が」と思うような生徒。偏差値の高い高校に合格したのにやめてしまったり、第一志望に行けなくて、第二、第三希望の学校に入学してすぐに行かなくなったり、といろいろなケースが出てきました。そうした生徒が最初に相談に来てくれるのが、私たちのところだったのです。そこで「希望が叶わなかったらこういう選択肢もあるよ」と、送り出した生徒を受け止めたい思いで始めました。

── 学校の方針は。

荒屋 我究への入学には上級学校に行く意思があることが条件です。しっかり学習指導を行いますので、いわゆる高卒の資格だけ取りたい人は本校には向きません。ほとんどの授業は個別で、週5日、3日、1日の3コース。中には、中学3年間1回も登校していない生徒もいますが、週1日、アルファベットの勉強から始めています。

── パソコン教室や日建学院の公認校も展開されています。

荒屋 「ももたろうパソコン教室」は外部の受講生もいますが、自社のIT部門強化を目指して、社員もほとんどフリーで受講できるようにしてあります。

 日建学院とは経営協定を結び、宅建や建築士などの資格が取れるスクールを開校しました。今、100人弱の方が通っています。

 他にも「ことばの学校」を全国約130校の私立小学校や塾に提供しています。これは、国語力の土台を伸ばすプログラムで、朗読音声を聞きながら、本を読むだけの極めてシンプルなものです。国語力の土台は「言葉力」「読む速度」の2点に尽きると私たちは考えています。これを鍛えると、いわゆる算数における計算力の相当する力を鍛えることができます。全く本を読まなかった子どもでも、一気に1〜2冊、読んでしまうこともありますよ。

── 順調に、そして多角的に事業を拡大されていますね。

荒屋 生徒数は幼児教室からパソコン教室を含めて約9,000人。現在、売り上げ構成比としては、塾と幼児と保育で、ちょうど3等分です。これで教育サービスとして一通りのラインナップは揃ったと考えています。しかし「なんでも屋」になってはいけないとも思っています。スタッフ間の交流も考えますと、事業のある程度の絞り込みも課題です。

 理究という会社は、教育サービスから離れることはありません。これからも教育サービスの枠の中で、すべての可能性のアンテナを張っていきたいと思っています。

── 本日はありがとうございました。

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