大成中学校・高等学校では、2014年、高校に英語留学コースが新設され、特別進学のラトナディア、普通進学のプラウディア、中高一貫のステューディアの4コースとなった。英語留学コースは、1学年20人という少人数制を採用、高1の8月から高2の7月までカナダ・カルガリーに留学するコース。1年間留学しても3年で卒業できる。留学後は、英語力を生かした進路指導を行い、難関大学入学を目指す。
同校の学びの基本の一つにあげられるのが、英知を持った国際的な教養を培うための教育。英語力はもちろん、グローバルな視野・見識の涵養に力を注いでいる。
さて、今回、ホープに指名されたのは、英語教師・鈴木雅大先生。3学期終了前、プラウディアの2年生のリーディングの授業を取材した。習熟度別に編成された一番上位のクラスだ。最初の10分ほどは、当日履修する英文のネイティブのCD(音読)を聴き、鈴木先生の指示に基づき、全員でリピート。さらに通しで聴き、CDに合わせて音読する。鈴木先生はその間、ポイントとなる英文を板書していく。
音読が終わると、本日の学習内容である分詞構文と接続詞についての解説が始まった。板書した英文の品詞別にさまざまな色のチョークを使ってアンダーラインを引く。黄、緑、青の順に訳せばいいわけで、非常にわかりやすい。
続いて、ランダムに生徒を指名して、質問。答えると「なぜ、それを選んだ?」と、理由まで聞く。そして、ある生徒をあてるとき「声、治った?」と一言添えた。あとで聞くと、その生徒は前回、風邪をひいていたとか。担当する生徒一人ひとりの健康状態まで把握している様がうかがえる。 |
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大量の宿題を出し
学力の底上げに尽力
鈴木先生は、同校中高一貫コースを2006年に卒業、山梨大学に学び、2010年、同校に着任した。中学時代の夢はパイロットで、そのために英語の勉強に励んでいた。しかし、その夢はかなわず、2つ目の道として教師を選んだと言う。
「母校での勉強が公立より進んでいたので、地元の友達に教えていました。教えるのも面白いなと思ったのが、教師になるきっかけです」
着任から2年間は、ステューディアの英語の教科指導を担当。3年目に高校のほうに替わり、初めて担任をもった。それがプラウディアコースの1年生で、今春、担任3年目になる。現在、教科指導は、プラウディアとラトナディアを受け持っており、さらに進路指導、バスケットボール部の副顧問も担当している。
担任として、また教科指導において心がけていることは「ぶれないこと」。その時々や相手によって言うことが違うというようなことがないようにしている。そして、間違いは認めるよう指導しており、自身も授業中に言い間違えた時はすぐに「間違えた。ごめんなさい」と謝る。
プラウディアの場合、入学時は、勉強が苦手な生徒が少なくない。できないのではなく、解いてきた問題数が足りないと判断した鈴木先生は、中学の学習範囲を含めた問題を作り、大量の宿題を出してきた。やってこない生徒は残してやらせる。そのかいあって、生徒の学力は伸びてきている。
一見、優しそうにも見える鈴木先生だが、「今は、叱って従わせている部分が大きいと思いますが、私が叱らなくても生徒自らやるべきことをやってくれるようになるのが目標です」と厳しさもみせる。
生徒を思い、真摯に生徒と対峙する鈴木先生。卒業後、いつまでも生徒の心に残る恩師となるに違いない。 |
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