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2013/7 塾ジャーナルより一部抜粋

これでわかる私大医学部のすべて

第3回 私立大学医学部突破への勉強法
(1〜3の文責:平野 晃康 4の文責:安達 雄大)

私立大学医学部へ入ろう.COM 平野 晃康
昭和53年生まれ。南山高等学校男子部卒業、名古屋大学工学部卒業。大学院時代から塾・予備校の講師を務める。指導歴は約8年。3年前から名古屋セミナーグループ医進サクセス室長として医学部志望者を中心に指導を行う。『私大医学部入学試験を斬る2013』(名古屋セミナー出版)を執筆。
 

安達 雄大
昭和53年生まれ。名古屋大学文学研究科博士課程出身。学生時代より大手予備校で指導を開始。現在は医学系予備校で小論文指導も手掛ける。日々たゆまぬ研究に裏付けられた切れ味の鋭い講義と丁寧な小論文指導には学生から絶大な信頼を集める。

1.入学試験へのタイムスケジュール

 私立大学医学部の受験は前月号に述べたとおり、11月の中旬に実施される推薦入学試験を皮切りに、3月下旬の一般入学試験後期日程まで、約半年にわたって実施されます。このため、受験勉強を始める前に綿密な受験計画を立てておかないと、あっという間に受験期に突入し、目の前の対策に追われるうちにその年の受験が終わってしまう、ということになってしまいます。

 毎年、夏休みの終わり頃になってようやく推薦入学試験を考え始める生徒がいますが、こういう生徒は苦労します。理由は二つあります。まず一つ目は推薦入学試験の受験科目は一般入学試験よりも少なく、難易度が低いため、推薦入学試験の勉強に集中すると一般入学試験の対策がおろそかになってしまうこと。もう一つは、小論文の対策が間に合わなくなる事です。

 夏休みが終わった途端、一般入学試験の対策(現役生は数学や理科が学校ですべての課程を修了していないため、それらの学習をしなければならない。)に加えて推薦入学試験の対策、小論文の対策、面接対策などをしなければならなくなるとすると、予定外に勉強量が増えてしまって勉強が散漫になり、推薦入学試験も一般入学試験もうまくいかないということになりかねません。

 私立大学医学部を受験することを決めたら、できるだけ早く入試情報を揃えてどの試験を受験するかを決定し、そのための学習のタイムスケジュールを決めて、その通りにこなしていくことが大切です。最初から目標をしっかり決めておくと、途中で慌てずに済みますし、合格の可能性がぐっと高くなります。

 重要なのは理科と小論文の学習の時期です。理科は独学でも比較的勉強しやすい科目なので、塾などを活用した先取り学習により夏休み頃までに一通り終わらせておくとよいでしょう。小論文は日本語で書くものだからといって軽視する人がいますが、受験直前になって慌てて対策するようでは、良い小論文を書く能力を身に付けることはできません。時間に余裕のあるうちから少しずつ対策していくことが大切です。具体的には4.に詳述します。

2. 難易度の高い問題ばかりではないが、難易度の低い試験ではない理系科目

 私立大学医学部の入学試験の理系科目は、慈恵会医科大学や慶応大学医学部などの難関校を除いて、非常に難易度の高い問題が出題されるというわけではありません。

  標準的な、得点しやすい問題が大半を占めます。

 しかし、平均倍率15倍の試験ですから、ボーダーライン付近に多くの受験者がひしめきあいます。そのため、知識の抜けている部分や弱点があると合格することはできません。それだけの人数が集まると、同じ学力レベルでも、たまたま自分の得意なところばかり出た。という人が必ず存在するからです。自分が不得意とする問題が出題されたら、その時点で合格から大きく遠ざかることになるのです。また、設問そのものは難しくなくても、他の大学ではあまり出題されないような題材が出題されることもあります。

 そのため、私立大学医学部受験では、すべての範囲を満遍なく学習しておくことが大切です。知識の抜けや弱点を作らず、教科書や資料集などを隅から隅までしっかりとチェックし、数学のチャート式や理科のリードαのような網羅系の参考書に載っているような問題はすぐに解法が出てくる。そういう力を養っておかなくてはなりません。

 大手予備校などから発表されている偏差値が高いので、レベルの高い問題集ばかりをやりたくなってしまいますが、むしろ、さまざまなパターンの標準問題を数多く解いた生徒の方が合格点をとりやすいのです。

3.合否を分ける英語

 私立大学医学部を受験するうえで、英語が得意であることは大きなアドバンテージになります。それは、医学部入試を受験する生徒はほとんどが理系の生徒で、理系科目で大きな差をつけるのは大変であり、数学は当日の体調や出題の仕方によっては、得意であっても点数が取れないことがある一方で、英語は得意な人が比較的少なく、一度得意になれば好不調の波が少なく、得点が計算できる科目だからです。実際、合格した生徒の多くは英語が得意でした。

 また、埼玉医科大学や東海大学などのように英語の配点を高くしている大学や、藤田保健衛生大学のように英語に足切りラインを決めている大学があるなど、大学も英語ができる生徒を求めています。

4.論理的に日本語を組み立てる能力が必要な小論 (安達 雄大)

 日本で十数年生きてきた経験値への過信からか、「日本語で自分の考えを書ければいいんでしょ?」程度に小論文を捉え、その対策を後回しにする方をよく見ます。それが楽観にすぎないということ、小論文の勉強が早急に必要だということを分かっていただくために、小論文で何が要求されているのかを概説します。

 小論文の成績に影響する重要な要素として、「独創性」と「論理性」を挙げることができます。「独創性」とは「解答者自らが考え、練り上げた議論である」ということ、「論理性」とは「答案全体が矛盾なく相互に一貫している」ということです。こうして定義してみると、「なんだ、その程度のことか」という印象を抱くかもしれませんが、よく考えると話はそれほど簡単ではありません。

 例えば、大抵の小論文の問題には課題文があり、それに対して持論を展開することが要求されます。こういう形式の問題になると、大抵の子は本文から離れません。「私は・・・思う」という文言以外は全て本文の焼き直し、というケースも見られます。当然ながら独創性が欠落します。本文からの適切な仕方での逸脱が「独創性」の前提になるわけです。しかし、このように言うと、これを即座に「筆者への反論」と混同する方がよくいます。それ自体を即座に問題だとは言えませんが、課題文の大半は相当に正当な論を展開していますので、不用意な反論はただの非常識な暴論、場合によっては反論にさえならない単なる過激な発言に陥ります。「独創性」は「奇抜さ」とは違うのです。

 そして、小論の最大の難点は、以上の二つを同時にクリアしなければいけないという点にあります。本文から逸脱しつつも、常識や論理性からは逸脱しないような議論・・・それが小論文の成功の条件なのです。単に「日本語で何かを表現できる」ということとは、全く違うことですね。

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