大成中学校・高等学校では、昨年、中学校開校20周年、高校開校25周年の式典が行われ、その節目に合わせ、制服のリニューアル、学校設備の充実が実施された。今年はトイレの改修も行われ、さらに快適な教育環境となっている。
同高校には、中高一貫のステューディア、特別進学のラトナディア、普通進学のプラウディアの3コースがある。各コースとも少人数制、大学進学に最重点を置いた学習指導を行っており、大学進学実績面でも躍進を続けている。熱血先生が多く、生徒への面倒見の良さが同校の特長だ。ラトナディア、プラウディア両コースの数学を担当する近藤裕介先生もそんな教師の一人である。
記者がラトナディアコース1年の数Tの授業にお邪魔したのは、3学期終業式の前日で、11人が海外語学研修に出かけていたため、出席者は19人。近藤先生は年度末考査の解答用紙を返却し、解答の一部の解説をしているところだった。二次関数の問題の解き方を板書し、はっきりした口調で生徒に語りかける。「この関数の最大値と最小値を求めなさい。まず何する?」と生徒をあてて答えを促す。その生徒が「頂点を求める」と答えると、「そうだね。グラフを書こうと思う。グラフを書くためには、頂点を求めなきゃいけない。頂点を求めるには、何する?」と次の生徒をあてて質問。こうして生徒に参加させながら、解き方を順序立てて説明していった。
考査問題の解説が終わると、残り時間を使い、春休みの宿題プリントを配布。「数学には、数学的センスも大事だけど、それ以上に問題数をこなすことが大事。わからないところがあれば、部活で登校した時に聞きにくるように」と大きな声で語りかける。これなら質問もしやすいことだろう。そして、一部の問題の解き方のヒントを板書して教えたり、生徒たちが解く様子を見て回り、声をかけたりしていた。授業を見ていると、生徒の気持ちに寄り添いながら、指導しているという感がある。
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生徒たちに
社会人経験を伝えていきたい
近藤先生は、同校中高一貫コース出身で、中学時代に、理想の教師像といえる数学の先生(担任)との出会いがあった。その先生に憧れ、将来なりたい職業の一つとして教師を思い描いたと言う。しかし、教師になるにしても、社会を広く知ってから教鞭を執りたいと考えていたとか。筑波大学に進学し、卒業後は、平成23年に母校に着任するまでの7年間、テレビ局関係の技術系の仕事に就いていた。大成中学校在学中に副担任だった先生とずっと交流があり、母校で数学教師を募集していることを教えられ、応募。満を持して、教師になったという印象だ。
近藤先生が教職について2年。教科の指導方針は、「説明は端的にわかりやすく。できるだけ演習に時間を割く」。「恩師の教え方が理想なんですけど、まだ全然できていません」と謙遜する。
「生徒にとっては大学合格が第一の目標ではあるんですけど、もっと先を意識して勉強し、大学受験してもらいたいと思っています。そのためにも、私の社会人経験を伝えて、普段の学生の生活だけでは入ってこない生の情報を与えたい。それで、やる気になってくれたら嬉しい」と、「遠回り」先生ならではの抱負を語った。数学で必要な論理的思考力は、社会に出てからもいろいろな場面で応用できる。それを身に付けさせてあげたいと思っているそうだ。
安定した指導力で、先輩教師からも高く評価されている近藤先生。将来、大成中学校・高等学校を背負って立つ人材の一人になるに違いない。
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