サイト内検索:
 
中学・高校受験:学びネット

 学びネットは、中学、高校受験のための情報ページです。学校紹介や塾経営にお役立て下さい。

今月号の紹介 学校散策 塾長のためのマンスリースケジュール 購読案内 会社案内
特集・スペシャル
   
2012/9 塾ジャーナルより一部抜粋

河野優の超〜塾長爆裂対談

第23弾:進学塾SORA 上江洲 康司 塾長

河野 優(こうの まさる)
[ 学習塾経営研究会 主宰 ]
大学を卒業後、大手通信メーカーに入社。そこで国際向け電子交換機のプログラム開発に携わる。30歳の時に、一身上の都合で地元に帰り、縁もゆかりもない場所で塾(開進スクール)を立ち上げる。塾を立ち上げた翌年より、学習塾ニュースの配信開始。現在の読者数は、約1100名。
その後、学習塾経営研究会を発足、全国の塾長のためのネットワークを構築。
主な活動には、千樹会(100人会の姉妹団体)代表幹事、学習塾経営セミナーの開催、100人会の主宰。塾ジャーナルに「1年間で生徒数100名に!」を執筆。

進学塾SORA 上江洲 康司(かみえす やすじ) 塾長:(奈良県橿原市)

大手塾退職後、地元橿原市にて開業。現在7年目。昨年には桜井校も開校。東大寺、奈良、畝傍など地元の進学校への高い合格率を誇る。現在、約200名の生徒が通う。

河野(以下──)早速ですが、大手塾から独立されて7年目とのことですが、今までの経緯を簡単に教えてください。

上江洲 お世話になった大手塾を辞めて、今のSORAを開業したのは、もう少し自由に子どもたちに接したいということにつきます。もともとその塾が、まだそれほど大きくない時代から働かせて頂いていたこともあり、以前のような生徒にもっとがむしゃらな塾を…という想いがありました。

── 個人塾への転身を決めさせた何かがあると思うのですが、それは何でしょう?

上江洲 1つは、大手塾と個人塾は組織のあり方が何より違いますね。

 大手塾は組織で動いてますので、色々な制約が出てきます。すべての顧客に同等の質のものを提供したくなります。その点、個人塾は規模が小さいので、目の前の生徒たちだけに、よいと思うことはどんどんやっていくことができます。塾っていうのは小さことがメリットなのです。ここを気づいていない方が少なくないように思います。まあ、結局、自分のやりたいようにやりたくなって、独立したのでしょうね。

 私が独立した時、組織は大きくしない、私個人としては、気持ちが腐ることのないように、老いることのないように、独立して何かの間に、構造的に、常に「自分磨き」をせざるを得ない状況を作りました。

── 組織は大きくしないというのは、おもしろいですね。

上江洲 新しく塾を開業するということは、既存塾に対するカウンターパンチでないといけないと思っていますが、そのカウンターパンチの中には、他よりも働きやすい、環境の良い職場でもありたいということも入っていますね。イキイキと現場の先生が働いているなら、生徒のために大いになるでしょう?大手塾のダンピング、授業料の割引や、無料なども話には聞きますが、それって最終的に先生方にしわ寄せがいきますよね。先生方の給料をカットしてまでするべきことかな?と思ったりします。本当に強い塾、生徒のためになる塾を作るなら、そのような、先生たちを消耗品のように使うことはするまいと決めてます。自分が塾を作っていくことで、生徒や保護者の方もハッピー、スタッフもハッピー、もちろん私もハッピーにならないとダメだと考えてます。ですから、ともかくスタッフの給料は、他よりも少しでも多く、そして月謝は、他よりも少しでも安く(笑)これが基本ですね。(笑)

── 大家族主義ですね。私の塾も、似たような作りですね。私は、「互助会と言ってますが。多くの個人塾・中小塾のスタッフ数だと、擬似家族のような組織が一番いいだろうとは思いますね。さて、もう1つ。「自分磨き」の部分はどうなんでしょうか?

上江洲 一番大切なのは自分自身を「維持すること」だと思います。慣れも怖いですし、また知らず知らずのうちにやる気が低くなってるということも怖い。そこで、そうならないために、私が何をしてるかと言うと、若いスタッフと色々と話をしてるんですね。今、あなたの周りにいる人はあなた自身の反映ですから、そこを大切にすることが何よりの「自分磨き」ですよ。

── 塾長の大事な仕事の1つは、スタッフを育てることですから、まさにそれをやりながら、「自分磨き」をされているわけです。

 さて先生のところには、教務に関しても色々と相談があると聞いてますが、その教務に関してお伺いしたいのですが?

上江洲 教務と言えば、「分かりやすく教える」とか「教務の知識が豊富」とかをアピールする塾や先生がいますが、それだけで生徒を伸ばすことは、高校生ならまだしも、小中学生ではできません。まあ、どこまでを「教務」の範疇とするかが難しいですね。一回の授業が上手くても、生徒の学力を伸ばせるかというと、そうではありませんから。ただし、わかりやすい授業なんて要らないと言ってるのではありませんよ。結局、私が見どころあるなあと思う先生方が悩んでおられるのは、たいてい生徒の心を動かす部分のところです。そこをどうするかということですね。

── 「伝え方」あるいは「(生徒の)動かし方」という部分に特化して話をして頂けますか?

上江洲 「伝え方」とか生徒の「動かし方」にも技術があるから、そういうのはしっかり勉強しといた方がいいと思います。

 もちろん自分がいつも生徒の心を動かせているわけではありませんが、指示の出し方、説明の仕方に始まって、伝え方、心の動かし方にだって、技術はあります。

 私は話し方にも「技術」を使います。技術と言っても、小さなことですが、それでも伝えたいことを伝えるときにはこういうのを使うと使わないとでは全然違います。

 論理的な説明をするとき、気持ちを伝えたいとき、では伝わる話し方というのはちがいます。声のトーンを変えなければなりません。大きい小さい、高い低いよりももっと変えないといけないものがあります。

── 上江洲先生は、地元では有名な「凄い先生」なのですが、先生の思う「凄い先生」とまではいかなくとも、「良い先生」とは、どんな先生ですか?

上江洲 昔、生徒の話を聞いたり、アンケートを取ったりすると、私は生徒たちに「厳しくて怖い」と思われていたのと、もうひとつ、「雑談が多い」と、これは他の先生にくらべても、圧倒的にそう思われていたようです。いろいろな意見があるとは思いますが、私はこういうのはとても大切だと思っています。

── 正直、塾長の私がすることは、それしかないと思っているくらいです。これはスタッフによく話しをすることなのですが、保護者は、教務だけではお金を払ってくれないよ!と。それだと、塾が勉強工場であっても大丈夫ですよね。しかし実際は、塾とは、ある意味、生徒の居場所であり、講師、塾長のもとで勉強をする場所であり、何より親以外の大人の人と語れる場であるはずです。

上江洲 こういうのを「無駄」だっていって切り捨てたら駄目ですよね。無駄と手間と面倒の中に教育なんて成り立っていますからね。効率を求めて合理的にやればやるほど、塾の魅力って無くなります。

 最近、私のtwitter上で、昔の生徒がこんなことを書いていました。「英語の成績が上がらなくて、私が色々と悩んでいたとき、kamiesu先生は一緒に泣いてくれた」って。わかりやすく教えるのも大切ですが、生徒と共に泣いてあげる。「師のつく職業の人は失意のときに支えにならなければならない」なんていいますが、講師ではなく恩師になるにはそうでないといけないのですね。生徒を伸ばす、生徒を合格させるというのは塾稼業の中で一番大切なことかもしれませんが、そこしか考えないのでは子どもたちに先生と呼ばれる人としてどうかと思いますし、そんな塾流行らないとも思います。

── 非常にいい話ですね。私の塾では、生徒が泣く一方ですが。(笑) さて、色々な経験から今の塾の形態が出来たと思うのですが、具体的に、気をつけてやっていることなどを教えて下さい。

上江洲 組織としては、「擬似家族」ですから、家族がやっていることをやります。それを行っているだけです。具体的には、一緒にメシを食う。集まるということです。「場」を共にすることが大切です。SORAでは夏季合宿を行いますが、それも生徒のためではありますが、スタッフのためでもあるんです。

 特に2教室になって頻繁に顔を合わせる機会が少なくなったスタッフもいます。顔を合わさないとダメですので、その機会をなるべく多く作ることが大切だと考えています。

── 私の塾でも合宿をします。スタッフだけの合宿なので、社内旅行ですね。

 また私だけは、毎日全員と顔を合わせるようにしています。以前、誰かに「塾長の仕事は、何ですか?」と質問された時に、「顔を出すことだ。」と答えたことがあります。大家族主義で大切なことは、大黒柱である塾長の顔を見せることです。顔を見せれば、家族がバラバラになることもありません。しかし、スタッフが多くなってくると、塾長が顔を見せなくなることが多いのです。そうすると必ず崩壊の道に入っていきます。大黒柱は、家族を養っているから大黒柱なのであって、食わしてもらう大黒柱では家族もそっぽを向きますね。

上江洲 以前書いた記事で成長しない塾を目指すという内容を書きました。これについては、どう思われますか?

── 規模という意味においては、「あり」だと思います。と言うか、現在は、このような形(規模を追求しない)を目指す企業が多いですね。結局、規模を追い求めるということは、イコールそれを支えてくれる顧客を追い求めることと同義です。

 問題は、組織を維持するには、その顧客をずっと保っておく必要があります。
しかし現在では、多くの地域で生徒数が少なくなっています。今、その組織を維持出来ても、将来、維持出来るかは分かりませんよね。必ず先行投資という形で、将来の利益のためにお金を借りることになりますが、それを返すための最大の条件である人口が、減っている中、組織を大きくするということは、どちらかと言えばリスキーな気がします。

 またスタッフの生活などを考えても、デフレの現状できちんとお金を払えるという意味では、少数精鋭の組織がいちばんでしょうね。

上江洲 規模は、私の場合は、既に「擬似家族」なんて言っているくらいですから、大体の大きさは決定してると思います。しかし一方で、河野先生は、個人塾にも厳しい目を向けられますが、それは、どんなところでしょうか?

── 組織塾と個人塾の大きな違いは、塾がきちんとけじめのついた職場になっているかどうかです。個人塾でも、そこが職場となって、晴の舞台になっているのであればいいんです。しかしズルズルと日常の延長でけじめをつけずいいかげんにしていると、結局保護者にも生徒にも感じ取られるくらい「ちゃんとしない塾」になるんですね。個人塾にはそれを咎める人がいませんので、結局、生徒が減っていくことになります。組織塾では、やはり職場の感覚がありますので、このような問題は少ないですね。

上江洲 そうやって「腐って」いくのですね(笑)確かに組織塾の場合、上司の目なんかを気にしながら、そういうところはちゃんとしてますが、それも思ったより大したことではないのです。1年間通してきちんとすれば、個人塾でも十分同じくらい出来ます。ただ、少しづつ楽を…と思うとダメになるかも知れませんが。ただ私としては、個人塾の先生方々に言いたいのは、決して大手塾は怖くないということですね。絶対小さい方が強みを出せるはずです。そしてよい組織を作るべきだということです。そしたら最強になれるはずです。

特集一覧

 

 
  ページの先頭へ戻る
manavinet」運営 / 「塾ジャーナル」 編集・発行
株式会社ルックデータ出版
TEL: 06-4790-8630 / E-mail:info@manavinet.com
Copyright© 2004-2003 manavinet. all rights reserved.