開校19年目、卒業生のべ3万人となる八洲学園高等学校は、単位制・通信制高校として、地域に根ざした教育を行い、多くの信頼を得てきた学校である。地元中学の紹介や塾からの仲介で入学を決める生徒も多く、地域の中学生には、全日制高校と同様に進学先の選択肢として八洲学園を目指し、入学してくる生徒もいるほどだ。
私立校に逆風の吹く時代にもかかわらず、堺本校では入学生が増加、横浜にも関西発信の通信制として初めて分校を開校するなど、活気溢れる状況が目立つ。その大きな要因が、独自のシステムによる費用負担の軽減である。
通常、単位制高校では、1単位ごとの修得費用を提示し、その修得期限は1年間。だが、八洲学園ではこの期限を2年間と長期に設定している。
「通信制高校に入学してくる生徒たちの中で最も多いのが不登校だった生徒です。彼らが精神的に立ち直って通学する際に、大きな障壁となるのが生活リズムの乱れです。家にいる間に夜型のクセがつき、朝起きられずに遅刻する。そのため1年間では遅刻・欠席のクセが抜けず、結果単位修得ができなくて、翌年新たに修得費用がかかるーーそういった生徒の経済的な負担を減らすのが、当校の学費システムです」と矢本浩司総務部長は語る。
転入学・編入学生は一年間いつでも入学可能(新入生は4月・10月の2回)。さらに個別での指導も教科によっては対応するシステムを導入しており、小学校低学年から不登校だった生徒が十分な学力を修得して卒業したこともある。
「八洲学園は関西地区に堺本校をはじめ梅田・三宮会場、関東地区には横浜分校と新宿・池袋会場で高等学校を展開し、現在在籍生徒数は約三千名。教員は非常勤を含めて約100名おり、通信制高校としては大きな規模で生徒を導いています」
しかし、いずれの地域にも提携しているサポート校は無い。これは、ダブルスクールによる費用の高騰に警鐘を鳴らしているだけでなく、サポート校が行っている生徒指導は、本来高等学校が自前でやるべきことだという信念があるためだ。
入学生の卒業率は7割と高く、その中で進学希望者は約4割、進学希望者の進学率はほぼ100%。この実績率の高さも、八洲学園が多くの生徒に与えている希望である。 |