今回は、6級・7級・8級の数検特有の問題をみていきましょう。
問題1は食中毒の原因となる細菌が猛烈な速さで増殖するということを題材としています。10分毎に1個の菌が2個に分裂するということは、10分毎に2倍になるということです。(1)の正答率から問題文の前半の意味は把握していることが分かりますが、(2)、(3)の正答率は低くなっています。(2),(3)で正答に達するには、10分後以降の増え方を整理することが必要です。たとえば,下に示すような表にまとめると分かりやすくなります。
情報を整理できた受検者は(2),(3)とも正しい解答を得られたでしょう。この問題で、もう一点注意が必要なことは、10分毎に分裂するということは,15分後は2回めの分裂の前なので菌の数は10分後と同じ20個、25分後は20分後と同じ40個だということです。ですから、1000個を超えるのは60分後と70分後の間にあるのではなく、70分後となります。
問題2は小町算です。□に入る記号が+−か×÷かで,□の前後の計算順序が変わってきます。したがって、□と関係がなく計算ができるところを先に計算しておき、最後に□に適切な記号を入れて等式が成り立つようにします。各階級とも(1)より(2)の正答率が高かったのは、(2)は12×34×5=2040と6+7+8+9=30を先に計算して、□に入る記号を求めればよいので、考えやすかったのかもしれません。クイズ的な問題にしては正答率が高く、普段からこのような問題に親しんでいる受検者が多いことが感じられます。
問題3と問題4は推論の問題です。「Aさんがうそを言っているとすると・・・」「Bさんがうそを言っているとすると・・・」と仮定して矛盾がないかを調べます。この問題では検討する項目がそれほど多くなく、問題3に関してはAさんとBさんの発言に矛盾点があること、問題4に関してはBさんとDさんの発言に矛盾があることに気付けば、うそを言っているのはそれぞれ2人のうちどちらかになります。易しい問題ではないと思われますが、よくできていました。
公務員試験の数的処理、SPI2の非言語分野では算数・数学的な問題とともにここで取り上げたような問題も出題されています。数学は、進学のみならず、就職にも大きな比重を占めています。現在、大学で公務員試験対策、SPI2対策にスムーズに移行できるように、数学の基礎学力固めをするという観点から数学検定3級または準2級を取り入れるという動きが出てきています。小学生、中学生の頃から算数・数学に対する興味をもっていれば、就職にも有利ですので、今回取り上げたような問題に数多く触れて、数学的なセンスを磨いてもらいたいと思います。 |