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中学・高校受験:学びネット

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2009/11 塾ジャーナルより一部抜粋

代々木ゼミナールグループが進学塾サピックス
中高部の株式取得高校受験分野へ進出!

 

代々木ゼミナール 副理事長 サピックス中学部・高校部(株式会社 サピエンス研究所)
代表取締役社長 宮 敏郎氏

 
     
今年9月1日、学校法人高宮学園代々木ゼミナールのグループ会社である株式会社日本入試センターは、株式会社サピエンス研究所の株式を100%取得したと発表した。これにより、首都圏を中心に26校を展開、難関高校合格者を毎年多数輩出してきた同研究所のサピックス中学部・高校部は、代々木ゼミナールグループの傘下に入ることになった。現在まで大学受験をメインに展開してきた代々木ゼミナールが、新たに高校受験部門にも進出するという実態をつかむため、代々木ゼミナール副理事長でもあり、サピックス中学部・高校部代表取締役社長に35歳という若さで就任した宮敏郎氏に緊急インタビューを行った。

大学経営学を新たな運営に生かした提携を

── この度はサピックス中高部の株式取得による契約成立おめでとうございます。詳細を聞く前に、サピックス中高部の新代表取締役に就任された宮社長の経歴からお伺いしたいのですが。

 私は慶應大学経済学部を卒業後、三菱信託銀行へ就職しました。そして3年間を過ごした後に、代々木ゼミナール(以後、代ゼミ)に入社したのですが、当時の理事長であった私の祖父に勧められ、アメリカ・ペンシルバニア大学へ進学しました。そして4年後に日本に帰国したのです。

── アメリカでは教育学を学ばれたのですか?

 アメリカでは、『良い教授が必ずしも良い大学の経営者であるとは限らない』という考えのもと、古くから教育学部の中に大学などの経営学を学ぶコースがあるのです。そこでマーケティングやビジネスセンスを学び、2005年に教育学博士の学位を取得しました。日本の大学では教授会が非常に力を持っていますが、アメリカでは大学運営に携わる事務局と教授の間に力の差があまりありません。より対等な立場で、大学の円滑な運営を行っているのです。近年では、このシステムは日本でも注目されつつあり、桜美林大学や東京大学などが、大学院に大学経営学を学ぶコースを設置しています。

── その経営学の視点から、今回の契約締結をどのように分析しておられますか。

 サピックス中高部は熱心な生徒指導により、高い実績を出し、新たに生徒を集めるという非常にシンプルなビジネスの進め方をしてきた塾です。授業に重点を置いた経営だったため、昨今の不況や少子化への対応策として、さまざまな展開を見せる同業他社に対し、経営危機感が社内に広がったのです。そこで、代ゼミグループの傘下に入り、強いバックアップをもとに、安定した経営基盤を得ることにしたのです。一方、代ゼミグループは、現在大学受験を視野に入れた高校生や高卒生を対象に、全国29校舎を展開する代ゼミを筆頭に、さまざまな教育コンテンツを提供しています。しかし、大学受験予備校という立場上、今まで学習塾が行う3つの展開方法のうちのひとつがどうしても弱かった。それを今回のM&Aで強化することができます。このように双方にとって、非常にプラス面の大きな契約となったのです。

── 3つの展開方法とはどのようなものでしょうか。

 ひとつは水平の展開。これは、全国区で教室を広く展開していくことです。もうひとつはクロスメディア展開で、こちらは塾の授業を情報と考え、個別指導からインターネット授業までさまざまな指導方法で生徒に情報を送る展開です。そして3つ目の垂直の展開は、対象とする学年を上下に広げるものです。サピックス中高部のグループ化で、今までの大学受験生から高校受験生まで層が広がったことになりますね。また、サピックス中高部のハイレベルの生徒が、大学受験に際し、代ゼミで勉強することを選ぶ可能性もあります。

── それが今回のM&Aにおいて、代ゼミが得たメリットなのですね。しかし、全株式取得ということで、サピックス中高部の内部には大きな変化があったのではないですか。

 そうではありません。100%株式取得のM&Aとはいえ、精神的には五分五分での合併と考えています。また、傘下に入ったからと言って、今までサピックス中高部で生徒を指導していた教員の人事などに大きな変化があるわけではありません。小田茂名誉会長(前代表取締役)にアドバイスをいただきながら、受験を半年後に控えた生徒が戸惑うことがないように心掛けています。

巨大母体による経営安定と最新の教育を学べる進学塾

── 業界でも最大手の予備校と高校受験塾の合併において、何か戸惑いはありませんでしたか。

 確かに、高校受験と大学受験の違いが大きく、その辺りでの戸惑いはありますね。全国区で志望校を決める大学受験と違い、高校受験はそれぞれのエリア性が非常に強い。そのため、エリアごとの対応方法も変わってきます。また、指導方法も中学生と高校生では声の出し方、授業の進め方ひとつとっても異なるために、教室の設備も違います。ソフト面でも教務の仕事内容が代ゼミとサピックス中高部では異なりますね。代ゼミが指導中心の講師とその他の作業を行う事務に分けているのに対し、サピックス中高部ではカリキュラムの作成、指導方法や教科内容研究など、教務の仕事が多岐にわたっていました。こういった点から考えても、高校受験指導の経験のある水戸部副社長をはじめ、私や他の経営陣が一丸となって、サピックス中高部の運営陣と話し合いを重ね、もっと教師が生徒と向き合う時間を長く取れるような運営方法を模索していくつもりです。

── 合併発表後、サピックス中高部に在籍していた保護者や生徒の反応はいかがでしたか。

 グループ化のプレスリリースと同時に保護者の皆様にお手紙を出して、授業運営は変わらないことをお伝えいたしました。電話による問い合わせはありましたが、10件程度でした。さらに、9月には2度の説明会を代ゼミタワーで実施しました。地上26階・地下3階の大規模な建物を内部から見ることで、この予備校を持つグループに支えられていることを感じてもらい、不安を一掃していただきたいと考えています。

── 経営に対する不安がなくなるのは、保護者にとっては嬉しいですね。

 はい。しかし、説明会のメリットは経営安定を知らせるだけじゃないんですよ。サピックス中高部の生徒にもニーズに合わせて、代ゼミの教材や衛星授業を受講できるようにシステムを整備しますし、代ゼミの教材研究センターが弾き出した『これからの社会に必要な論理的思考・数学的思考の根底を成すことばの力を付ける』という最先端の考えの国語教育なども同時に進めます。保護者や一般の方々には、代ゼミとサピックス中高部は経営資本の補助だけでなく、そういった教育のアイデアも共有できる関係になったのだと知っていただける機会だったと思います。

── 今後の展望を教えていただけますか。

 今回のグループ化をマスコミに発表したのは9月1日でしたが、その後、間接的にではあるものの、いくつかの会社からM&Aの打診が来ています。今後はさらに注目度が高まると思いますので、サピックス中高部の社長であり、代々木ゼミナールの副理事長でもある私自身が、グループ全体をより安定した運営で大きく成長させていくよう心がけております。また、子どもたちの知的好奇心=志を育むためにも、将来の道をいろいろと示していきたいと思っています。

── それはどのようなことでしょうか。

 代ゼミでは入試研究会を開催していますが、そこでは東大・京大がなぜ人気が高い最難関大学なのかを生徒に説明することを重視しています。東大や京大は総合研究大学として、さまざまな分野へ卒業生を輩出しています。その大学を卒業することで、社会でどのような活躍ができるのかを伝え、生徒のモチベーションを上げるのです。大学受験を目前に控えた生徒だけでなく、中学生にもこういった話を聞いてもらえれば、勉強に対する姿勢も変化して、良い刺激になるでしょう。

── 本日はどうもありがとうございました。

 
株式会社日本入試センターの概要
商号: 株式会社日本入試センター
本社: 東京都渋谷区代々木1-27-1
代表者: 代表取締役社長 宮英郎
創立: 1978年4月
事業内容: 代ゼミTVネット(インターネットによる自宅への動画授業配信事業)の運営

株式会社サピエンス研究所の概要
商号: 株式会社サピエンス研究所
本社: 東京都中央区日本橋人形町1-18-9
代表者: 代表取締役社長 宮敏郎
(学校法人高宮学園 代々木ゼミナール 副理事長)
※なお、前代表取締役 小田茂は名誉会長に就任
創立: 1989年6月
事業内容: 難関校合格を目指す中高生を対象とした進学教室(SAPIX中学部・高校部)の運営
※SAPIX小学部を運営する株式会社ジーニアスエデュケーションは、株式会社サピエンス研究所とは資本関係のない別法人です。
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