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2008/7 塾ジャーナルより一部抜粋

子どもの安全を守る!大阪発、官民一体の取り組みが始動
−大阪府学習塾子供の安全推進協議会が発足式−

  開催日 2008年4月22日(火)/於 大阪府庁  
     
子どもが被害者となる犯罪の増加に伴い、大阪府内では地域住民による見守り活動が活発化している。だが、活動は学校の登下校時に限定されがちで、夕方以降に学習塾に通う子どもの安全対策としては、「手薄」の感が否めない状況であった。そうした状況を打開しようと、大阪府内の6つの学習塾団体が4月22日(火)、「大阪府学習塾子供の安全推進協議会」を発足させた。発足式には大阪府、大阪府教育委員会、大阪府警察本部も参加、子どもを犯罪から守る取り組みに理解を求めた。
加盟団体:(社)全国学習塾協会
      関西私塾教育連盟
      泉州私塾連合会
      NPO法人学習塾全国連合協議会西日本
      関西私塾の会
      大阪民間教育ネットワーク
協力官庁:大阪府
      大阪府警察本部
      大阪府教育委員会

 冒頭、同協議会会長を務める(社)全国学習塾協会近畿支部長の津田讓氏より挨拶があった。発言要旨は次のとおり。

 数年前に学習塾で起こった痛ましい事件をきっかけに、大阪府警より子どもの安全対策への取り組み全般について、さまざまな提案をいただいていました。全国学習塾協会としましても「学習塾に通う子どもの安全確保ガイドライン」を策定するなど、対策強化の必要性を認識し、努めてきたところですが、今回、府内の6つの学習塾団体が協力し、通塾時の子どもの安全を確保するための活動を推進していこうということになりました。

 子どもは家族の、人生の、地域の宝であるという考えに立てば、子どもにとってよりよい環境は、すなわち社会全体にとってよりよい環境といえます。当協議会発足を機に、子どもの安全を守る取り組みに学習塾関係者が、一層積極的にかかわることを願っております。現在、約210塾に加盟していただいていますが、今後、その数がさらに増え、組織だった取り組みができるよう、皆様のご協力を賜りたいと思います。

 続いて、大阪府、大阪府教育委員会、大阪府警の各協力官庁より、現在の子どもの安全に対する取り組みについて説明がなされた。

大阪府生活文化部 青少年課課長補佐 田中 光弘氏

 大阪府は少年による犯罪発生率が8年連続で全国トップという、非常に残念な状況にあります。一方で、被害者となる子どもの数も多いことから、大阪府として「こども110番の家」や「子ども見まもり隊」などの地域を巻き込んだ安全施策を実施してきました。その結果、「こども110番の家」の登録件数は16万2千件を数え、「動くこども110番」の登録台数は9万件超と、大きな市民運動としてのうねりを感じるまでになりました。

 本日、210を超える学習塾経営者の皆さまが、子どもの安全確保のために本協議会を発足させ、同じ目的で活動に参画されることを非常に心強く思っております。大阪の未来を担う子どもたちが、健やかに育つ環境を創造することは私どもの責務と考えておりますが、これを機に、地域の安全は地域で守るという機運を一層高めていきたいと考えています。

大阪府教育委員会 小中学校課主任指導主事 門原 百一郎氏

 子どもをめぐる事件、事故が大きな社会問題となっている状況を踏まえ、大阪府教委としては各小学校に警備員を配置し、校内の安全を確保してきたところです。また、登下校時には地域住民によるパトロールや学校安全指導員による学校巡回を実施し、子どもの安全に関するアドバイスを行っております。地域住民、保護者による学校安全見まもり隊のボランティア活動を通して、情報提供など、適切な支援もいただいているところです。

 このたび、府内学習塾6団体が本協議会を設立されたことは、地域の安全活動に大きく寄与することと期待しています。この会の活動が、「子供の安全見まもり隊」の活動が終了する時間帯になされるということで、子どもの安全確保に大きく貢献されることと大変うれしく思っております。

大阪府警生活安全部 生活安全対策室警視 乾 和彦氏

子どもをとりまく犯罪状況

 子どもや学校をめぐる主な犯罪を見てみますと、2001年の大阪教育大附属池田小学校の児童殺傷事件、2003年の大阪府熊取町の小学生・吉川友梨さん行方不明事件、2004年の奈良県小1女児誘拐殺人事件、2005年の寝屋川市立小学校での教師殺傷事件など、関西圏だけでも記憶に刻まれた事件が頻発しています。

 過去10年間の大阪における刑法犯認知件数は、1998年頃から急激に件数が増え、2001年には32万7千件余りで過去最高、全国ワースト1の数字を記録しました。3年間で67%もの増加したことを受け、大阪府では同年、全国にさきがけ、「大阪府安全なまちづくり条例」が制定されました。その後、6年間で犯罪認知件数は34%減少したものの、最近は街頭犯罪の増加により、再び数字が伸びる傾向にあります。

 さて、子ども(小学生以下)が被害者となる刑法犯の認知件数は、2003年から2007年まで、暴行、傷害、略取・誘拐、強制わいせつといった犯罪件数は減少しています。ただ、犯罪の域に達しませんが、犯罪の前兆事案として「声かけ」件数が急激に増えていることは見逃せません。犯罪件数減少の要因は、地域の見守り活動の成果と、子どもが小さな出来事でも保護者に話す機会が増えたことによるものと分析しています。

見まもり隊の効果

 「子供の安全見まもり隊」の結成率は、2005年には府内で33.6%でしたが、2007年には100%となり、府内1,018の小学校すべて組織されるようになりました。以前は交通安全に主眼を置いた活動でしたが、現在では、すべての犯罪を防止する目的で活動が行われています。

 その効果は、見まもり隊結成率が低かった2005年度における小学生に対する強制わいせつ認知件数が206件であったのに対し、結成率が90%以上に達した翌年には138件と33%の減少となっています。時間帯を絞って検証しますと、見守り活動が活発に行われる午後3時台で、2005年に54件起きていた強制わいせつ事件は、翌年14件に減り、実に74%の大幅減となっています。

 しかし、活動には課題もあります。活動主体が老人会などのボランティアに頼っている地域が多く、長年活動を継続していますとモチベーションの低下が起こり、衰退、自然消滅していく地域も出てきます。また、夕方以降に活動する見まもり隊が少ないことも今後の検討していくべき課題です。

 その対策として、PTA、地域住民、学校、自治体、警察の連携強化や、活動に参加している方のやりがい、達成感の醸成が挙げられます。また、活動としての取り組みではなくても、買い物のついでや犬の散歩がてらに子どもに目を向ける「ついでパトロール」や「わんわんパトロール」など、街ぐるみで大人の目を子どもに向ける意識を醸成したいと考えております。

「安まちメール」配信

 大阪府警では、犯罪発生情報と防犯対策情報を24時間、365日、携帯電話に配信するサービスを行っています。登録制で有料ですが、現在19万3千人が登録しています。「安まちメール」の特徴は、利用者にとって不要なメールが届かないよう、受信時間(6−12、12−18、18−0、24時間)、情報種別(ひったくり、路上強盗、子ども被害情報など)、受信地区(市区町村単位)を選択できる点です。昨年1年間では、7,095件(1日当たり約20件)の配信を行い、その中には、検挙されたことを知らせるメールや犯罪注意報(犯罪兆候にあたる情報)なども含まれています。

大阪府警生活安全総務課 子供の安全見まもり隊サポーター 矢野 恵子氏

 府内小学校では独自にさまざまな取り組みが行われており、その特色ある例を紹介いたします。岸和田市ではだんじり祭りが有名ですが、お祭り用に町内放送設備があります。これを活用し、小学生の下校時になると「ただいまより小学生が下校します」と町内に放送され、これを合図に大人が戸外へ出て、子どもたちを見守っています。

 また、高石市の小学校では空き教室を利用して、地域の大人が学校に集い、さまざまな活動を行っています。休み時間には、小学生と交流もありますから、顔なじみとなり、下校時も同じ方角であれば、ポイント地点まで一緒に帰るという活動が行われています。低学年の子どもの保護者は、ポイント地点まで子どもを迎えに来ることから、地域住民同士の交流にも一役買っています。

 さて、こうした活動中に警察に通報する必要が生じたとき、活用いただきたいのが「現在地認知システム」です。このシステムは大阪府警が道路標識の管理データを利用して、通報場所を検索するもので、近くにある標識柱に記載されている2段の数字(上段3ケタ、下段5ケタ)を警察官に知らせてください。通報された番号を通信司令室の係員が入力すると通報場所が表示されるようになっています。このシステムを学習塾の先生方に知っていただくとともに、塾生や保護者にもお知らせいただくようお願いいたします。

 また、通塾経路の安全性についてはすでにご確認いただいていると思いますが、近くに管理の行き届いていない空き家はないか、街灯の切れている箇所はないか、ビルに入っている塾なら、エレベーターは安全かなど、今一度ご確認いただきたいと思います。学習塾で保護者が集まる機会があれば、是非、安全対策についてのお話を私どもにさせていただけるようご協力をお願いいたします。

同協議会活動内容

1. 「こども110番の家」に事業所登録を行い、ステッカーを掲示する。
2.  通塾時に防犯活動用腕章を着けて、見まもり活動を行う。
3.  塾生、職員、保護者に対し、安全に通塾するための啓発活動を行う。
4.  塾生、保護者に「安まちメール」への登録勧奨を行う。

 発足会では、同協議会へ加盟した学習塾に「こども110番」のステッカー、防犯活動用の腕章が贈呈された。

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