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2006/7 塾ジャーナルより一部抜粋

NPO法人塾全協 「中高入試を考える会」

  2006年5月21日(日) 於 フォーラムエイト(東京都渋谷区)
主催 NPO法人塾全協東日本ブロック
 
     

 公立学校の改革が進んでいる。全国各地で次々と開校する公立中高一貫校。東京都品川区では今春、全国初の9年制の小中一貫校が誕生した。加速する公立学校の改革に、学習塾はどう対応すべきなのか。また私立はどのようなビジョンを描くべきなのか。

 NPO法人塾全協は、5月21日に恒例の「中高入試を考える会」を開催。「公立学校の進む改革」をテーマに基調講演とパネルディスカッションが行われ、財政問題や経済格差など、さまざまな観点から教育の今後が論じられた。

 同日、NPO法人塾全協東日本ブロックは総会を開催。新役員選挙が行われ、理事長に菅原明之氏が再選された。

「中高入試を考える会」は沼田広慶常任理事が司会を務め、再選されたばかりの菅原明之理事長が主催挨拶を述べて開会した。

■基調講演(1) 
「公立中高一貫校と進学重点校の検証」

安田教育研究所 代表 安田 理 氏

開校ラッシュの公立中高一貫校

 いま全国で公立中高一貫校が急激な勢いで増えています。2005年度は173校でしたが、2006年度には197校。来年度にはまた41校開校します。

 公立の中高一貫校は、設置形態により大きく3つに分かれます。すなわち(1)市と県など設置者の異なる中高で、生徒や先生の交流を行う「連携型」。(2)設置者が同じで、高校からの募集も行う「併設型」。(3)高校からの募集を行わない「中等教育学校」です。

 初期の公立中高一貫校の多くは連携型でした。しかし、最近はむしろ都市部に併設型の中高一貫校をつくるケースが増えています。また都市型は、進学型になるという特徴があります。

 東京都では昨年度、併設型の都立白鴎高校附属が開校。さらに今年度は、併設型の都立両国高校附属と、中等教育学校である都立小石川・都立桜修館・千代田区立九段が開校。全5校で中学入試が行われました。その結果を見ると、併設型よりも中等教育学校の方が人気を集めたようです。

 来年度以降2010年度までに、東京では6校が開校します。このうち2008年度開校の北多摩は、完全な国際中等教育学校。英語中心の教育が行われます。

 近隣では、栃木県が2007年度に併設型の宇都宮東高校、2008年度に佐野高校の附属中学を開校予定です。その保護者対象説明会に2,400人を超える応募があったそうです。潜在的ニーズの高さがわかります。

 神奈川では、2009年度に県立の中等教育学校2校の開校が決まっています。

 埼玉や千葉では来年度、併設型のさいたま市立浦和、千葉市立稲毛が開校します。さいたま浦和の入試日程を見ると、埼玉や東京の私立中学を受験する人たちが受験しやすいスケジュールが組まれています。また同校の開校が発表されると、HPのアクセス数が急上昇し、月に1万7千にも上りました。ここでも関心の高さがうかがえます。

進学指導重点校の検証

 長年、都立高校は二つの大きな悩みを抱えていました。すなわち、大学進学実績の低下と中退率の上昇です。都立高校自体の信用もなくなってきていました。

 そこで、「進学指導重点校」として特定の学校を指定する方策を講じたわけです。2001年秋に、都立を代表する4校(日比谷・戸山・西・八王子東)を「進学指導重点校」に指定。2002年には青山・立川・国立の3校を「進学指導準備校」に指定し、翌年秋に「進学指導重点校」へと昇格させました。

 2001年秋に指定された4校では、さまざまな取り組みを実施しましたが、効果が表れたのは、2005年の卒業生からでした。なぜかというと、彼らは重点校に指定されたことを知って、入学してきた生徒たちだったからです。

 ところで、最難関の国公立大学と私立大学の合格者のうち、公立高校と私立高校が占める割合を、この10年間で比較すると、都立高校以外は軒並みシェアが低下しています。要するに、大胆に改革しないかぎり、公立高校の実績は下がる一方といえます。

 県の枠を超えて「公立」対「私立」で見ると、東大は合格者の70%以上が私立です。早慶上智では、私立が65%。その他、難関大学ほど私立のシェアが高くなっています。

 今後、公立中高一貫校が増えて卒業生が大量に出てきたとき、公立のシェアが高くなる可能性があります。

 都立高校は、進学指導重点校で蓄積したノウハウを進学指導研究協議会で公開し、共有化しようとしています。私学も私学同士でノウハウを共有できれば、今まで以上にシェアを高めることができるのではないでしょうか。

■基調講演(2)
「公立小中一貫校の誕生」

森上教育研究所 代表 森上 展安 氏

 東京都品川区が今春開校した小中一貫校「日野学園」は、100億円をかけたという校舎設備の豪華さでも注目を集めています。

 大前研一氏の著書「ロウアーミドルの衝撃」によると、わが国は所得階層の二極化により総中流社会が崩壊。年収600万円以下のロウアーミドルが急激に増え、全体の8割を占めるという。とすると、この層に受けるマーケティングや政策が必要となってきます。それが「なんちゃって自由が丘」。つまり「価格は安いがセンスは上流」です。そういう意味で、「日野学園」は大成功だったといえるでしょう。

 では、小中一貫校は財政的に豊かな自治体でなければつくれないかというと、そうでもないようです。なぜなら、小学校と中学校は設置者が同じですからつくりやすい。それに校長は1人でよいので、財政的なメリットも大きい。現在の6・3制の問題は、不安定な公立中学にあります。これをどうにかしなければいけないというとき、小中一貫はとても取り組みやすい方法です。今後、小中一貫は非常に早いペースで広まっていくと思われます。

 ただし現状では、高校進学の問題があります。出口がしっかりつながれば、言うことなしでしょう。

 公立小中一貫校に入学すれば、当然私立中学を受験しませんから、中学受験の入り口は相当に狭まります。

 いまの中学受験の現状を、4教科受験生にしぼってデータを取ってみると、偏差値50以上の学校に受験生の約7割が集中しています。学校数は全体の3割ほど。競争率は約4倍です。一方、偏差値45以下となると学校数は多いのですが、受験生は先細りになっていく。
  これは、いわゆる「2:8の法則」。すなわち2割の商品が8割の売り上げを稼いでいる状態です。

 しかし、現在では、この法則が成り立たなくなってきました。なぜなら、ITビジネスは効率が格段に優れているので、残りの8割からでも利益を得られるからです。レアな商品も売れる可能性があります。とはいっても学校は商品ではありませんから、同じようにはいきません。ただし、考え方としてはヒントになるように思います。

 例えば、「安かろう、個性的であろう」であれば、先のロウアーミドルの支持を得られるのではないでしょうか。

 いま行政が中高一貫校を強引につくっていっていますが、ほとんどの学校では授業を始めとして、内容が伴っていません。それに高校進学の問題がありますから、学習塾の生き残る道もいくらでもあると思います。

― 一部抜粋 ―
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