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中学・高校受験:学びネット

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駒込中学校・高等学校

 
  時代性への挑戦!
護送船団から抜け出した、駒込の本気度
 駒込中学校・高等学校が近年、人気を博していることは言うまでもない。建学の精神「一隅を照らす人間の育成」を具現化しながら、一方では先進的な教育内容に取り組み、生徒募集ではヒエラルキーから抜け出すという戦略をベースに見事なまでの結果を出している。長い年月をかけての内外への学校改革は、すでに来ているグローバル時代を見越しての対応であったと言える。 今年度、駒込の方向性は“護送船団”から離れ大きく舵をきることになる。

校 長: 河合 孝允
住 所: 〒113-0022 東京都文京区千駄木5-6-25
電 話: 03-3828-4141
交 通: 都営三田線「白山」駅徒歩7分、
東京メトロ南北線「本駒込」駅徒歩5分
東京メトロ千代田線「千駄木」駅徒歩7分
都バス池袋―草63―浅草寿町
「駒込千駄木町」下車(正門前)
学生数: 314名(中学校)
1,451名(高等学校)
ホームページ: https://www.komagome.ed.jp/

 

見事な戦略で市場偏差値を翻す

 「私学が冬の時代」と言われ他の私学が苦戦をしている中、駒込中学校・高等学校の入試結果は順調だ。29年度の高校入試では学則定員360名に対して521名が入学。行政からは「定員に従うように」という指導が入ったが、30年度の入試ではコースを1つけずったものの再び上回り、454名が入学したのである。 定員に戻せという行政指導のもと、大きなリスクを背負っての入試を行っているのだが・・・。

 「昨年の応募者1400名のうち、半数を占めたアドバンス本科の700名の募集を停止しました。前年度比でそのまま計算していたら定員割れですよ。ですが、そういうことならと多くの塾や心ある勇志の方々が駒込に協力をしてくださったのです。」と河合孝允校長。

 結果として歩留まり率は30%を越え、偏差値の高い優秀な生徒が多数入学してきた。実際、併願校には開成(学校SS・78)・市川(75)・早稲田本庄(75)・青山学院(73)らの上位校が並び、日比谷・青山・戸山と続く。中間、下位層に至っても69〜60の学校名がほとんどである。

 SS・60以上の学校と併願を考えた生徒の割合は84・3%というから、広報担当者が言う「駒込の奇跡だ」は言い得て妙だ。これまで55〜60前後が主力であった駒込が63〜70に跳ね上がり、大手模試会社が発表している市場偏差値よりも10ポイントも高くなったのだ。「歩留まり率が上がった要因には、本校を併願として考える生徒さんたちが戸山・青山・新宿といった、もともと倍率が2倍くらいある難関校や北園・城北といった今年倍率が跳ね上がった学校を併願に考えていたことも一因でしょう」と広報では分析している。

 中学でも、公立中高一貫校の併願の上位には白鴎(受験生SS・72)や小石川(70)・両国(68)などの生徒が並び、以下67、66、65、と中間層に至っても高レベルの生徒が続く。英検2級や準2級の生徒が複数人、入学したことも明るい題材だ。

 では、育てるべき生徒像を河合校長はどのように考えているのか。「これからの社会を考えると、金太郎アメじゃ駄目なんです。AI(人口知能)やコンピュータよりも大局的な考えができるように自己肯定感を養い、人間としての誇りをもたせることが必要なのです。

1点差を争う入試よりも0・1%の層に光りを

駒込中学校高等学校
河合 孝允 校長

 駒込の戦略の基本線は、これまでのヒエラルキーから抜け出すことにある。それがさらに色濃くなり「護送船団から1艘だけ抜け出し、手漕きボートで一生懸命にやっていますよ」と河合校長は方向性を明確に語る。ある意味チャレンジであり、時代性への挑戦を続けているのだとも話す。

 来年度の中学入試には、その考えが生かされた特色入試が2つ加わる。その1つが「STEM入試」(算数基礎&アルゴリズム問題+プログラミング)だ。平成32年度から小学校で必修化される「プログラミング授業」のさきがけ入試でもある。ただし、受験前に何回か体験会を実施する。受験前に指導し、育ててから当日入試という形である。河合校長曰く「入試といえば4教科という学力を測る入試ですが、これからの時代はそうではないでしょう。例えば、ロボット教室に通っているお子さんや興味を持っているお子さんたちは、受験だから4教科の勉強をしなければいけないというジレンマを抱えておられる。そういうお子さんに受けていただきたいですね」。

 この入試ができるのはSTEM教育を数年前から高校で導入している駒込だからである。単にスキルを学ばせるのではなく、新しいスキルには新しい思想とか理念がついてくる。文系の生徒たちにもエンジニアリング的なものの考え方を学ばせたいという考えだ。

 2つ目が「自己表現入試」。2つの出題テーマからどちらか1つを選んで、プレゼンテーション資料として、自由に自分の思ったことを表現してもらうテストだ。iPadや図書室の使用も可能。この入試も体験会を実施し、入試につなげていく。思考力のあるお子さん達に集まってもらいたいという本校の意図である。

 「頭は良いが受験型ではない子どもたちに東大に入ってもらいたいのです。プログラミングができて世界大会にはいくけど、東大には入れない。英検で準2級は取れるが、まだ幼いから思考力がない。そういう部分を育てたいのです」(河合校長)

 これまでは、そういった子どもたちはスポイルされてしまっていたが、いわゆる0・1%の層を対象にした入試ということだ。駒中の31年度の入試内容は、上記以外に2科、3科、4科受験は残し、適性検査型の入試を増設している。なお、STEM入試を受験し国際先進コースに入学した生徒は、その後はプログラミングなどを学び、3年後には高校の理系先進コースへと進み、本格的にSTEM教育に取り組む。また自己表現入試を受験し国際先進コースに入学した生徒は、ディベート力やプレゼンテーション力を磨き、英語準2級を取得して、3年後には高校の国際教養コースに進む。そういった土壌・環境はすでに整っているため、入口での改革もできるというものだ。

君を離れて「学びの本質はない!」

 高校・理系先進コースのSTEM教育の1つとして実施しているプログラミング授業では「LEGOブロック」を用いた物づくり体験と、 コンピュータによるその制御を学びながら、 各自が工夫を重ねてオリジナルなものを仕上げていく中で、「STEM」の「E(エンジニアリング)」を体得する授業を行っている。主体的に考える力と専門的な学力を育成する教育だ。

 こういった先進的な教育を導入している一方で、“一隅を照らす人間の育成”を建学の精神と掲げ、336年という長い歴史を歩み続けている駒込学園でもある。先述の0・1%の生徒に光りを当てる入試改革は、建学の精神を具現化したものではないかと記者はとらえる。


 「性格的に弱くても、虚弱児でも、勉強ができなくても成長できるんですよ。これを見てあげるのが、唯一教育なのです。生徒評価の『ものさし』は多様であってかまいません。光るものひとつあれば、それを核としてウィングを伸ばしてもらえればそれで良いと考えています。『優しさや』『頑張りや』『親孝行な心』はそれだけで立派な資質です。本校は人の心を育てあげる学園であり続けたいと思っています」河合校長は学びの本質をいう。深い愛情のこもった言葉だ。

 
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