進学実績は堅調を維持
専門知識で女性の自立を
昨年国公立・早慶上理10名、MARCH52名と、これまでの倍以上の大学合格実績を出し、大きく飛躍した共立女子第二中学校高等学校。今春は卒業生が149名と少なかったにもかかわらず、国公立・早慶上理9名、MARCH37名と進学実績は堅調を維持。現役進学率も95%を誇っている。
同校では、中3から難関大学進学を目指す「APクラス(Advanced Placement class)」と多様な進学に対応する「Sクラス(Standard class)」に分かれる。
「クラス分けを始めたことにより、進学意識が高まってきていると感じています」と入試広報部主任の戸口義也先生。
全体の進路では外部大学と共立女子大学への進学割合は半々。中高一貫生は外部進学率が51.1%、特進クラスでは80.5%とさらに高くなっている。
「今年の高3生は外部大学進学対応の新カリキュラムがスタートしたときに入学した生徒です。来春はさらに結果を残してくれるのではと期待しています」(戸口先生)。
共立女子大学に進学する生徒の多くは資格取得を目指している。同大学には看護学部や家政学部などがあり、看護師や保育士、栄養士などの資格が取れる。
「女性が社会で自立し、活躍するためには、高度で専門的な知識が必要です。家政学部には建築・デザイン学科もあり、二級建築士の受験資格を取ることもできます(一級は実務経験が必要)。資格が取得できる学部は人気ですね」
明治19年、女性のキャリア教育の先駆けとして設立された共立女子学園。130年たった今も、時代に合わせて柔軟に形を変えつつ、社会で輝く女性の育成を続けている。
就職活動で高い評価
礼法で学ぶ美しい所作
同校では校訓である「誠実・勤勉・友愛」の言葉から、目指す女性像を3つ掲げている。誠実は「真の美しさを身に付けた女性」、勤勉は「自ら考え、発信できる女性」、友愛は「他者を理解し、共生できる女性」だ。
そうした女性の育成を目指し、一昨年に「共立第二3×3(燦々)プログラム」を策定。プログラムの名前には、10年後、20年後にも咲き誇る花のように輝いてほしいという思いが込められている。
プログラムの中でも特に大切にしているのは「礼法」の授業だ。中学では道徳の授業の一環として「座礼・立礼の基本」など、正しい礼儀作法を学ぶ。高2では「華道・茶道・装道」を全員が習う「和躾(なごみ)の日」も設けている。
礼儀作法や華道や茶道は日本文化のひとつであり、日本人としてアイデンティティでもある。戸口先生はある帰国子女の保護者から「グローバルな時代だからこそ日本人として身に付けてほしいものを育ててくれる学校を選んで、共立への入学を決めました」という言葉をもらったこともあったという。
中2生全員で英語研修
文法中心の英語学習も強化
これまでも国際交流などグローバル教育を進めてきた同校。今年の入学生から、今まで希望者が参加していた、ブリティッシュヒルズで行う英語・異文化研修を中学2年次に全員参加することを決めた。一昨年にはニュージーランドのワイヒ・カレッジと姉妹校提携を締結。昨年から交換留学がスタートした。
交換留学では同校から高1、高2の希望者が2週間ホームステイをしながら、ワイヒ・カレッジで授業を受けたり、現地生徒に日本文化を教えたりといった交流を行う。ニュージーランドからやってくるホームステイ生も同様に共立女子第二で授業を受け、一緒にアクティビティを楽しむ。
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こうした生きた英語の学習を強化する一方、2020年大学入試改革で導入される新テストを見据え、従来の文法・読解を中心とした学習に加え、英語で行う授業の中で、リスニング・スピーキング・ライティングの力をより一層強化していく。「Academic EnglishとGeneral Englishのバランスのよい習得」が目標だ。
「本校では英語をEnglishesという複数形で表現することがあります。英語はネイティブの方だけが話す言語ではなく、第二言語としての英語もあるという意味です。英語を学習する上で、通じることが大切だと伝えています」と戸口先生は話す。
行事や体験学習から
共感・共生する力を
英語教育を発展させると同時に、大切にしているのは他者への共感力の育成だ。戸口先生は「相手を理解し、他者の価値観や文化に共感する力がなければ、本当の意味で交流し、協働していくことはできません。共感力を養うために、本校では行事や体験学習を重視しています」と話す。
東京ドーム5個分の広さを持つ自然あふれるキャンパスを生かし、野外観察や野菜づくりを体験するファーム教育プログラムを実施。収穫した作物は調理実習で使用するなど、理科と家庭科の枠を超えた学びも実践している。
生徒会の自主的な活動も盛んだ。毎年、被災地の福島へひまわりの種を送る「福島ひまわり里親プロジェクト」を続けているほか、今年は「難民古着支援プロジェクト」へ参加。生徒から古着を集め、NPOを通じて世界各地の難民キャンプに送る活動も始めた。
「多くの生徒が進んで自主的にボランティア活動に参加します。他者を理解し、共生できる女性に成長していると感じています」。緑に囲まれた広大なキャンパスに育まれ、伸びやかに中・高生活を送る6年間。他者を思いやる優しい気持ちも一緒に育っている。
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