高校からでも全力で走れる!
その情熱を受け止める学校
「中学では力を出し切れなかったから、高校では全力で走ってみたい!」
その想いを全力で応援する、それが盈進学園東野高等学校だ。「全力で走る」経験こそ人生の起動力となる、と語るのは中川進校長だ。
「受験・クラブ活動・人間関係、どれも真剣に向き合うほど悩み、苦しむ場面にぶつかります。でも、思いきり苦しんだ生徒は、人の苦しみが理解でき、葛藤の中からもう一段高い自分に向かって全力で打ち込む『楽しさ』を自覚できます」
豊かな自然環境とモダンな校舎群が、感性と個性を伸びやかに育む。自由で楽しい学校というイメージ以上に、実のところ生徒と教員の生活は極めてストイックだ。0時限講習が朝7時半からスタート、7時間目終了後、放課後講習が8・9時間目と続く。クラブ活動や自習に勤しむ生徒も含め、大半が19時20分発の最終下校バスまで学内に留まる。そして、年間目標1000時間の家庭学習。自主性に任されつつ、2年生になるとハードなスケジュールも「当たり前」になるという。5年前まで4年制大学進学率は10%未満、それが今春「GMARCH・日東駒専・大東亜帝国拓それぞれの進学者を二桁に」という年度目標を見事に達成した。機が熟してコース名を変更、「特進α」「特進β」「進学」3コース一丸で4年制大学進学を目指す。またβコース(旧大学進学βコース)の推薦基準「偏差値目安」が2ポイント上がり、「単願48、併願50以上」に変更された。これまでの地道な底上げに加え、βコースの実力がより高まると西本敬募集広報室長も期待を寄せる。
「塾の先生方からも『東野なら安心』というありがたい反応をいただくことが多くなりました。在校生には『やりたいなら好きなように』ではなく『目標を叶えるためにこうしよう』と具体的な計画を練り、可能な限りマンツーマン指導をする。教員の情熱を生徒も感じて、共に頑張れるのだと思います」
「中学生に受けさせたい」
質の高い授業が大評判!
同校に惹かれる受験生は、説明会・授業見学会・クラブ体験会など平均3、4回は学校に通いつめるという。「授業体験会」(中学生対象・10月開催)は、授業の質の高さ、面白さが大きな評判を呼び、「出前授業」が昨年から倍増。県内や都内の中学校からの依頼に応えている。
盈進学園創立90周年、高等学校創立30周年の今年、記念行事のほとんどに地域住民も参加する。FIFA認定人工芝のグラウンドでは小・中学生のソフトボールチームの講習会、大会を開催予定だ。中川校長は語る。
「地域に根ざし、愛されるのが『学校』。地域の方に教えられ、習い、生徒たちも地域社会に還元・貢献する。それが私の考える学校の役割です」
隔週土曜日は「ひがしの土曜英会話教室」(無料)を開講。小・中学生向けの授業で熱心に学ぶ保護者の姿もある。
「本校が目指すのは『やりたいことや得意分野を精一杯伸ばせる学校』です。90年の伝統も良いものは自然と残る。そこに新しいものをどんどん取り入れ、時代にマッチさせる。いま学園は『温故創新』に入ったと思います」
「創新」を具現化するのが平均年齢30代後半の若い教員たちだ。個性豊かな生徒を型にはめず、自主・自律を促す。
「勉強や行事で、若い先生が生徒に混じって一緒に活動する。在校生もすごく嬉しいようで、その楽しさが見学に来る中学生にも伝わるのでは。一緒に走ってくれる大人がいると、子どもの熱量も変わります」(西本先生)
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奨学金制度、受験枠の充実
目的意識の高い生徒集団に
「新しい伝統を創る」気炎は生徒からも。盈華祭の恒例「巨大絵」に代わる、生徒・教員の「手紙」を構成した新たなモニュメントが企画されている。出身中学の先生や家族が目を見張る成長を遂げていく東野の生徒たち。中川校長は、入学時の意識の重要性を語る。
「目的意識のある入学生が多くなりました。どんな分野であれ、自分を伸ばしたい気持ちがある生徒は大歓迎です。『長期海外留学派遣制度』(学費・宿泊費を全額給付する10ヵ月間のニュージーランド留学)への参加を最初から志して入学する生徒もいます」
経済的に厳しくても、やりたいことが明確な生徒を支援する体制は厚く、多様な奨学金制度を設けている。「クラブ特別奨学生」は強化クラブ(野球・サッカー・陸上競技・吹奏楽ほか要相談)での3年間の継続活動が条件。昨年導入された「準推薦」は、病気その他を理由に中学で力を出し切れなかった生徒対象の受験枠。面接では、中学生活の自己分析と高校での意気込みを聞く。
「東京藝術大学・早稲田・青山学院に合格した今春の卒業生たちも、中学でトップにいた生徒たちではありません。高校から全力で努力して希望を叶えた。早生でなく晩成の子にこそ本校で伸びてほしい、という強い想いがあります」
高校から陸上を始めたウォルシュ・ジュリアンくん(東洋大学)は、昨年の世界ジュニア陸上競技選手権大会の銀メダリスト。在学中に獲得したメダルや賞状など、すべてを学校に寄贈した。「今の自分があるのは学校のおかげ。教師となって母校に戻ってきます」と語っている。学校への深い愛ですね、と伝えると「我々もそう感じます」と中川校長は嬉しそうに微笑んだ。
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